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ぶらり旅(車旅②)

魔王...道の駅に訪れる


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

ある道の駅に車が停まっている。

車の後ろ席から出たのは車内では狭苦しそうであろう巨体で黒に近い褐色の肌をしている強面男だった。

その後、助手席から出た女性はその巨漢の方に何かを言った。

そして、二人は道の駅の建物に向かった。

「俺は一服してから行くから、お嬢は魔王様と二人で先に行っておいで~」という運転を担当している男性の言葉を言われた通りに女性、椎谷(しいたに)蘭華(ランカ)は先に車を降りた。

一人だけ残った男性は自分のスマホを見て、何かのメッセージを打った後に送信ボタンを押してから、彼も車を降りた。


その道の駅の中にはその地域の名産品がさらっと並んでいる特売コーナーがあり、その奥には飲食スペースがある。

ランカは興味津々で名産品を見回って、「この野菜...この辺りだけ...あ、それが入っているお菓子もある...どんな味だろう...パッケージがどう見てもあれのパクリかな...あ、これ...軽食...あとは...」とそれが何なのか自分の言語能力で巨漢に古代言語を交えながら紹介した。

巨漢の反応はどちらかというと相変わらずの強面を保ちながら、ランカの説明を真面目に聞いている様子だった。

「へ...ここも○○牛があるんだ...値段は...高いけど、普通に比べて安い!おばあちゃんにこれをお土産で買ってあげたら、どんな顔をするのかな...」と少し考え事をしたランカ。

そう...彼女は単なる旅行ではなく、これから自分の実家...彼女曰く椎谷村と呼ばれた場所に帰省する途中だからである。

今回の帰省というのはかなり久しい...というより彼女は実家を出てから一度も戻っていないという事実は何かの理由があると思われてもおかしくない。

しかし、彼女はあまり他の人にその理由については話していないということもあり、彼女のいつも明るい性格から見て、その彼女は今彼女の祖母のことを思って、お土産を選んでいる様子から見ると、その理由は祖母との関係が悪いということじゃないかもしれない。

何にせよ...彼女を見守りながら、傍に付いている巨漢にしては関係のない話であろう。


やっと買い物を決めた彼女はレジで支払いを済ませて、巨漢が待っているところに戻った。

「お待たせ...あ、待たせること...ごめんなさい...」と少し申し訳なさそうな顔をした彼女に対し、巨漢はいつもの顔で「問題...無い...」と短い返しをしただけだった。

「ちょっと時間があるから...そこ...一緒に行く...いかが?」とランカは奥にある飲食スペースに指を指して、巨漢に言った。

巨漢は無言のままに付いていくのみだった。

その時間帯は人が少なく、空いているテーブルもいくつある。

大抵そのスペースを使っているのは主に長距離で走った人が休憩する人たちに見える。

トラック運転手に見える格好をしている人や作業着を着ている人たちがそのスペースにある売店で簡単に出せるうどんやご飯を早いスピードで口に運んでいる。

そこに一人の女性と強面の巨漢が訪れると、その人たちは一目で二人を見て、少し不思議に思いながらも自分の食べ物への集中に戻った。

空いている席に座ったランカは隣の椅子にさっき買ったものの袋を置き、売店の方を見た。

そこで、何かが目に留まったのか彼女は目を輝かせて、立ち上がった。

「ここで...しばらく...待つ...お願い。」と片言の古代言語で巨漢に伝えて、彼女は売店に向かった。

少し時間が経つと、彼女が何かを両手で持ちながら、戻ってきた。

そして、それの片方を巨漢に渡した。

「はい。あなたに...あげる。」

それはきつね色のコーンにのせた白いソフトクリームだった。

そのソフトクリームを受け取った巨漢はそのものを見て、少し戸惑いの表情を強面の裏に感じさせる顔をした。

「これ...冷たい...溶ける...早く食べるべき...」という指示のようなことを言ったランカは手に持っているソフトクリームを一口食べた。

うん...美味しいのような笑顔をしたランカ。

巨漢はその様子を見て、自分も試しに食べてみたが...巨漢の一口はソフトクリームの半分ぐらい食ってしまった。

そして、突然頭に痛みが走ったかのような感覚に襲われ、目をつぶった。

「あ...冷たいもの...一回食べ過ぎ...その場合...頭がキーンとする...キーンとするってどう訳すればいいだろう...大丈夫?...調子いかが?」

巨漢はすぐさまに平静を装い、何もなかったかのような顔をして、首を横に振った。

「そう?...ふふっ...まさかソフトクリームでそんな顔ができるって...面白い...あなた...いつ見ても...飽きない...」

と彼女のさりげない片言の古代言語の言葉を聞いた巨漢はなんと...突然顔だけではなく...体全体が()()()になった。

それを見たランカは慌てて、「え?どうしたの!?私...そんなつもりじゃ...」

「ひゅー!紅色に染まる魔王様...こっちまで熱々と感じるぜ!」とここで一緒にここに訪れたもう一人の男性は口笛をしながら、ニヤリとした顔で二人を見ている。

「あ、えーと...これは...」

「大丈夫...言わなくても分かるぜ、お嬢...彼は今あなたという炎に包まれて、その苦悩と快楽の挾間にいるのだ...こんな初々しい魔王様...一曲...いや!何曲のインスピレーションが湧いてきたぜ!」

「何を言っているのかはあまり分かりませんが...どうすればいいか...」

「大丈夫...任せて!」とここで男性は巨漢の耳元に何か呟いて伝えたところ、巨漢の肌色が真っ赤な色から通常の黒いに近い褐色に戻った。

「あの...一体何をしたのですか?」

「何...これは俺の経験話でピュアな心の魔王様の燃え上がる炎を鎮火するだけなんだ...」

「は...」とまだ納得はしなかったランカだが、ことがおさまるので、それでヨシとした。

そして、男性も一緒に同じテーブルに座った。

「中々面白いものを見させてもらったぜ...ありがとうな、お嬢。」

「私...特に何もしていない気がするけど...でも、ありがとうございました。」

「しかし...目的地まではまだ時間がかかるな。お嬢の実家を調べたけどさ...本当に田舎だな。」

「はは...ですよね...決して田舎が嫌いというわけじゃないですけど、そこでは自分が知りたいことが追求できないから...あと...」とここでランカの口が止まった。

「別の理由でもある...みたいな言いかけだな。」

「すぐに分かりますか...そうですね...それが嫌で実家を出た理由とは少し違いますが...その...」

「言いたくないことは別に言わなくていいぜ...」

「いいえ...ただ説明しても中々分かりにくいかと...」

「ほ...?」

「うち...私の実家は...代々神社の巫女になることが掟なんです...その...()()()()()を遣える【巫女】として。」


彼女が手に持っているソフトクリームが少しずつ溶け出してゆくとき、ある秘密もまた彼女の口からこぼれ落ちた。

今回の感想↓


ぶらり旅だ!

道の駅は面白いですね。

名産品とかあとご当地のお菓子とか...たまに何かのパクリのようなものがありますよね。何のパクリかは言いませんが...

そこしか買えないという理由でついつい買ってしまいますよね...作者もわかります。たまに生産地とかを見たらそこじゃないというところも...まあ面白いからいいでしょうw

しかも...飲食スペースに二人でソフトクリームって...デートじゃないか!と叫びたくなりますね。

周りの人たちから見ては浮いている感がありますが、巨漢がいるだけでもう十分シュールでしょう。だから大丈夫!(何が?)

真っ赤な魔王の気持ちをおさめる男性の言葉はなんでしょうね(作者も分かりません(おい))

ほのぼの回が来た!と思ったら、最後にここか!と思われるところに爆弾投下しましたw

いずれ繋がるから、一層ここにしようと思って、やってしまいました。

これで次はどう展開すればいいか方向が見えました。

そこにいつたどり着けるかは...


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

第12回ネット小説大賞に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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