竜王の試練(伝達⑥)
竜王の...秘密の会合
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
或る場所
誰かの手に取っているスマホは通知音が鳴った。
そのスマホはその誰かに画面を確認された。
それはあるチャットアプリのグループチャットだった。
そのグループ名は【竜王】
その内容はこのように示された。
弐号)
現状報告
尊敬するお方からのお告げを頂いた我々【竜王】は、復活した魔王に【試練】を与えるべく封印から解き放たれ、次々と現世に出現しました。
四号の報告を受けました。この度魔王に課せられた試練、【楽】の試練が完了しました。
捌号)
そうか...報告ご苦労...
とても喜ばしいことだ。
功労者の四号はここにはいないのか?
弐号)
小生に直接に電話がかかってきました。少なくとも本人の声だと分かったので、メッセージのみに比べると、信ぴょう性がより高いと思い、先に報告させていただきました。
捌号)
直接に激励の言葉をかけてやりたいが、それはまた後のことにしよう。
他に報告すべきことがあるのか?
弐号)
現時点で報告できることはこれで以上となります。
魔王の居場所は四号によると、まだそこから動きがないということは加えた上でした。
捌号)
そうか...
引き続き次の試練の準備が整えた時が来れば、また報告を待つことにする。
弐号)
は!了解しました!
捌号)
では、尊敬するお方とこの世界の行方のために!
弐号)
この世界の行方のために!
ここでチャットが途切れた。
そのチャットを見た人はスマホをズボンのポケットにしまって、自分がいる場所を見渡す。
そこは、海が見渡せるある崖だった。
「こんな感じでいいですか?」とその人が誰かに質問をした。
そして、そこにいるもう一人の人はこう答えた。
「これでよかったよ。このグループチャットに竜王じゃない者がいると分かった以上...下手に情報を渡すことが危険ではないかという判断じゃないか。」
「そうですね...返って不便になったが、あなたの見解を信じますよ。何せよ...竜王の中にはあなた以外には顔も素性も知らないからな...にしても
捌号まで欺く気だなんて。いや...そもそも敵を欺くなら、まずは味方からという言葉を拝借しようか。」
「そう...尊敬するお方のために我々竜王がこの世界に現れた。その方の目的...つまりこの試練の遂行は最優先だ。そのためなら、手段は問わない。」
「...そうですね。それはともかく、またあなたと再会できたのはとても嬉しいよ。こんな場所で待ち合わせするのは申し訳ない。」
「何水臭いことを言うのだ。私と君の仲だろう?第一...離ればなれになった記憶がないけどな...いや、正確に言うと私の半身の方か...この私に会うのは久々だよね。」
「そうですね...【壱号】。」
「その名はよせ...もう壱号は魔王との戦いで倒されたのだから...今は阿南だ。」
「最初から偽報告をさせるときは...まさかこうなることをお見通しですか?」
「それは半分正解...ある竜王が魔王によって倒されたというのは事実だ。ただそれは私じゃないということだけ。これでいないはずの竜王は蚊帳の外で試練の監視に専念できる。」
「抜かり目がありませんね。」
「同胞を失うのはとても残念なことだ。さらに参号の件もある...残りの試練のことも警戒しないといけないね。」
「四号もその後連絡が取れませんでした。しかし、四号はどちらかというと大丈夫な気がします。」
「もともと好きなことを自由気満々にやるタイプだからな...初めて出逢ったときとは大違いだ。」
「後は陸号です。」
「まだ連絡が取れないのか?」
「連絡自体が取れたのですが、どうやらある方と接触できたとのことで、もし上手くいったら、協力が得られるかもしれません。」
「それは良いことじゃないのか?」
「え...ただ竜王じゃない者に協力を乞うというのは忍びないなと思って...」
「言ったでしょう?尊敬するお方のためなら、手段を問わないって。相手次第だが、こちらも意地を張る立場じゃなくなった以上...しかたがあるまい。」
「そうですね...分かりました。」
「また何かあれば、連絡してくれ。すぐ駆けつける。私はそろそろ行かないと...」
「あなたの半身がまた目覚める前ですね...」
「そう...ちょっと不便な肉体だが、これで敵も味方を欺くことができる。なにせよ、別の半身はこんなことを知らないからな。都合がいい。」
「では、また次の機会に...この世界の行方のために!」
「この世界の行方のために!じゃな...弐号。」
阿南と名乗った人が崖から去った後、残され弐号と呼ばれた人はまた海を見て、こう呟いた。
「後は捌号の正体を...」
とここでズボンのポケットにしまったスマホに通知音が鳴った。
そのスマホを取り出して、確認すると...
「噂をすれば...」とスマホ画面に何かのメッセージを打ち始めた。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
これは!
よく何回も出てくるチャットのやりとりかと思ったら...
ここで密会が!
しかも、行方が分からない弐号といなくなったはずの壱号が...!?
初っ端から倒されたと思わせておいて、ここで登場させるとは...やるな作者(自画自賛w)
竜王は一枚岩じゃない...ただある目的のために集められた集団で、要するにお互い知らない者同士でどこまで信用できるかということです。
さらに裏切り者が潜んでいると思われる今...顔見知りはより信用できる。
果たして竜王の試練がどう動くのかは楽しみですね。
にしても壱号の言った半身という言葉が気になりますね。
気になる方は以前書いた第一竜王の記憶を読んでみてください〜
さてと...次は蘭華ちゃんの話になりますかね...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
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現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




