豊穣の呪縛(集合)
縛られた者...全員集合
古代インドに語り継がれる叙事詩【ラーマーヤナ】、ヴィシュヌ神の化身【ラーマ王子】の愛する【シーター妃】を奪還するために耗発した羅刹羅闍【魔王ラーヴァナ】との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生【椎谷・蘭華】がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
ある山の奥の山森の中に突如現れる大きな西洋式の豪邸に場所を移す。
その一番奥にある広い部屋の中には二人の女性が何かの話をしている。
片方はかなり歳を取った老婆だが、彼女の眼差しは若々しく...威厳のある姿で別の人を見ている。
一方、見られている相手はまだ幼い少女で、無邪気な表情の裏には何かを企んでいるかのような表情を見せている。
「なんだ...そこまで知っているのね...お婆さん。」
「我々の情報網をなめないでもらいたい...あんたが何者ぐらいはすぐに分かる。ここに来ることも想定内だ。何かを探ろうとしているみたいだが...無意味だ。」
「そうそう...そろそろ説明してくれないのかな...アレは一体どういうことなの?呪いの正体とか言っていたけど...」
「あんたに説明する義務は何一つもない...」
「義務なら大ありよ...私の正体を知った上でね...もう無関係と言わせないわよ。」とここで少女は少し冷たい視線を老婆に送った。
「...知ってどうするつもりだい?」
「さあね...でも、ここでお婆さんと話している間に少し時間を稼いだみたい...」と少女が言い終わったそのとき、ちょうど部屋の外から扉がノックされた音が聞こえた。そして、声が聞こえた。
「お客様を連れて参りました。」
それを聞こえた老婆は少し目を大きくして、少女を見つめていながら、扉の向こうにいる人に指示を出した。
「...入りたまえ...」
扉が開けられて、部屋に入ったのはさっきもこの場にいた執事の格好をしている支配人の男性ともう一人の女性だった。
「あ、失礼します...」と少し緊張している様子を見せている女性、古海・香蓮は部屋の中を見回り、そこであるところに立っている少女を見た瞬間...
「あっ!あんた!」と言って、すぐに少女のところに近づけようとした。
しかし、カレンは支配人の男性に止められた。
「お客様...その者に近づいてはいけません。」
「え?どういうこと?...まあ、いいわ。あんた...私に何をしたの?恨まれる覚えがないなんだけど。」
「ふふっ...ウルミラ...いいえ、カレンちゃんには特に恨みなんかないよ...ただ眠ってもらうことにしただけだから...ほら...神社の中にあるモノを見て、ショックで逆に倒れてしまうかもしれないしね...ね?お婆さん...」と少女は今度老婆の方を見つめた。
「神社の中...って...っ!?」とここでカレンは何かを思い出しそうだった。
「そうだ...あれは...確か...」
「古海さん。」と老婆はカレンの会話を遮るように呼びかけた。
その声を聞こえたカレンは老婆の方に顔を向けた。
「あ、すみません...いきなり大声を出して...ってなんで私の名前を?」
「あなたのことはうちの孫からたくさん聞いたよ。いつも仲良くしてくれているって。」
「ということは...あなたは蘭華のお婆様!?」
「椎谷・恵子だ...」
「あ、えーと...お助けいただき、ありがとうございます。ちなみに...そちらの少女は...」とまた少女の方を睨んでいるような顔をしたカレン。
「酷いな...カレンちゃん...私はシーっ」と少女が話している途中で老婆の声はまた遮った。
「この者は、魔王ラーヴァナの末裔...ラヴァン家の一族だ。」
「魔王の末裔...?えーと、ちょっとついて行けないのですが...つまり...」と疑問ばかり頭に浮かべたカレンを見て、少女は無邪気な表情のまま...こう言った。
「そうだよ...私はラヴァン家の長女、ラクシュミ・ラヴァンだよ。どうぞお見知り置きを...そして...」と突然素早い動きでカレンの方に接近した。
「あなたが持っているものをっ!?」とここまでカレンに近づいて、彼女が手に持っているモノを奪い取ろうとしたが、少女...ラクシュミは取り押さえられた。
それは彼女より早い反応で彼女の背後から取り押さえた...支配人の男性だった。
「っ!?」
「お客様に危害を加えることは許しません。」と支配人の男性はラクシュミをそのまま拘束した。
「え、す...すごい...」と思わず声が零れ出したカレン。
「そのまま拘束しろ。」と老婆...椎谷・ケイコは支配人の男性に指示を出した。
「離してよ!」ともがいているラクシュミを無視して、ケイコは椅子から立ち上がり、カレンの方に歩いてきた。
そして、彼女が手に持っているモノを見て、驚きの表情をした。
「あなたか...それを手に入れたのは...」
「あ、えーと...はい...目覚めたらこれを握っていて...これは一体何ですか?」
「それは...」と何かを説明しようとしたケイコだが、少し口をすくめた。
「代わりに説明してあげましょうか?」とさっきから拘束されて、身動きができないラクシュミが突然言い出した。
「やめなさい!」とケイコはラクシュミに向かって、大声で止めようとした。
そして、同時に突然扉が開けられ、別の者が部屋に入り込んだ。
入ってきた人は部屋内の事情を知らずに普通の挨拶をした。
「ただいま、お婆ちゃん!ごめん...遅くなって...ん?」
間に合わなかった...
「それはね...魔王の心の最後の破片...完全なる魔王を復活させる最後のカギ!
あなたが神社で見たのは...その破片を守るために封印の儀で石化した巫女の末路だ!
しかも...その人はこの人の娘!つまりあんたの親友の母親なんだよ!」
少女がその言葉を放った後、部屋の中にいる者全員は困惑と沈黙に包まれた。
一人を除いて...
「あれ...私、入るタイミングが悪かった?」と反応に困って、苦笑いしかできないランカだった。
今回の感想↓
とんでもねー発言が出てしまいました!
とんでもねーことが...偉いことになった!
神社の社で見たもの...肝心のアレをずっと伏せようとして、言うのか言わないのか...誰に言わせるか言わせないかというやりとりをしましたが、もう限界です!
一層言ってしまえ!
役者が揃ったタイミングに!
結構...インパクトあると思いますが...いかがでしょうか?
カレンちゃんの登場だけじゃなくて...ランカが到着したタイミングまで!?しかもピッタリ!?狙っている!?
どこまで計算したのかは言いませんが...まだ何かを企んでいるには違いないその少女...
もう正体がバレたし!
でも、お婆さんと支配人も中々ですね。
なんで支配人はみんな強いという印象なんだろう...
ちなみに名前はセバスチャンじゃないですよw
こりゃ...ランカちゃんはどう思うのだろう...
一体どうなるの?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
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改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
今年の第13回ネット小説大賞に再挑戦します!
また、お陰様で...この作品は30000PVに達成しました!!!
本当にありがとうございます!
この作品を描き始めてあと少しで4年が経ちます。
それでもまだ読んでくれている読者がいる限り、やめるつもりがありません。
(もしかしたら、別の作品を書くこともあるかもしれませんが...並行にしたいです)
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




