表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/208

蘭華(ランカ)

古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした...もしこの物語は運命によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか。


時は現代日本、ある女子大学生がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命が動き出す...前の【先日譚】である...


運命は抗えずに同じことが繰り返す...そのようなこと、誰が言った?


断じて認めぬ!なってたまるか!


どれだけ運命に抗っても...


例え神と戦うことになっても...



余は愛する人を幸せにする!

時は1か月前に遡る


東京都内 某大学の食堂


「あんたね...前のネパールへの旅が終わって、無事に帰ってからまだ一週間も経っていないのに、次の旅先も決まったの!?」

と突然相手に呆れと怒りが混じった声で話しはじめた女子大学生らしき声が食堂に響いた。


「だ、大丈夫だよ、香蓮カレンちゃん。すぐに行くわけじゃないし...ただね...」とその話し相手は何かが胸に抑えきれない気持ちが爆発しそうでニヤニヤした顔を見せた。そして取り出したのはスマホだった。


「だって、ジャナクプール寺院はすごくきれいだよ!

「ラーマーヤナ」に伝わったシーター妃の故郷だよ!

もう私はそこからすぐインドに行きたくて行きたくて、

でも観光ビザがないし、インドの国境はすぐそこなのに、

もう!なんで好きなところには簡単に行けないのかな...」

と熱弁の後にため息をついた女子大学生らしきのもう一人


それでさっき「香蓮」と呼ばれた女子は相手に向かってあきれた顔で肩をすくめてみせた。

「さすがインドの神話とか叙事詩に詳しい南アジアオタクの名にふさわしいあんたの発言と情熱だよね...蘭華ランカ


「へへ、その名にふさわしいと思わないけど」と蘭華と呼ばれた女子は照れながら小さな笑顔で返事した。


「皮肉だったわよ、さっきは!まったく...明るいというか呑気な性格はおめでたいよね。」


「へへ、そこまで褒められなくもいいよ、香蓮ちゃん」


「これも皮肉だよ!ひ・に・く!もうあんた...今年で卒業できないと、もう留年のところじゃないわよ」


「うん...とりあえずはさっきまで教授に説教されて、それでネパールの旅でたまたま見つかったマイナーの遺跡についてレポートを出したら、「今回は許す」と言われた。」とその説明に対して、目をパチクリさせてからまたため息をついた香蓮だった。


「は...考古学の人って遺跡とか歴史とか目がない人ばっかりなの?今回はどんだけすごいレポートなのよ?」と香蓮が再びため息をついて蘭華に問いかけてみた途端、答えを待たずに取り直して香蓮は蘭華の目をじっくり見て次の言葉を放った。


「いいかしら?好きなことに没頭することは責めないけど、まずは自分の財力とかを考えて行動すること!いいわね?」


「うん。もちろんだよ!だからこれからコンビニのバイトに行って、そのあとはファミレスと居酒屋の連続バイトでガッツリお金をためて、これを1か月やれば次の目的地に行けるよ!」

という蘭華の回答を聞いて、香蓮は何回か数え切れないため息をついた。

そして、またあきれた顔で蘭華を見た。


「あんたは卒業する気はないよね?分かったわ。もうあんたが好きに生きればいいわ。さようなら」

と椅子から立ち、去ろうとしたときに腕が捕まえられた。


「か...香蓮ちゃんの心配は理解するつもりだよ。でも大丈夫...次の目的地に行ったら、良い論文のテーマが決まりそうなの!だから...今回こそはちゃんとした論文で教授を驚かせてそれで晴れて卒業できると思うの!」


蘭華の輝いた目にはまぶしすぎて直視できない香蓮は遠いところを見ながら返事した。


「は...今回ね...これで何回目かわからないけど、私もすでに社会人4年目なんだから、たまたま今日は大学に用事があってきたから、あんたも相変わらずだし...もう心配する側になってみろっつうの。」


とまた何回か数え切れないため息を交じりながら、最後の質問を蘭華に投げてみた。


「で?次の目的地はどこなの?」


その問いかけに対して蘭華は今まで見たことのない輝いた目で香蓮に近づき、円満な微笑みでこう答えた。


「スリランカ...つまりランカ島だよ!」

最後までお読みいただきありがとうございました。

古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。


日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


もしお気に入りやご興味があれば、「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も受け付けます。


毎日更新とはお約束できませんが、更新をできるだけ頻繁に続けますので、お楽しみください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まだ冒頭を読んだだけですが、 良くありがちな転生チート系でなく、 面白そうな予感が致します。 私も「狼駄」という名で連載しておりますので 良かったら読んで頂けたら幸いです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ