業の矢先(共謀)
二つの勢力...共謀して計画を実行する
古代インドに語り継がれる叙事詩【ラーマーヤナ】、ヴィシュヌ神の化身【ラーマ王子】の愛する【シーター妃】を奪還するために耗発した羅刹羅闍【魔王ラーヴァナ】との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生【椎谷・蘭華】がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
蘭華たちがいる豪邸から少し離れた場所に戻る。
そこには先ほど可憐な少女の姿をした孫・悟空と魔王と呼ばれた巨漢が次々に戦機不能にした黒いスーツの人たちが今でもろくに起き上がることができない状態である。
何台の車もひっくり返されて、損傷しているその光景を一人の男が見ている。
「さすが...としか言えないね、これ。」
その声を聞いた黒いスーツの男の何人かが無理矢理でも自分の体を起こそうとして、その声の方向を確認した。
「とっ...当主様!」
「わざわざこちらまでご足労していただいて...」
「本当に申し訳ございません!相手はあの魔王だと分かって...しかも相手は一人じゃなくて二人...私たちとしてはどうしても敵わなかったのです。」
その言い訳のような報告を聞いた当主と呼ばれた男は特に怒るわけでもなく、どちらか興味津々の顔をしている。
「君たちには十分頑張ったよ...最初から魔王を捕らえるという命令は無理なことなんだ。責めるもしない。しかし...魔王にはそんな強い仲間がいるとは...」
「は、はい!相手は白い肌と髪色をしている少女ですが、とんでもない力持ちで...あと、なんか風を操るかのような術も使えるのです。」
「ほ...少女ね...まさかこっちに応援に来るとは...送った人は愚かだ...自らボディガードを手放すというのはほぼ丸腰の状態になるじゃないのか?こっちとしてはとても都合が良い...」
と男は独り言のように言って、満足そうに笑った。
「当主様...私たちは今からどうすれば...」と黒いスーツの男性の一人が言い出した。
「あ...撤退だ。今日はお疲れ様...まだ動ける人は撤退の準備を...応援はすぐに来る。負傷者は病院に運ぶように...領収書とかも忘れるなよ。」
「はい!」とそこにいる黒いスーツの男性は頭を下げてから、まだ起き上がっていない者を起こしたり、立つように支えたりしている。
その中で男は自分の部下だと思われる人たちを見ずに遠方を見て、こう言った。
「これはただ油断を誘う第一弾でしかない。だから超デキだ。さて...よろしくお願いしますよ...我らのパートナーさんよ。」
一方、豪邸に戻る。
館内にある廊下には一人の男性は拘束された少女をどこかに連れて行こうとしている。
「痛いよ、おじさん!女の子にこんな乱暴しなくてもいいじゃないの?」と拘束された少女は文句を言い始めている。
さっきからおじさんと呼ばわりされた男性...この館の使用人の田中は無言でただ少女を拘束し、歩かせようとした。
「でも、ちょっと以外かも...使用人がこんなに強いとか漫画とかアニメにしかいないと思ったから...」
とここで少女は妖しそうな笑顔を浮かべて、次のように言い出した。
「でもね...私たちにも強い人を雇ったから...」
と次の瞬間、田中の背後から速いスピードの蹴りが田中の胴体に襲い掛かった。
間一髪で避けたが、そのせいで少女の拘束が緩くなって、少女はその隙に拘束を解いた。
田中は相手を確認しようとして、後ろを見たその瞬間...また別の方向で攻撃に見舞われた。
今度は避ける余裕もなくガードしたが、そのダメージでかなり痛そうな顔をした。
相手の動きが早すぎて、また何回もの攻撃を食らった使用人の田中は反撃することができず、ついに倒れてしまった。
その様子を見た少女はとても円満の笑みを浮かべた。
「ご苦労様...」と言った途端、さっきまで姿が見えない相手は少女の隣に立っている。
「迎えに来ました。ラクシュミ様。」
「さすがあの人の右腕...武闘派の黒猿さん...伝承の通りなら実力はあの最強の猿戦士と対等なのに、評価されずにただ【18冠の衆】の一匹という名だけ残したって...不遇だよね。」
「今はただの人間なので、さすがにアレとは戦えないですが、一般人間よりは負けない自信があります。」
「心強いね...じゃ、私たちはここをおいとますることにしよう。あとはあの人が計画の通りに進めてくれると信じるわ。まずはお兄様と合流しましょう。」と言って、少女...ラヴァン家の長女、ラクシュミはさっき自分を助けてくれた黒猿と一緒に出口に向かった。
同時
執務室では、ランカの祖母である椎谷・恵子は自分が知っている椎谷村と椎谷家...豊穣の巫女の話をしている。それと同時にランカはできるだけ相手、魔王と呼ばれた巨漢に古代言語で通訳している。
それと同時に自分も話しの内容を聞いたランカは思った疑問をケイコに向けて尋ねた。
「じゃ...お鶴はその後どうなったの?今の話のままじゃ、彼女が二郎左衛門さんと一緒に逃げたんじゃ...石化する巫女とどう関係するの?」
「ランカよ...この物語...この真実はつづきがあるのじゃ...」
「あ、ごめん...突っ走って...」
「その後は...」とケイコが話のつづきをしようとしたら、扉の方にいるサトラが何か気づいたか後ろの廊下の方を見た。
「さっきの使用人がやられたんじゃ。」
それを聞いた部屋にいる全員が驚きの表情になった。
「え?」と言ったのは意外にもずっと石の破片のようなものを手に持っている香蓮だった。
「私の助手はうまくやってくれたね...本当に腕のいい者を持つって...嬉しい限りだ...」
と突然その部屋にいる人以外の何者かの声が聞こえた。
その方向を見ると、いつの間にか開けられた窓には一人の男性が窓縁に座っている。
「...お前さん...何者じゃ」とケイコはその者に尋ねた。
「あ...心配しなくていいよ。私は皆を傷つけるつもりはない...ただ交渉役として参上しただけだ。」
とその謎の男性は少し笑みを浮かべて、サトラの方を見た。
「や...久しぶり...」
「お前だとはね...」とサトラが今でも相手に向かって攻撃しようと構えている。
「よせよ...俺はあなたと違って、ただの記憶があるだけで何の力もないですよ...一応今でもあなたのことを尊敬しています。」
「なら...大人しく捕まえるんじゃな...」
「はは...それもできない相談です。」とここでその男性はスマホを取り出し、何か操作した。
「どうする?戦う?」とここでサトラは巨漢の方に話しかけた。
巨漢も警戒モードに入っている。
しかし、次の瞬間...誰の声が聞こえた。
「ケイコさん...ランカちゃん...久しぶりだね。」
その声を聞いた瞬間、ケイコとランカは驚愕した。
「伯父様!?!?」とランカは思わずに声を出してしまった。
「この声を聞いたというのは私が相手に囚われているということになる...」
それは録音された声...白鬼と呼ばれた男...ケイコもランカも聞き忘れるはずのない声だった。
「攫われた...のか?」とケイコは言い出した。
「...けど、心配しないで...これもまた私が見た未来の一つだ。相手の言う通りに従えば...全ては筋書きの通りに運ぶ...私は大丈夫だよ。」とここまで録音が終わった。
「どういう...こと...」とまだこの状況に追いつかないカレンは疑問のように言葉を口にした。
「抵抗もせずに大人しく私たちに連行されましたよ。だから、言う通りにすればいいですかね。この人が言ったのは本当だと思うよ...なぜかってこの人は...」と次の瞬間、先に動いたのはサトラでもなく巨漢の方だった。
巨漢は速いスピードで相手の男性に近づき、胸ぐらを掴んだ。
「ラジャ!?」と驚いたのはランカだった。
そして、巨漢は古代言語で相手に話した。
「貴様...余の弟...どこ...言わなければ...ここで死んでもらう...」という断片的な内容が聞き取れたランカはさらに混乱した。
「おとう...と?」
「だから...その人も皆さんも...もちろんあなたには傷つけるつもりはないと言ったんじゃないですか?言う通りにすれば、彼を解放しますよ。」
「条件は?」とここで冷静に相手と話したのはケイコだった。
「理解が早くて助かります。まずこの方に私を離してくれるように伝えてください。」
「ランカ...魔王に伝えて...」
「あ、うん。ラジャ...この者...自由に...するように...所望する。」
そこで、巨漢は相手の胸ぐらから手を離して、相手から離れた。
「ありがとう...じゃ...そこのお姉さん...」と今度はカレンの方を見て話しかけた。
「え?私?」とカレンは自分に指を指した。
「あなたが持っているものを私に渡してください。」
「これは...この魔王のものじゃ...」
「だからこそ...こちらで預かります。今の魔王の復活は時期尚早というわけです。」
「でも...」とカレンは手に持っている石の破片...魔王の心の破片を渡すことをためらっている。
そこで、「古海さん...彼に渡してください。」と言ったのはケイコだった。
「え?あ...はい...」とカレンはそれに従って、その破片を渡した。
「ありがとう...ちゃんと受け取りました。これであの人も喜ぶだろう...では」とその窓から飛び出そうとした相手にサトラが叫んだ。
「逃げられると思ってんのか!?」
「あなたからは無理だろうな...でも、ここで大人しくした方が良いですよ。あの人が無事じゃ済まさなくなる。」
サトラは少し悔しい顔をして、相手を逃がした。
しばらく執務室は困惑と沈黙に包まれた。
ランカもケイコも...カレンも巨漢も...皆にして複雑な気持ちを胸の内に留めて、誰にも喋らなくなった。
一人を除いて、その沈黙を破った。
「あ...畜生!どうしようどうしよう...困ったな...あ...どうするんだ、これ!...なんてね。」
と言った後、サトラは自分のスマホを取り出して、何か操作した。
「追わないのか?」とここでケイコは最初にサトラに話しかけた。
「あ...大丈夫...それよりこういうことはあの人の想定内というか見た未来で分かったから...」とスマホを操作する手が止まった。
「だから、これを用意したんじゃ。」
そして、サトラはスマホの画面を皆に見せた。そこにはさっき録音された声だけとは違って、ちゃんと録画された動画だった。
「参謀の白鬼様からのメッセージだ...ちゃんと見てね。」
未来を見た者からこの状況のことが説明される。
今回の感想↓
アクションになった!
急にゆっくりじゃなくなった!
いろんな勢力が同じ回に出た!
新キャラもさりげなく登場!
この一話で三場面というのは何なんだ!?
キャラクターが絡みまくりすぎて...なんか...ヤバい!?
作者も訳分からなくなりました。
相手の思うつぼになったかと思ったら、見通した参謀様からの動画付きメッセージが!?!?
2話分ぐらいのボリュームになりましたが、楽しめたら嬉しいです...マジで...
とんでもねー展開にしちゃってすみません。
ゆるりとした雰囲気を一気にぶっ壊してなんかすみません。
ぶらり旅は帰ってきます!そのはず!
次はどうなるのかって...?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
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改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
また、お陰様で...この作品は30000PVに達成しました!!!
本当にありがとうございます!
この作品を描き始めてあと少しで4年が経ちます。
それでもまだ読んでくれている読者がいる限り、やめるつもりがありません。
(もしかしたら、別の作品を書くこともあるかもしれませんが...並行にしたいです)
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




