駱(非科学)
少年は非科学を...運命を否定したい
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
入ってはいけない...
この扉を開けて、目の前の部屋に入ることは到底できない。
扉を開けないまま、部屋の前にとどまったのは設楽・駱だった。
先日...僕は国会図書館に訪れた。
一人ではなく...最近知り合って、不思議で不可解な出来事を巻き込んだ...いや、それは一緒に体験したという言葉にした方がいいだろう...その人の名前は古海・香蓮さんと一緒だった。
彼女が気になるのは名前が地図から消えたある村...椎谷村のことについて調べたいという相談をされて、様々な情報が調べられる国会図書館のことを思い付いた。
そして、その場所に訪れた結果...ある事実を知った。
ダム計画で沈まれた村...
その村にいた【豊穣の巫女】という人物...
豊作を村にもたらした存在...
ダム建設の計画については特に珍しいことではない。
しかし、巫女の話を聞いた僕はある言葉が脳裏に浮かんだ。
非科学的だ。
最近数々の不思議で不可解の出来事を自分の身で体験し、自分の眼で目撃した僕でもこんな話にはまだ疑いが残っている。
科学的な証拠もなくただの盲信だと思ったが、カレンさんはそうではないらしい。
さらに、突如現れた謎の少女も...
自分のことをあのラーマーヤナの話でヒロイン的な存在、シーター妃だと主張した。
それを否定することは簡単だが、やはり前みたいに自分が確固たる主張で反論できたものの、それを受け入れた自分もいる。
信じたくない...いいえ、信じる信じないという考えはそもそも非科学的なんだ。
検証や証拠に基づいた結論で究明するというのは今までの自分のやり方だった。
兄さんのことも...今回の話も...
でも、結局全てが曖昧なまま...目に見えない何らかの力とか...説明するにはどれぐらいの科学的なアプローチを挙げても骨が折れるぐらい難しいことばかりだった。
正直自分の中には揺らいでいる。
そのとき、カレンと謎の少女と一緒にあるかどうか分からない村を探しに行った方がいいかもしれないと思った自分まで出てきた。
その可能性を否定する訳ではない。
どちらにも主張があり、可能性がゼロじゃない限り...この不可解なことに説明がつく。
でも、それじゃ自分のやり方を曲げることになる。
兄さんと一緒に行ったあの寺での出来事もそうだった...
目の当たりにした光景はどう説明すればいいか分からない。
だから、改めてもう一人の当事者...鳳先生に話を聞こうと思った矢先...僕は彼の研究室の前に立っている。
部屋の中から話し声が漏れて聞こえてきた。
先客か?
それなら、また日を改めることにしようと思ったが、聞こえた会話の中にフッと他人事じゃない言葉があった。
?
僕の名前だ...
なぜここで僕の名前が出てきた。
しかも...呪われた血筋とか...
それは...僕...僕たちのことなのか?
...
今すぐ部屋に入って、その話をしたのは誰なのか...なぜ僕の名前が会話の中にあるのか...呪いというのは何なのか確かめたい...
...
呪い?...また非科学的な言葉だ。
つまり今まで僕が体験してきた不思議で不可解の出来事は全部...呪いのせいという見解にしているのか?
...全く受け入れがたいことだ。
何でもかんでも様々な事象を一つの言葉で理由を付けて片付けることには科学のことを...自分のやり方、考え方、そして何より自分自身を否定することになる。
扉の前に立ちすくんでいる僕は、拳を握りしめた。
否定したい...でも、否定しきれない。
自分には確固たる主張も...証拠も...何一つもないから...
別のアプローチというのは聞こえが良いが、科学的なアプローチの範囲内じゃなければ...それもダメだ。
カレンさんにも謎の少女にも...二人についていかないことを選ぶのもこういう理由だった。
悔しいが、今までの経験は非科学的な主張を後押ししている。
それでも...僕は...
とここでラクは扉を開けずに...後ろに振り向いて歩き出した。
一方...部屋の中には扉に立ちすくんでいた来訪者のことを気づかずに会話が続いている。
研究室を離れたラクは自分のスマホを取り出して、何かを調べようとしたそのとき...
「あの...」
「はい。」とラクがスマホから目を離して前を見ると、そこには一人の女性がいる。
服装と見た目からにしてはラクとはそこまで歳が違わなさそうだった。
「鳳先生に...何か用でもあるのですか?」
「あ、いいえ...あ、はい。先生と話したいことがありますが、別のお客さんと話しているので、また別の日に来ようかと思います。」
「そうなんですね...」
「あなたは、鳳先生の研究室の方でしょうか?」
「え...まあ、そういうもんです。」
「ん?違うのですか?」
「あまり研究室にはいないので、大抵いろんな場所に行ったり来たりしています。たまたま今日は用事で大学に来ないと行けないため、それで研究室に入るのをやめたみたいな感じのあなたを見て、声をかけました。」
「そうですか。入るところをお邪魔してすみません。」
「いいえいいえ...私は特に研究室には用事がないので...ただちょっとあなたのことが気になっていて...」
「僕...ですか?」
「何か悩みがありそうなので、良かったら...こんな初対面の私でも良ければ話しをしませんか?」
「え?あ、えーと...だい...」
断ろうとした...
でもなぜだろう...この人を見ると、その誘いには断れなくなった。
うまく説明できない非科学的...そのような感覚...
否定したくても...こうなってしまう。
「分かりました...設楽・駱です。設備の設と楽しいの楽でしたらです。」
「竜宮寺です...竜宮寺・時炎。時間の時と炎でシホです。」
否定したい非科学...
しかし、非科学的な出逢いはラクを逃してくれない。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
第12回ネット小説大賞に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
前回の続き?にしようかと思いましたが、こういう形にして、実は外には一人の人物が部屋の前にいました。
カレンと別行動のラクくんでした。
ここでラクくんの科学へのこだわり?執着...そして、非科学への否定したい気持ちが表れます。
その狭間にいるラクくんには鳳先生とクマさんの会話に参加することをしなかった。
こういう性格だからこそ、経験との葛藤が生まれて、彼はそれに苦しんでいる...
この作品では深く考えるキャラがいないせいかラクのことはこういうキャラにしたかもしれません。
そして、どうするのかと思う矢先...新キャラ登場!
とにかく名前がすごい!
苗字も名前もすごい!
以上!w
ここからどうやって物語に絡ませるのか?
どうぞ考察してみればと思います。
次は誰が登場するかな...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




