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羅亜夢(使命④)

その使命...今知る時


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

時と場所はあるファミレスに変わる。

あまり客がまばらに座っているこの時間帯の店内で一人の青年と一人の中年男性が座っている。

二人の周りにはまるでこの世界から切り離されたかのように静寂に包まれた。

両方言葉を発しないまま、お互いの目を見ている。

気のせいか...二人の肌色も顔立ちも似ている。

しばらくすると...中年男性の方は立ち上がり、伝票を取った。

「あっ」と声がこぼれたのは先に伝票を取られた青年、設楽(したら)羅亜夢(ラーム)だった。

中年男性はそのまま店の入り口にある自動精算機で二人分の伝票を一つずつ読み取り、支払いを済ませた後、店を出た。

ラームも一緒に店を出て、中年男性に付いて行った。


街の中に歩いている二人にはまた別の世界にいると感じさせる。

静寂...

沈黙...

何の言葉を発しないまま、中年男性はただただ歩いている。

その気まずい感を絶えきれず、ここでラームが先に口を開いた。


「父さんはまだ生きていると分かって、俺は嬉しいよ。

残してくれたお金で俺も(ラク)も大きい問題がなく生活ができたし...本当に感謝している。

ラクは...正直最近までは反抗期?というほどじゃないけど、父さんのことを心のどこかで恨んでいるっぽい...俺からも距離を取っていた。

俺は...ううん...父さんに恨んではいないよ。何か理由があるに違いないと分かっているし、

母さんのこともあって、俺たちと会うのが辛いよね。それも分かる...つもりだったんだ。

ううん...簡単に分かるわけがないか...妻を亡くした人の気持ちには...恋とか今でもピンとこない俺には...」

ともはや誰に話しかけているのか自分に言い聞かせるのか分からないラーム。

目の前に歩いている父さんと呼ばれた男性は何の反応もなく、そのまま歩いている。


「でもね...気になる子がいるんだ。好きなのかと聞かれたら、なんか違うけど...

その子は自由で好きなことに没頭するタイプの人なんだ。それを見て少し憧れたんだ。

特に今の俺には使命とやらでこれからのことが決まったかみたいな今では...

あ、そうそう...前に父さんの実家の村に行ったよ。それで、空港で偶然その子と出逢ったんだ。

その後も一緒にご飯も食べたよ。やはりネパールで食べるダルバートは美味しかった。

その子はジャナクプルに行く予定だったから、それ以来は会っていないけど...

連絡先は一応交換はしたけど、特に用事がないからな。今どうしているのかは分からないし...」

とここまで話しても男性はラームの話に反応も相づちさえも見せなかった。

どこまで歩くのだろうと気になり始めたラームだが、彼は別の話題で話した。


「あと...父さんにはこう言う話を信じてくれるという前提で言うね。最近は昔に比べものにならない不思議で不可解の出来事が急に遭遇率がドンと高くなったよ。

少女の姿で現れた自称ヴァーユの子、(そん)悟空(サトラ)...彼女はすごいよ。今は俺の...用心棒みたいになっている。

あと、ある寺で羅刹女(ラクシャーシー)と会った...とんでもない怪物かと思ったら、人間みたいな姿もできる。中々驚いたよ。あ、そこはラクと一緒に行って、ラクの大学の一人の教授も会った。それで、なんだか羅刹女と昔から知り合いらしいよ。こういうこともあるんだなと関心したよ。

あとは...これは伝えるべきか迷ったけど、あの羅刹(ラクシャーサ)の王...魔王の末裔だと名乗った人が接触してきたんだ。最初はラーマの血を継ぐ者を殺すとかでサトラと戦ったけど、その後なぜか俺の部屋で普通に話をしに来たんだ。そこで斧というキーワードを聞いて、俺の使命は魔王によってもたらす終焉を阻止するって伝えられた。

今でもまだ信じがたいけど、ここで父さんと出逢って確信したよ。

ねえ...俺はこれから何をすればいい?

今の父さんなら、それは分かるはず。」

と返答が来るか自信がないラームなりの問いかけは父さんと呼ばれた男性の耳に届いた。

男性はやっと振り向いて、ラームの目を見ながらこう言った。


「今からは私が君の父親ではなく、英雄王ラーマの血を受け継ぐ者として...そして、君を導く師...【斧を持つ者】としての発言になる。それを心して聞いて欲しい。その上に理解して欲しい。」

「はい...とう...いいえ、師匠。」

「よろしい...今からあるものを見せるためにある場所に行きます。付いてきて下さい。」


その後、二人はタクシーに乗って、ある場所にたどり着いた。

そこは...街の中心から離れた3階建ての大きい倉庫...トランクルームが集合する建物だった。

先頭に歩いている男性はある一角の貸部屋の前に止まった。

そして、取り出した鍵を南京錠を解錠して、部屋の扉を開けた。

中には...

特に何の変哲もない年季が入っている()()()()()()

それ以外の荷物やものが全くなかった。


本当に...斧なんだ。例えじゃなくて...とラームは目にした斧を見て、少し意外そうな顔をした。

その斧を手に取った男性、斧を持つ者と言う名で呼ばれた男性はラームにその斧を差し出してこう言った。

「これからは...君にこの世界の今後のことと...私たちの役割の再確認をする。

その覚悟は君にあると感じたら...この斧を取ってください。」


果たすべき使命...それを知る時が訪れた。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


ついに...(そのもの)が登場!

ただの斧じゃなくて、持ったらどこかの雷神に変身できるハンマーじゃないの?と思ったあなた...果たしてどうなるでしょう(しらばくれている)

感動の再会と出逢いの二人にはどんな会話になるのか考えたとき、こんな形になりました。

何年も会っていない音信不通の親と会ったら、何かを言えばいいかのラームはとりあえず近況の話を選択した。

このキャラでは、どこに行っていたの?とか何で連絡もしなかった?とか相手に責める感じじゃないなと言うことで、それでも何か伝えたいことを伝えるラームも結構キャラに合うかなと思います。

もしここでラクがいれば、たぶんややこしくなるでしょうね。

精神年齢は中々取っている感を感じればと思います。

トランクルームを貸しておいて、斧だけが置かれたというシュールな感じ...

そして、その斧を手に取ったらラームはどうなるのか!?

やはり変身するか!?


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


あれ?そう言えばラームとランカは全然絡んでいないですね...

なぜだろう...

まあいいか(良くない!)


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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