蘭華(帰省)
始まった…帰省の路
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
時と場所は再びタカマツのライブハウスに戻る。
そのライブハウスに響いた喝采の音は地上の外まで漏れた。
その喝采に包まれた会場の中に一人の女性が薄暗いステージ裾から会場の様子を見ている。
すごい...
音楽のことはよく知らないし...
こんなライブハウスに入るのも初めてだし...
でも、すごいということは素人の私でも分かる。
何がすごいかは上手く言えないけど...
こう...体の中から湧き上げた何かが...
音が体全身を震わせたみたいな感覚
どこかで懐かしく...
奏でられた音に...なんだっけ...共鳴?違うな...
どこかで胸に刺さったような...
そう感じたのは私だけじゃないはず。
ここにいる人たちはこの人?のことを知らない...なのにこの反応から見て、盛り上がるという言葉以外は考えられない。
演奏が始まったときにはまばらにいる人はどこから来たのか段々増えて、今にはもう後ろまで埋まっている。
なんだっけ...どこかのおとぎ話かな...笛吹きの人の話...
何百人の人はこの人?と...もう一人の...昨夜逢ったギターの人の音楽に魅了されて、このライブハウスに誘い込まれたかのようだ。
後、もう分かりきったことだけど...この人?は音楽のことになると、とんでもないレベルの上手さを持っているということ。
路上ライブも昨夜のときも曲を完全に再現できちゃうもん。
これは天にも認められるほどの音楽の達人。
...ますます興味を持ってきた。
この一面には伝承と結びつけて、私の仮説にまた一歩近づける...という確信を感じた。
とさっきまでステージに立っている巨漢の演奏を見て思った感想を心の中に秘めていた蘭華だった。
しかし...とてもいい表情をしているね...
楽しそうだ...
今まで見たことのないこの人?の表情...なんか斬新だな。
最近は浮かない顔か通常の無表情の強面かどちらかだけど、今は別人みたいだ。
よかった...
魔王にこんな言葉を使うのは変かもしれないけど、人間らしくなってきたな。
ずっと笑顔の魔王を想像すると、違和感満載だけどね...ちょっと怖い。
でも、この人?をより知るためにはやるべきことが残っている。
今ここにいるのはたまたまの寄り道で得たことだ。
本来の目的はもう決まっているし、この人?のためでもある。
やっと心が決まった。
とここでランカは自分のスマホを取り出して、ある人にメッセージを送った。
その操作が終わった後、ランカは小さなため息をした。
一仕事が終わった後の気持ちを表したかのような...
「ふぅ...これで明日出発だ。」
とそこで彼女の後ろにはスタッフらしき人がランカに声を掛けた。
「あ、その方のマネージャーさんですね?」
「え?マネージャー?」
「あれ?斉藤さんからあなたはそのデカい男性のマネージャーさんだと言われましたが...」
「あ、いえ...え...まあ、違いますけど...そういうもんみたいかもしれません。」
「そう...ですか。ともあれ、斉藤さんはライブが終わった後には楽屋に来て欲しいと案内を頼まれたのです。」
「私も?」
「そうですね。お二人をぜひお話がしたいらしいので、今の様子だと...しばらくかかりそうで、良かったら楽屋で待ってもらってもいいですよ。」
「え...分かりました。」とランカはスタッフの案内で楽屋があるところに向かった。
楽屋に案内されたランカは一つの椅子に座った。
「う~ん...ずっと立ちっぱなしだったな...ライブに行く人ってずっと立ったままで何時間耐えたのは意外に疲れたよね。皆すごいや...」
とくつろごうとしたランカはスマホが鳴ったことに気づいた。
「ん?誰だろう...」とスマホに表示された番号と名前を見たランカは電話に出た。
「もしもし?...お疲れ様です。この時間で電話してきたのって何がありましたか?
あ...はい...えーと、今は東京じゃないです...え...どこにって、カガワです。
その話ならすでに連絡しましたよ。聞いていないですか?
え!?じゃ、なんで私に聞くのですか?
ふむふむ...なるほど...分かりました。伝えておきますね。どうなるかは保証しませんけど...ふふっ
そっちもあまり羽目を外しすぎないでくださいね...私はあくまで【帰省】するんで...
はは、分かりました。では...お疲れ様?というより...失礼します。」と通話を終了した。
それと同時に何者かが楽屋に入ってきた。
「あ、お疲れ様です!すごかったですね。」
とそう言われた2人の中...1人はこう答えた。
「そうですね。ありがとうございます。」
何か違和感を感じたランカはすぐさまにその人に質問した。
「あの...なんか喋り方が...雰囲気が変わったような...」
その人はあ、そうだったみたいな顔をして、
「だよね!さすがお嬢!こういうのは性に合わねーわ。やめだやめ!」と何かが吹っ切れたみたいに前みたいな口調に戻ったのは今日のライブで巨漢と一緒に演奏をしたナーガラジャ斉藤と呼ばれた男だった。
「あ...はい...」
「でも本当に最高にしびれるぜ!今日のよ...さっきまで体がもう絶頂に立たされたみたいでまさにロックの極みだ!ね?兄弟…いや、アニキ!」と隣にいる巨漢を腕で抱こうとした。
巨漢はどちらかというといつもの強面だが、まんざらでもない表情だった。
「アニキに昇格したんですね...あ...そう言えば、話があるって聞きましたが、どんなことでしょうか?」
「あ...そうそう!次の行き先は決まったかい、お嬢?」
「あ、はい...」
「じゃ、ちょうどいい...俺の車で送ってやるよ。」
「...え?」
ぶらり旅は形を変えても旅は続く...
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
ランカちゃん回だ!
どちらかというと魔王の巨漢のライブ感想回になっている。
このようなライブを体験したことがない人の感想はもちろん...ライブ参戦したことがある人の感想もまた違うので...それぞれの感想があると思います。
読者の皆さんにはどんな感想があったのか聴いてみたいですね。
魔王のいい表情もいつか誰かに描いて欲しいです。
さすがに満面な笑顔じゃないと思いますが...興味深いですね。
そして、楽屋に案内されたランカと鳴った電話
誰からの電話でしょうね...(内容から推測してみてもいいかと思います。)
さらにここからの旅はなんと!車で!?
一体どんな旅になるのでしょう...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




