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大海の記憶~楽~

大海が奏でた...音色


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

我には名などない...

我は大古の大海(しゃがら)...人間が【海】と呼ばれた海そのものだった。

ある日...この肉体に宿った我は海の中に日々を過ごすことになった。

大海原(おおうなばら)にただひたすらに泳いでいた我には特に目的などない。

なぜ...と海とまた別の海に渡り、ずっと疑問を思っていた。

我がこの生を受けた理由とは何だろうと思っていた。

深い深い海の底で身を潜めたときも...

太陽の光が映した浅い浅い海を泳いでいたときも...

そして、ある日...同胞と出逢った。

しかも二体...

しかし、同胞だと知らない我は、その二体と戦うことになった。

海が大荒れして、人間が住む()()という場所まで大波が押し寄せたと後で聞いたが、そのときは何も知らなかった。

地上というものが存在することさえも...

我は大地を分かつ...そして繋ぐ海の役割のことも...

だから、接触して会話を試みようとした者はいなかった。

あの二体が現れるまでには...


こうして、我は出逢った二体と同じ...ナーガラジャ(竜王)を自ら呼ぶことにした。

だからと言って特に何かの縛りとか家族になったという訳じゃない。

ただ同胞であることを示せれば、それでいい。

今になってはこういう姿で地上に暮らして、あんなことやこんなことをするとは思わなかっただろうな。


その戦いが終わった後のある日...我は人間の姿に変えられることを同胞から教わった。

ずっと海にいた我にはとても信じがたいことだった。

決して海のことを飽きたという訳じゃない。

逆に奥が深すぎて、我はもっと人間や地上にいるものたちに教えないといけないという義務感さえも感じる。

そのための決断だった。

一回目の試み...我は人間と似た姿で地上に上がった...あるいは上陸したと言ってもいい。

しかし、うまく擬態ができなかったのか...我は人間の姿じゃなかったのに気づかなかった。

海から砂浜に上ってきた我は何というか...人間らしい動きじゃなかった。

手も足も薄っぺらい形だし、背中に重いものが背負っているような感覚...

我の姿を気になる人間が寄ってきて、そしていろんなところで我の擬態を触った。

不快だ...

初の試みだとは言え...こんな形で人間と接触するのは不快であり、不甲斐ないである。

と思ったとき、ある人間が他の人間を追い払おうとした。

「やめないか...このような可哀そうなものをいじめてさ...」みたいな内容を言って、他の人間を追い払った。

は...とりあえず厄介な者が去った...

この人間には少し感謝せねばと思ったら、その人間は何かを取り出して、何かを始めようとした。

何かの道具みたいだが、それを使って何をするまでは知らない。

なんだ?その板状のものの上にいくつか細い糸を張り付いたアレが...

その後、音が聞こえた。

聞いたことのない音だ...

海の中では絶対届かないこの波数...

地上ではこのような音色が存在するなんて聞いていない。

その音を聞いた我はそれに惹かれた。

何と言えば良いか分からないが、心が安らぐ。

そして、今まで感じたことのない感情が内から溢れ出した。

今になって分かったが、それは【楽しい】ということだ。

ずっと静かな大海原に泳いでいた我にはこの音色が我の中にこの感情を目覚めさせた。

無論...誰にも教えられることもなく、我はただその音に一方的に惚れただけだった。

そういえば、我が初めて上陸したところでは後にリュウの国と呼ばれたことになったらしい。

今は違う名前になったけど、まさかその時伝えた竜王の名前が使われたとはなあ...


え?あの人間の後には何があったって?

せめての御礼として我の住み処に案内してみただけなのさ。

その後は...?

知らん...

大海に入る覚悟がある者のみ...海に受け入れられるだけさ...

我はその海そのものだったの話だけどな。

あと、確かに海で拾ったものをその人間に渡したな。

綺麗だと思った透明な玉だ。

で?

今は?

人間の姿を完璧に擬態できた俺は地上に残ることにして、

あの時聞いた音色の再現を必死に様々な楽器でやったさ。

でも、本当に楽器が違うだけで奏でられる音色が違うよな...

まだ...これだ!とピンと来ないが、少なくてもあの時で聞いたサウンドが遥かに発達した今...

それでもあの時に感じたこの感情を誰かに伝えたい気持ちは今の我...俺には十分ある。

この感情を...我、いや!俺があのときに感じた感情を...

もっと人間たちに伝えないと!

自分が楽しいと思うこと...音楽を通して...

この生を受けた理由はこのためかもしれん。

だから、こうやって活動を続けている。

と今の俺は口に咥えたタバコに火をつけた。

一服して、頭がクリアになったかなと思う俺にはやはり今日の出来事を思い出す。


「さてと...明日は楽しくなってきたぜ...

どう来るか?魔王さんよ...

全身がしびれるほどのロックな感じで頼むよ...」

竜王の試練やらには古い付き合いのあの二体からの頼みだから、引き受けた。

尊敬するお方には悪いが、俺は俺流でやる。

とさっき咥えたタバコの吸い殻を携帯用の吸い殻入れにしまって、俺はある建物のバックドアを開けて入った。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


えーと...すみません!(何に!?)

今回はかなりのオリジナル感を出そうとして、結構ラーマーヤナとほぼ違うアプローチにしてみました。

ここだけの話...竜王というそもそもラーマーヤナとはほぼ関係性がないです(え?)

でも、共通点はヒンドゥー神話にあるので、そこを使われせもらいました。

まあ...そこはどうなるかは楽しみにしていただければと思います。

でも、まさか...あれとあれを結びつくとは...

大海を助けた人間...

リュウの国...

あと玉?

こうするのかと自分でも驚きました。笑

大海が陸で今は音楽を楽しんでいるって...その概念がこの話に思いっきり詰めてみました。

では、人間の音楽に惚れてしまった竜王は次に試練を魔王に受けさせる。

もう分かった方はもうお分かりいただいたかと思います。

一体何が起きるでしょう...


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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