ふらり旅(車旅③)
魔王...車で初めて〇〇を食す
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
またこの狭苦しい空間に戻った。
そして、此奴...竜王が操縦席に座り、愛する我が君がその隣の席に座るこのクルマが動き出した。
さっき訪れた場所...ミチノエキという場所を出発した余たちは、しばらく道を進んでいる。
そのミチノエキで愛する我が君は此奴と何かを話していた。
余が完全に理解にはまだできない言語で...
しかし、それでも愛する我が君の表情を見たら、余はすぐに分かる。
どこかで哀愁が漂う彼女の表情から察すると、明るい話題じゃないということぐらいは...
聞き取れた単語は少し分かる言葉がある。
カミ...それは要するに神々たちであろう...
それは愛する我が君とは関係があるに違いない。
また...聞いたことのないミコという言葉とはなんだ。
説明してもらいたい気持ちは山々だが...直接に聞くことは無粋な行為だ。
愛する我が君がいつか余にも説明してくれる時が来るまで...余は何も聞かないことにした。
なぜならば...この時間を...其方と過ごす時間を大事にしたい...から...
と思っている余に突然愛する我が君に声を掛けられた。
「これ...食す...試す...いかが?」と余も分かる言語と共に彼女の手に取っている何かが差し出された。
それを受け取った余は自分の眼で確かめた。
それは...輪切りされた固い何かだ...
金色に近い黄色で...匂いを嗅ぐと香辛料の香りがした。
ということは余にこれを食べてみるということか...
其方からもらったものは例え毒が入ったとしても余は躊躇なく食すのみ。
そう決まれば余はそれを口に入れた。
...
固いと言っても一瞬で噛み砕いた。
そして、それが砕けた瞬間...味が口の中に広がった。
??
肉類が入っていないはずなのに...肉の味を感じる!
それだけじゃない...複雑な香辛料の味は後を追ったかのように感じ始めた。
広がる味を堪能した余はそれを飲み込むことを戸惑いさえも感じてしまった。
こんな小さなものでここまで味が凝縮されるものなど...今まで食べてみたものと違って、とても興味を持ってきた。
そして、飲み込んだ...
あ...まだ口の中に残っている味の余韻が楽しめる...
このようなものがあるとは...この時代の人間はこれを作るのに大変苦労したであろう...
と思った余は前の席にいる愛する我が君を見て、御礼をした。
「アリガトウ...」
「ん?気に入ってくれたようだね...まだいっぱいあるから...えーと...代わり...たくさん...ある...」
何!?
そんな貴重なものをまだたくさん持っているのか?
なんという贅沢...
さすが愛する我が君...このような美味を携帯するほど...なんということだ!
今度はそれを此奴に渡した。
余と其方だけのものだと思っていた...下等の此奴に渡すなんて...
なんと...
なんと寛大なんだ...さすが愛する我が君...
だから余は...其方を...
と愛する我が君が今度それではなく、小さな袋みたいなものを渡された。
中身を確認すると...
これは!
先ほど余が食べたそれが何枚も入っている!
これは...金銀を入れる袋のようだ。
この袋を余に渡してくれた愛する我が君は余にこう伝えたかっただろう。
あなたにはこれを託します...どうか大事にしてくださいと...
あ...
余は感服した...
このお宝...余の息が止まるまで大事にする...
そして、その袋を抱きしめた。
それを見た愛する我が君と呼ばれた女性...椎谷・蘭華は少し不思議そうな顔をして、手に持っている別の袋を開けた。
「そんなにポテチが気に入ったんだ...意外...でも、この和牛味がしっかり味がして、美味しいですね。」と隣に運転している巨漢からには下等の此奴と呼ばれた男性?...ナーガラジャ斉藤と名乗った男が後ろの様子をバックミラーで見て、ニヤリと笑った。
「あ...こういうご当地ポテチとかは当たり外れがあるかもしれないが...これは当たりだぜ、お嬢。でも、たぶん魔王様は別の意味で気に入ったんだと思うよ。」
「ポテチじゃなければ...何にですか?」
「まあ...とりあえずそっとしておこうぜ...しかしよ...さっき聞いた話は俺でも驚いたぜ...まさかお嬢にはそんな力があるとは...」
「いいえいいえ...形式的だけであって...代々伝わる力とかはないですよ。今になってはお婆ちゃんが巫女をやっていて...祈祷するとか行事に参加するだけで...いきなり力を使って、何かなるわけじゃないです。」
「それでも...神々から力を授かったことでしょう?本気を出せばお嬢だって使えるかもしれないぜ。俺は神様じゃなくて...竜王だけどな...特に力はないからなんとも言えないけど...」
「でも...今まで逢ってきた竜王の方々にはなんというか...皆は何か特別の力を持っていますが...」
「皆それぞれという感じかな...俺にあるとすれば...お客さんをメロメロさせる音楽の力かな...ははは。」
「それもある意味で力かもしれませんね。」
「いいことを言うぜ、お嬢!あとでサインをあげるわ。」とここまでほのぼのの会話が続いたと思ったら...
目の前にあるものを視認したナーガラジャ斉藤は突然ブレーキを踏んだ。
あまりにも突然なことでランカは目を閉じた。
目を開けて何がどうなったか確かめようとした彼女が目にしたものは...
「嘘...」
旅の途中にトラブルが付きもの...彼女たちにはまさにその状況に直面している。
今回の感想↓
車の旅再開です!
前回ランカちゃんが話した会話の内容を回想みたいにしようと思いましたが、魔王はその内容については理解していない感じで今回の話をスタートしました。
あとで少し匂わせるみたいにランカちゃんとナーガラジャ斉藤さんがその話をしてもらって...まずは情報の開示はこれぐらいにして...
まさかの魔王様の溺愛ぶりと勘違いが炸裂した感じになるとは...作者も驚きました(自分で書いておいてw)
車の中で話を広げようとしたら、そうだ!買ったお菓子を食べることにしたらどうだと思って、こうなりました。
しかもポテチでこんなになるとはさすがというか...愛は盲目と言うのはこれですかね。(知らんけど)
食レポっぽくしてみたが、いかがでしょうか?
あ...ポテチ食べたくなりました!
ドライブもしたい!(車が...ない)
で...ほのぼのに終わらせようと思ったらどうやら何かトラブル発生!
目の前にいるのは一体...なんだ!
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
今回の第13回ネット小説大賞に再挑戦します!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




