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羅亜夢(工夫)

彼は...工夫に出逢う


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

その場所は古びたある小さな町工場だった。

焼けた鉄と油が混ざったにおいが充満している作業場の中には一人の男性が機械に向かって、何かをしている。

それは鉄の手片のサイズの薄い板で、男性はそれに研磨機にかけたところ、キーンという音と共に鉄の板が少しずつ削られた。

しばらくすると...研磨機の動きが止まり、男性が手にしているのはさっきまでの鉄の板が切れ味が良さそうなナイフに変わった。

自分が作り出したものを安全保護メガネを外して、眺めていた。

よく見たら、作業着を着ているものの...男性の手には保護手袋をせずにそのナイフを素手で持っている。

かなり危険なことをしていることは一目瞭然だが、男性はただ手慣れした動きでそのナイフを傍にある台に置いた。

そして、一息をつくかのように男性は立ち上がって、ふーと息を吹いた。

そのとき、工場の入り口から誰かの声が聞こえた。


「ごめんください。」

「...勧誘とかならお断りするよ...」という挨拶の代わりに男性が言った。

「あ、いいえ...ある人の紹介でこの工場に来ました設楽(したら)です。」

その訪問者の名前を聞いた男性は入り口の方に振り向いた。

そこには一人の青年が立っている。

「誰の紹介だ?」と男性は青年に尋ねた。

「えーと...これを見せればすぐ分かると言われまして...」と青年は自分のリュックサックから何かを取り出した。

それは布に何層か巻かれた何かだった。

その布の巻き状態を解いて...青年が手に持っている中身は年季が入っている【斧】だった。

それを見た男性は目を大きくして、青年に近づいた。

「そうか...これを手にしたというのは、あんたは...」

「はい...」

「そうかそうか...この時が来たか...」

「あの...これをお願いしたいのですが...何か分かることがありますか?」

「分かっている...貸してみな。」と言われた青年はその斧を男性に渡した。

斧の状態を確認するためか男性はよく目を凝らして斧を見ている。

「ふむふむ...」と興味深そうな顔をした男性の前に青年は少し緊張している。

しばらくその斧を見た男性は今度青年を見て、こう言った。

「それで?あんたはこれに何を付けたい?」

「付...ける...ですか?」

「この斧はあんたのことを証明するためだけであって、それであんたのオリジナル要素を付けることであんたたけのものになるんだ。」

「そう...ですか...」

「なんだ...聞いていないのか?」

「え...」


それはあるトランクルームでこの斧と初対面した時に遡る。

「その覚悟は君にあると感じたら...この斧を取ってください。」という言葉と共に差し出された斧は青年...設楽・羅亜夢(ラーム)が一瞬戸惑ったが、手を伸ばしてその斧を掴んだ。

次の瞬間...

...

あれ?

何も起こらなかった。

この斧...ただの年季が入っている斧だけ...なのか?

とそこで斧を差し出した男性...斧を持つ者と呼ばれた男性はラームに言った。

「これで譲渡の儀式が完了した。」

「儀式?特別なこととか何も起きませんけど...」

「これでこの斧は君が何者か証明するものとなる。何...これを手に入れただけで超能力が使えると思っているのか?」

「あ、いいえ...うん...せめて僕の使命は何なのかハッキリと分かったことを教えてくれる...そんな仕組みがあったと思っていた。」

「君はそれを手にすることだけですでに使命を全うし、運命に立ち向かう証になった。そこでだ...」とここで男性はラームに何かのメモが書かれている紙を渡した。

それを受け取ったラームはメモの内容を確認して、「この住所は?」と男性に質問した。

「そこに行けば分かる...そこの主人に斧を見せたら、そっちも事情が理解できるだろう。」

「は...そこに行ったとして、次は...」と問いかけようとしたラームだが、男性はその途中でこう話した。

「それが終わったら、君も何かに気づいたはず...私の役目は導くことだ。答えは君が自分で探すしかないよ。終わったら、連絡してくれ。」と少し冷たいような言い方でトランクルームを後にした男性だった。


そして、現在に戻った。

父さん...いや、師匠が言わなかったのはこういうことか...

「こう聞いてしまうのは申し訳ないのですが、その...追加できる要素というのは何かあるのですか?」

「それはあんた次第だよ...は...仕方ない...付いてこい。」と言って、男性が後を付くような仕草をした。

ラームはその男性の後を追って、工場の奥にある部屋に着いた。

男性はその部屋を開けて明かりを付けた。

そうすると、部屋の中にあるものを目にしたラームは驚きの表情をした。

なぜかというと...そこには()()()()()が壁や棚に飾ってある。

弓や剣などがあれば、銃のようなものまで揃ってある。

これ...レプリカ?と一瞬疑ったが...

「ここにあるものは全て神様に献上するものなんだ。」

「え?神様...ですか?」

「と言っても...今の平和の世の中じゃ、あまり使う必要がないけどな...どちらかというとわしがカスタマイズした【神器(じんぎ)】...神様の力に相当する武器を趣味で作ったものなんだ。」

「あなたは一体...」

「この工房の主...上川(かみがわ)工夫(タクオ)だ。さて...あんたが好きなものをひとつぐらい選んでみてくれ...」

「は...」


青年は自分の使命に近づけた一歩...また遠さがった一歩も感じた。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

第12回ネット小説大賞に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


今回の感想↓

今回は初めから新キャラが登場!

町工場というところで物騒なものを作るって本当にヤバい人しか見えない。

その上になぜか手袋もしないでヤバい物を作ってんだ!?

作者から言っておきますが、絶対マネしないでくださいね!

安全な仕事場を確保した上で身を守るために保護具があるので、すべての対策をした上で作業をする!

こんな特殊な人のマネをしてはダメ!

言っておきましたよ!いいですね?

ヨシ...

そして、現れたのはなんと!ラームだった。

ここで前回登場した回に遡って、その続きと今に至る経緯を...

作者も考えています。

その斧を手に取ったら、もう過去の記憶とか力を目覚めるとかの展開にすれば?と...

でも、なんかそれじゃ簡単すぎるじゃないのかと思い、こういう感じにしました。

あくまで師匠はガイドする側としての役割を全うして、後は自分で見つかるしかないということにして、またラームのことを自分の意思で進められるかなと...

と言ってももっも説明して欲しいと思う方もいるかもしれません

暖かく見守りましょう(親目線)

ところで...いきなり武器庫を見せてびっくりしない人がいますかねw

これでこの工場...工房の主人の正体に気づく方はどれぐらいいるでしょう。

しかも名前は工夫って...名前かい!と作者もこのキャラとピッタリだと思います。

さてと...ラームは何を選ぶか...そして、どうなるか...


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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