香蓮(あの場所へ)
そうだ...椎谷村に行こう
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
都内のある駅
改札の前で誰かを待ち合わせしているのは一人の女性、古海・香蓮だった。
どこかに出かけるのかちょっとアウトドア用の服装で、背中にはリュックサックを背負っている。
そこで彼女は自分のスマホを見て、誰かの返事を待っている様子を見せた。
予定より早めに来たけど...どうするかな...
というか...私ったら、結構ぶっ飛んだことをしようとしたよね...
とカレンは今の自分が取ろうとした行動とその原因を思い出す。
それは、数日前...国会図書館での出来事だった。
「椎谷村...え?」と思わず声驚きの声がこぼれたカレン。
「この記事によると、国のダム建設計画で当時村があった土地が政府に無理矢理水の貯水地に選ばれ、住民たちは別の村に引っ越しさせられたということです。」と説明したのはカレンと一緒に図書館に訪れて、先ほど記事を発見した設楽・駱だった。
「それって...」とまだ頭の整理がついて行けないカレン。
そこで、もう一人の少女...自らシーター妃の生まれ変わりと名乗った少女がまた会話を割って、こう言った。
「つまり...探した村はもうずっと何十年前に水の中で、その住民たちも今どこかにいるのかも分からないということだね。」
「言われなくても分かるわよ。でも...私の親友の実家は山の奥の村だということ...この水に沈んだ村と何かの関係があるのかな。」
「別の村に移動させられたと書いてあるので、可能性が十分あります。あと...気になるのはそれだけじゃなくて。」とラクは電子パネルに表示された記事の内容をある部分を拡大して、カレンに見せた。
「これは?」
「見出しに書いてある隠された秘密のことが気になって、記事を読んでみたらこれがその秘密らしいです。」
カレンは拡大された記事の内容を読むことにした。
「えーと、その村があった地域ではあるものが根深く信仰されてきた。それは、昔から豊穣の神様のお使いである巫女?が...村の作物を豊作に変える力を持って...その恩恵で村がずっと豊かになっていた。」とここまで読んできたカレンだが、謎の少女はまた途中で割ってきて、記事の続きを読んだ。
「しかし、ある日その異常すぎる豊作を見た政府の調査隊が不思議に思い、巫女だと思われる女性と話しを試みたが、村人はそれに応じず...調査隊を追い払った。その後、本格的にダムの計画が進んでいる中...村人が無論反対した。しかし、抗議活動は虚しく...政府の命令で村人が追い出されて、その結果...豊穣の巫女がいた地には今は水底で眠りについてしまった。」
「自分でも読めるわよ...全く...でも、これって...」とここまでの内容が分かったカレンは次の展開が脳裏に思い浮かべた。
「はい...これを書いた記者は恐らく村の誰かから聞いた話かと思いますが、実際にこのダムが完成された年から日にちはこの記事が出た年に何年か経ったと分かりました。」
「つまりその村出身の人は当時の出来事をこの記者に通して、話された...」
「じゃ、その村の人に聞けば!何かが分かるかも!」と唐突な考えを口にした謎の少女。
「どうやって?そもそも書いた記者に聞いた方が早いじゃ...」
「残念ながら、この記事を書いた記者は今調べましたが、亡くなりました。この記事のときからにして生きたとしてももう100過ぎのご老人です。」
「そうか...残念。」
「実はさっきのところの続きにはまだあります。」とラクは少しさっき拡大した場所を一旦戻し、記事の別のところを拡大して、カレンたちに見せた。
その内容を読むと、
「私は椎谷村出身のある少女と出逢った。どういう訳か彼女は自ら豊穣の巫女であると私に名乗った。そして、村に隠された秘密を私に打ち明けた。」
「これって...!」
「彼女は私に力を見せた。何もないところから新芽が生えて、これこそは豊穣の神様の力であると同時に...呪いでもあると彼女が私に言った。」
「呪い!?」
「なんで呪いの話になったの?」
「...これ以上のことは彼女の口から出なかったが、ただ最後に彼女はこの言葉を口にした。【大地の母はいつも私たちを守ってくれている】。」
「大地の母...」
「また新しいワードが出てきたね...大地の母というのは豊穣の神様ということ?」
「断定できませんが、関係があると思います。」
「ね...行ってみない?」
「どこに?」
「記事に書いた少女...ワンチャンまだ生きているかも!それでっ」とまだ少女が言い終わっていないところにラクが言い出した。
「まずはこの少女...今はもう最低80代が生きる前提で...さらに住んでいるのはダムの一番近くにある山村だと仮定しても...この話については何かを教えてくれる保証もありません...」
「本当に理屈っぽいのことばかり!つまんない!」と謎の少女が突然すねた。
「なっ!」
「でも、彼が言うのは私も思うよ。根拠がないし...闇雲にそこに行っても...」
「じゃ、私は1人で行く!」
「それは別に構いません。」
「ラクくん!?」
「僕は非合理のことにはあまり興味がありませんので、探したければどうぞご自由に。」
「分かった...じゃ、行こう...ウルミラ。」と突然謎の少女がカレンの手を掴んだ。
「え!?」
と今に至った訳だが...
蘭華に聞いたら、すぐに分かるのに
なんでこんな回りくどいやり方にするだろう...
第一あの子が勝手にどこに行けばいいのに...
でも、他人事だと思えないのは...不思議に思っている自分もいる。
ラクくんが一緒にいればなとふっと思った。
いやいや...関わりたくない人にこれ以上迷惑をかけるのは良くない。
「僕はこの件についてもっと調べてみます。何があれば報告します。」
と言われたけど、何が分かったら助かる。
そして、あの子が現れた。
「おはよう!ウルミラ!」
その少女の服装を見て、はっと声が出そうになったカレン。
なぜかと言うと、彼女の親友であるランカとすごく似ている服装をしていたからだった。
あのピンク色のTシャツと短パンまで...
「あっ...えーと...ラン...いや、まず私の名前はカレンだよ。そう呼んで。」
「はーい。カレンちゃん。」
その呼び方もアイツと似ていて、調子が狂うわね...
「言っておくけど、あなたのためにじゃないから...これも私が自分で答えを見つけたいことでもあるの。」
「分かったよ、カレンちゃん」
「じゃ、出発する前にあなたをどう呼べばいいのかここで決めよう。」
「シーターで!」
「ややこしくなるから、別にして」
「じゃ...私の生まれた故郷の名前から...ランカはどう?」
「!?」
「どうしたの?」
「いや、何でもない...シーターと呼ぶわ。」
「最初からそう呼べばいいのに...じゃ、行こう!」
「うん」
偶然にして出来過ぎるんだけど...という複雑な思いを抱えながら、カレンは謎の少女、シーターと名乗った少女と一緒に改札に入った。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
前書きはいきなり某CM風w
ランカちゃんの話かとお前ばカレンちゃんの方でした。
発見された記事の内容...隠された秘密
豊穣の巫女のこと...
記者が出逢った巫女の少女...
呪い...
だんだん話がややこしくなりますね。
そして、真相を確かめに行くカレンたち...
ランカ激似の謎の少女と...
一体どうなるのか!?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




