ぶらり旅(車旅④)
魔王...旅の途中で共闘
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
「嘘...」
目の前に映る光景はかなり信じがたいなのか...彼女の口から一言静かにこぼれた。
車が急停止した位置から少し距離があるところには別の車が停車している。
しかも1台ではなく、何台が横に並んで、道路を塞いでいる。
「おいおい...何なんだよ...それ...」
「えーと...渋滞でしょうか?通れない...ですよね...」
「さすがに無理だな...お嬢...あと、よく見ろ...車のタイプが一緒だ...」
「あ...本当だ...」
「そう言えばさっきから後ろにも前にも他の車が一台も見当たらない...怪しさプンプンだぜ...一旦引き返した方が...」と運転席に座っている人が言うと、停まっている車から人が降りてきた。
その一人は彼女たち...椎谷・蘭華たちが乗っている車に向かって歩いてきた。
その人は運転席の方のカーウィンドウに近づけると、そのガラスをノックした。
運転席に座っている人、ナーガラジャ斉藤という名前で活躍している男性は少しウィンドウを下げて、話してみることにした。
「何か?」
「大変申し訳ございません。現在この道路を封鎖しています。」
「は~?」
「私たちはある人物とその一行を探しておりまして、この道を通るという情報を得て待機しております。」
「へ...犯人追跡みたいだな...でも、あんた...その格好じゃ警察じゃなさそうだよな...何もんだ?」
「斉藤さん、そんな聞き方は...」
「我々は主の命令で任務を遂行するだけです。」
「じゃ、俺たちは関係ないよな...悪いが...車一台通してくれないか?こっちもお客さんを目的地にお届けするという任務みたいなもんだからさ...」
「それはできません。」
「じゃ、引き返して別の道にするわ...あんたらの任務に邪魔したくないし...」
「それもできかねます。」
「は?どういうことだ...俺たちはあんたらが探している犯人と違うだろ?」
「あなたたちにはここで待機してもらいます。」
「訳わかんないことを言うんじゃねえぞ!」という不満を口にしたその瞬間、外に立っている人は何かを取り出した。
それは...黒く輝ける金属...拳銃だった。
「どうかご協力をお願いできないでしょうか?」
「え?銃?」とランカは思わずに声を上げた。
「穏やかな願いのやり方じゃねーな、おい。」
「ど...どうしよう...ラ、ラジャ...」とランカは後ろの席に振り返ると、さらに不思議なことが起きた。
「い...ない...?」
後ろ席に座っているはずの巨漢の姿が見当たらなかった。
そして、車の外から悲鳴が聞こえた。
「うっ!うわ~~~~!?!?!?」
ランカが外の方に視線を向けると、さっき銃を持って話している人の姿が消えた。
代わりに巨漢は外に立っている。
よく見たら、巨漢の後ろにその人の姿が道路の端で見えた。
気絶している...
「ナイススロー!魔王様!」
「え?今のってラジャが...」
それから、巨漢は他の車が停まっているところに向かって、歩き出した。
「マズいよ...」
「これでいいんじゃないの、お嬢?道を空けてくれないなら、こっちから強行突破するんだ...く~ロックなやり方だぜ!」
「感心する場合じゃないですよ!止めないと...」
「と言っても...俺もお嬢も...魔王様を止められるの?」
「私の言葉なら説得できます!」とランカが車のドアを開けようとしたとき、伸ばされた手で止められた。
「やめた方がいい...あんたに何があったら、魔王様はもっとヤバいことをする。それでいいのか?」
「でも...」
「風が激しく吹いている...」
「え?...いきなり何を言っているのですか?」
「ウィンドウの外から流れて入った風が言ってくれたんだ...嵐が来るってな...」
「あの...ここで歌の歌詞みたいに言っても...」
「いいえ...本物の嵐だよ...【風神様】の登場だ!」と次の瞬間...ランカが乗っている車が動いた...
というより、浮いた!
浮き上がった車はそのまま前に飛び始め、障害物の車たちを超えてから、道路に着地した。
衝撃の出来事でランカの頭はついていけなくなったが、
「今だ!」と言ったナーガラジャ斉藤は車が着地した瞬間、アクセルを全力で踏んで車をかっ飛ばした。
やっと状況の理解がついたランカは一番気になったことを言い出した。
「ラジャ!」
「まずは追いつかれないように逃げるのは最優先だ、お嬢。」
「でも!ラジャ一人で!」
「大丈夫だぜ...」
「大丈夫って、あの人?が魔王だから負けないということですか?それは...」
「負けるとでも?」
「勝つとか負けるとかそれだけじゃないんです。一緒に連れて行かないと今回の帰省は意味がないんです。」
「だから大丈夫なんだ。」
「何がですか?」
「さっき俺も言ったぞ...風神様が登場するって...あれはな...俺の耳に囁きの声が聞こえたんだ。」
「...本当に大丈夫ですか?いろんな意味で...」
「車を飛ばすからそのまま行け!あとは俺様が魔王となんとかするって言ったよ。」
「それって...」
「あ...風神様だ...まあ、風神本人というより【風神の子】の方が適切だな...」
ランカたちが乗っている車が無事に着地したあと、走って行った車を見守った巨漢。
車から次々に出てきた人たちは、取り出した銃を構えて、巨漢に向かっている。
巨漢も自分の武器の楽器、ヴィーナを召喚し、戦闘態勢に構えている。
とその瞬間、激しい風が吹き始めた。
そして、空から誰かが降りてきた。
それは...真っ白のワンピースが似合う白肌と白い髪の少女の姿だった。
その可憐な少女はニヤリとした笑顔で巨漢に一言言い出した。
「や...助け...要る?」
その少女を見た巨漢はとても不満そうな顔をしてこう言った。
「猿どもに助けてもらうぐらいなら、余はここで命を落とした方がマシだ。」
それを聞いた少女もカカっという笑い声をして、「こっちは頼まれたから、しかたなーく助太刀するだけさ。まあ...早く片付けて思う女と再会した方がいいと思うけどは。」
「...ふっ...好きにしろ...余の前で邪魔でもしたらお前も一緒に潰すだけだ。」
「りょーかい。じゃ、共闘でも行こうじゃないか!」
宿敵...初の共闘
今回の感想↓
うお...作者でも驚きの激アツ展開!
まさか魔王とヴァーユの子が一緒に闘うという少年誌っぽい展開にしたとはw
ランカたちを待ち構えているのはどれにしようかなと今回のパターンをいくつか考えていて、こうなりました。
道を封鎖したまで誰を待っているのだろうね...
主とは何者だ?(というかどっち側のモノ?)
と先に動いたのはさっきまで大人しくしていた(前回はポテチを抱きしめた)巨漢の方だった。
あと、風が吹いている...嵐が来る...とかの厨二っぽいセリフを使ってみたかったのですw
まさかこんなシチュエーションで使うとは...
登場したサトラ...
やれやれの感じの巨漢...
この共闘は一体どうなるのか!?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
今回の第13回ネット小説大賞に再挑戦します!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




