不可解な出来事(ヤブのクマ④)
ヤブ医者...協力者を得た
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
都内某大学
構内にいる人々は今一人の男性に目線が集まっている。
その理由は、派手と言っても過言じゃない青色の髪色をしたからである。
さらに見る目を混乱させるのは服装だった。
このような派手な髪色をする人の場合、服装まで派手にする傾向が多い。
しかし、男性の服装はお医者さんの格好でよく見られる白いガウンの姿だった。
きっちりとした服装に反した髪色に...見る人がざわざわしている中、その男性は一人の学生らしい人に話をかけた。
「すみません...考古学部はどちらにあるか教えてくれませんか?」
行く先を案内された男性はその学生に御礼をしつつ、次にこう言った。
「...あと、これは地毛です。」
その発言が聞こえた辺りは沈黙に変わったときには男性がすでに歩き去った。
そして、男性は建物内のある部屋の前にたどり着いた。
その扉をノックした後、中から「どうぞ」という誰かの声が聞こえた男性は「失礼します。」と共に扉を開けた。
そこには一人の中年男性らしき人物がデスクで何かを調べているのかいくつかの本が開いたままで、男性の方を見た。
「鳳...教授はあなたですね。」
「そうですが、あなたは...」と鳳と呼ばれた男性は男性の方を見つめて、問いかけた。
「始めまして...私は医者を職にしています球磨・治という者です。」
「お医者さんはここで何か御用ですか?」
「私の知り合いからあなたのことについて紹介されました。お伺いしたい...あとご協力してもらいたいことがあって、ここに参りました。」
「突然ですね。私に何ができることがあれば、お力になりたいです...が、少しアポを取ってからお願いしたいです。ちょうど今は研究室にいるからと言って、私にも忙しいので...」
「その件については失礼しました。こちらも至急に調べたいことでもありますので、少し時間をいただいてもよろしいでしょうか?」と言って、球磨と名乗った男性は頭を下げた。
「...分かりました。手短に説明をしてください。」
「それは...」と球磨が何かを言おうとしたそのとき、研究室の奥の部屋から扉が開けられて、何者かが現れた。
「タカくん...お腹すいた...ご飯に連れてって~」という声と共に少女らしき人がこちらに歩いてきた。
服装は至って普通だが、黒に近い褐色の肌色をした少女がさっきまでしていた笑顔は急に一変し、「くさい...」と突如言い出した。
「くさい?今いっぱい古い本が開いたから、カビ臭いかもしれませんが...」
「違う...獣臭い...」と少女は球磨の方を睨み始めた。
「一応医者なんで...衛生的に清潔を保っています。そのような匂いはないはずですが...」と淡々と正論を述べた球磨だが、
「違う...この匂い...知っている...ラーマ様に纏わり付いた猿たちと同じ...不愉快だ。」と言った少女は今度球磨の方に突進してきた。
「!?」
「ちょうどいい...このけものをご飯の代わりに食ってやる!!!」と物騒なことを言い出して、球磨を襲い掛かろうとした。
「やめるんだ!」と鳳は少女に叫んだ。
その命令が聞こえたようで、少女の動きが止まった。
「これは...」と少し驚いた球磨だが、鳳はやれやれの顔をして説明をした。
「失礼...衝動で動くタイプの子でね...私の言うことは一応聞きます。暴れて部屋を散らかしていいのは私が許可していませんから、一旦落ち着いてくれませんか。」
それを聞いた少女は一旦姿勢を正して、球磨から距離を置こうとしたそのとき...
今度は球磨が彼女に近づいてくる。
そして、何かを取り出して、彼女の首の横側に刺した。
それは注射器だった。
「!?」
「説明するにはこの方が邪魔ですので...」
と刺した注射器を抜いた球磨...そこで、少女が突然倒れた。
「何をした!」
「睡眠薬です。しばらく大人しくなるでしょう...」
「そうじゃない!そこまでする必要がどこにある!?」
「襲いかけられる側としての正当防衛です。安心して下さい。一応医者なんで...今すぐ起こすことも可能です。」
「それは医者の仕事に関係するとは思えませんが...は...こちらとしては非があるので、まずはこの子を奥の部屋に寝かせてくれませんか。」
と鳳は倒れた少女を抱えて奥の部屋に行って、そして戻った。
「改めて話を聞かせてもらいます。こちらに座って下さい。」と研究室にある椅子に球磨を座らせて、
「さっきの彼女の反応から見て、あなたは普通の人間じゃないというでいいですかね?」と問いかけた。
「この身体は一般の人間と大差がありませんが、そういう理解でいいかと思います。」
「私も一応似ているような者だから、理解できます。ということは協力というのは...」
「はい...これから始まる【終焉】...それに関わる古の魔王...と呪われた血筋についてです。」
「呪われた?」
「設楽・駱さん...あなたの講義に興味を持っている生徒さんですよね?」
「そうです...ということはあなたの知り合いはラクくんでしょうか?」
「本人ではありませんが、彼と彼のお兄さんにも関わる共通のバカっ...知り合いから彼らはあなたとある出来事に巻き込まれたと聞きました。」
「その話が分かるなら、話がもっと簡単に説明できます。」
「私の推測というよりさっきので確信に変わりますが、やはりその少女は...」
「あなたが考えたことその通りです。今は私が面倒を見ています。間違いなく彼女は魔王と繋がっています。」
「そうですか。」
「お願いというのは彼女と関係があるのですか?」
「はい...私は魔王とは別にある者の血筋と取りつかれた呪いのことを調べています。しかし、魔王の血筋がいるとわかれば、もしかしたら何かの違うことが分かるかもしれません。」
「つまり、彼女の協力が必要になるということですね。」
「はい...ぜひご協力頂きたいのです。」
「...まずは彼女の機嫌を直す必要がありますが、分かりました。こちらからも知っていることを情報として提供します。ここで交換してみてはいかがですか?」
「それは願ってもないことです。ぜひよろしくお願いします。」
2人はしばらく自分が知っている情報を出し合い、話し込んでいた。
魔王と導かれる終焉のこと...
ラーマの血筋のその呪いのこと...
そして、カギとなる人物らのことも...
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
今回はなんと!久々の鳳先生となぜかここでヤブ医者のくまさんまで一緒に登場させたことになりました。
作者は思うのです...
独自に調べる2人をこのまま放っておいてはどう進めるかということを...
そこで!じゃ、くっ付ければいいじゃん?と思った矢先、こうなりました。
やはり例の羅刹女が関わると、こんな展開ですね...と思ったら、中々物騒なことをするヤブ医者?
どこかの闇医者みたいですねw(それ以上ヤバいかも)
ここで共通のバカっ...知り合いを使って繋げました。
誰でしょうね(分かるわ)
このタッグなら、今後の展開に何かありそうですね。
さて...一体どうなるやら...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




