眠り姫の夢(アゲイン③)
彼女はまた...夢の世界に誘われた
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
「あなたは...誰?」という言葉が思わず彼女の口から零れた。
なぜかというと自分が見ているもの...ある人は彼女の想定とは違っていたからである。
ここは...夢の世界
以前彼女が体験したときには一人の少女、シーター妃と名乗った少女と出逢った。
しかし、彼女が眼を覚めると...夢で見ていたことや聞いていたこと全部忘れてしまうという現象が起こる。
前回には目覚めたばかりの彼女が必死に覚えてメモに殴り書きしたキーワードは...今の現実の世界での行動に繋がっている。
不思議なことにこの世界を訪れると、以前無くなった記憶が蘇ることになっている。
忘れたくないのに忘れてしまう...その葛藤は彼女の脳裏に浮かんだ。
それでも今回の夢の世界で3度目の訪れとなる彼女、古海・香蓮はこの夢の世界に出逢ったシーターと逢えると思っていた。
しかし、目の前に現れたのは別の女性だった。
シーターは現れない...なぜだろう...
いや、よく考えてみればこれは夢じゃないか?
夢の中に誰が登場するかは分からない。
急に知らない人とかたまたまどこかで見かけた人とかが突然夢に出てくる話なんてよくある話じゃない...
何を期待していたんだろう、私...
せめて報告したい...私はあなたが残してくれた言葉をヒントに椎谷村という場所までたどり着けそうだと...
そんな都合良くにはならないわね...夢の世界と言えど...
「ランカにこの話もろくに伝えられないのに...」
彼女が弱音が零れたかのような小声で言った。
その小声に目の前にいる女性が反応した。
「ランカ?あなた...ランカを知っているの?」と女性の問いかけにカレンはやっとその女性の方をちゃんと見た。
その女性は彼女が出逢ったシーター妃の容姿とは違うが、その面影はどこかで似ている部分がなくもない。
年齢は...30代のところかな...いや、20代後半にもあり得る。
少なくとも私よりは年上だ。
あと、シーター妃との共通点があるとすれば、やはりその小麦色の褐色の肌...
服装は特段珍しくない洋服だけど...今のトレンドじゃない...もっと...なんだ...時代がスレている。
こういうファッションは最近だともっと年上の人が着るような感じかな...
この違和感はなんだろう...
その女性にいろいろ聞きたいけど...さっきランカのことを聞かれたよね?
「あ、はい。椎谷・蘭華のことなら...知っています...親友です。」というカレンの回答にその女性が今までにないすごく嬉しそうな顔をして、突然カレンの両手を掴んで握った。
「そうなんですか!?よかった...」と言って、彼女は嬉しい顔をそのままにして、目が少しうるうるとした。
「あ、あの...あなたはなぜランカのことを...というよりあなたは誰なのか教えてくれませんか?」とカレンは問い直した。
その女性はすぐに握ったカレンの両手を離して、少し落ち着いた声でカレンに謝った。
「ごめんなさいね...痛くない?」
「あ、大丈夫です。ところであなたは...」
「私は...○○○○です。」
ん?
「あの...もう一度さっき言ったことを言ってもらえませんか?」
「あ、はい...○○○○です。」
え?
なぜかある部分だけ急にノイズが入ってきて、全く聞き取れなかった。
おまけに女性の唇には突然モザイクがかかってきたにも見えなくもないし、口の動きからも読み取れなかった。
なんなんだよ...今回の夢...アリなの?
...アリか...夢だし...
「えーと...すみません...どういうわけかあなたは何者か知ってはいけないっぽいなのです。」と素直に今の状況を女性に伝えたカレン。
「あ...たぶん私のせいかもしれません。今の私は封印されているから、その影響かも...」
「え?今...封印って言っていませんでしたか?」
「うん。事情があってね...ある人を守るために、私は封印されることを選んだの。」
「は...いきなりの急展開すぎて、追いつけないんですけど...」
「でも、安心したわ...あの子には親友がいると聞いて...」と女性が話題を変えた。
「え?」
「ねえ...よかったら、あの子の話をもっと聞かせてもらえない?」
とさっきまで暗闇だった周りが当然緑色に染まった。
そこはどこかで見たことがあるような...公園だった。
そして、二人は白いベンチに座っている。
こういう場所が突然変わるのは前と同じだな...
本当に...これは夢の世界だと今更実感した。
「えーと...何から話したら...」
「そうね...あの子と初めて会ったときからでもいいのよ...たくさんあの子の話が聞きたいの。」
「そう...ですか?じゃ...初めてアイツ...いや、ランカと逢ったときから話しますね...初対面なのにアイツは...」
夢の世界の中にカレンと名前の知らない女性の間に...たわいのない会話が始まった。
今回の感想↓
眠り姫の回が帰ってきた!
ずいぶん前に終わったかと思いきや、また登場させました。
驚きましたか?
まあ...こう来ると分かった方もいますよね。
実は最近作者自身はめっちゃ夢を見たのです。
断片的な...印象に残る概念的なことしか覚えていませんが、毎回毎回なんでこんな夢を見るんだ?とずっと不思議で仕方ないのです。
例えば、全然何年ぶりも分からないぐらい連絡さえも取っていない同級生が出てきたりして、そこまで親密ともいえない人の方が出てくるとかして...
あと、多めにサバイバル系の夢が多いです。ゾンビから逃げるとか1人しか生き残っていない世界で生き残るとか...
夢占いにしたら、どんな感じになるでしょうね…作者はそういうのはあまり興味がありませんが
でも、自分の脳を研究したいです(できるのか?)
それはさておき...
カレンが夢の世界で出逢った女性は名前が知られない...でも、ランカちゃんのことを知っている。
一体何者だ?
まあ...いくつかのヒントを残したので、たぶん察した方がいるはずですが...
封印とか...一体どういうことなのか
と思ったら、またほのぼの会話という展開にw
まあ...いいじゃないですか?(良くない気もする)
この夢の世界の中の話はどんな方向に行くのか...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
今回の第13回ネット小説大賞に再挑戦します!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
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現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




