豊穣の呪縛(当主)
呪われた一族の当主...お出まし
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
とある場所...
地方では普通に建てられる民家が並ぶある町...
ある民家にはふすまが開けられて、家の中の普通の和室が外から一応見える状態になっている。
その家の中から何かの音が聞こえた。
その声は外から見えない奥からテレビが流れた人の声らしい声だった。
「では、次のコーナーは...ニュースほどにならないが、ちょっと気になる出来事を紹介する...
題してちょこっと気になる!...はい、まずはこれ。鬼ヶ島で謎の叫び声!?
視聴者からの投稿によると、あの桃太郎伝説に登場した鬼ヶ島がモデルとなったカガワ県にあるメギ島別名鬼ヶ島で突然島民が叫び声が聞こえたことですが、なんと一人二人ではなく...島全体に聞こえたらしいのです。投稿した方はこれが鬼の叫び声じゃないか?と書いてありまして...どう思いますか?」
そこから別の人の声が聞こえた。
どうやらニュース番組というより、バラエティー番組を感じさせた。
「そんな大きい声を発するほどの声量を持つ生き物はその周辺にはいませんよ。爆発音と聞き間違えたじゃないですか?」
「しかし、その島に住んでいる人たちが口を揃えて叫び声だと言っていますよ。残念ながらその瞬間の音声を取った人がいないため、確認しようがありませんが...」
「それなら、あれだよあれ。鬼ヶ島をもっと話題にするために島の人たちが考えた企画と違います?」
「これは...謎のままで終わりそうですね。まあ、こっちはちょこっと気になるコーナーですので、
これぐらいにしましょう...まだまだ紹介したいちょこっと気になる話もたくさん寄せています。
次は...鬼子母神。」とここで声が途切れた。
テレビが消されたようだ。
とその少し後、その家の奥から誰が現れた。
現れたのはきっちりとした和服を着ている年寄りの女性...老女だった。
その人は家の縁側に敷いてある座布団に座り、手に持っている湯飲みを傍に置いた。
しばらく座ってから、座布団の上に老女は湯飲みを取り、お茶が入っている湯飲みを一口飲んでから、外の景色を眺めている。
外の人から見ると、このような地方ならではののどやかな雰囲気だと感じさせる...そのような光景だった。
そのとき、静かな家の前に音が聞こえた。
それは郵便配達員が乗っているバイクの音だった。
その家の前に停めた後、配達員が壁の外から見て老女に声をかけた。
「こんにちは!郵便です。」
「ああ...どうも。入ってくれたまえ...」
すると、配達員はの扉を開けて、老女が座っている縁側の方にある庭まで歩いてきた。
そして、郵便物である封筒を老女に渡した。
「いつもどうもありがとう...ちょうどお隣さんからもらったリンゴがあってね。老人が食べる分には余りすぎたから...もらってくれないかい?」
「ありがたいですが、今日は結構荷物がいっぱい積んであるので、また今度にしますね。」
「そうかいそうかい...ご苦労様...」
「お婆ちゃん...今日は一段機嫌がいいですね。何か良いことがありましたか?」
「そうだよ...久々に孫が会いに来るのよ。」
「へ...良かったですね。お孫さんいくつですか?」
「今年で25...26歳になるかしら...お兄さんとあまり変わらない歳かね?」
「僕より少し年上ですね。」
「そうかい...お兄さんもお爺さんお婆さんにはたまに逢いにいきなよ...寂しがっていると思うから。」
「そうですね。祖父母両方まだ元気なのですが、休みがあれば会いに行きたいです。」
「それで良いのだ...じゃ、リンゴはまた別の日に取りに来てくれ...今日もありがとうね。」
「はい!では、失礼します。」
そして、配達員は家から去った。
老女は封筒の中身を確認するために封筒を開封した。
封筒の中には小さなフラッシュメモリが入っている。
それを見た老女は表情を変えずに和服にしまっていた簡易のスマホを取り出した。
そして、画面にはあるメッセージが表示された。
「お婆ちゃん...最近会えなくてごめんなさい。今実家に向かっています。」
そのメッセージの日付では何日前のものだった。
それを見た老女は次に誰かに電話した。
「もしもし...車を送ってくれたまえ...」
その後の5分までも経たないうちに一台の車が老女の家で停まっている。
しかし、その車のメーカーの印を見ると...いささかじゃない違和感を感じた。
その車はよくお金持ちの送迎に使われる高級ハイヤー車だからだ。
さらに黒いスーツと黒いサングラスをしている大柄な男性が車の運転席から出てきて、後ろ席のドアを開けて、
「どうぞこちらへ」と老女に言って、お辞儀をした。
老女はその和服の格好のまま車に乗り、その家からどこかに出発した。
車内ではこのような会話があった。
「どちらまで」
「実家まで行ってくれたまえ。」
「ということは...」
「そう...帰ってくるよ...私の孫が...そのためにいろいろ準備が必要になるわ。」
「はい。かしこまりました。」
...
車は村を抜けて山の奥に進んでいる。
そして、目的地に到着した。
老女は車を降りた。
そこには...さっき彼女がいたのどやかな民家との正反対で何倍より大きい西洋式の豪邸だった。
扉が開けられると、中から声が聞こえた。
「お帰りなさいませ!当主様!」
中には何人かの黒いスーツの男性とメイド姿の女性が列で老女の登場と共に一斉に声を上げた。
「準備のことを報告したまえ...」
配達員と話したときとは同じ人物だと思えない威厳を感じる声で話した当主と呼ばれた老女。
「はい!怠りなく!」
「それで良い...いつでもすぐに取り掛かれるように...例え、この一秒後彼女が着いたとしても...」
「はい!」という返事を聞いた老女は豪邸の中に歩き進んだ。
二度と繰り返さない...
私の娘を奪ったこの血の呪いから...
今度こそ...必ず守るから
呪われた豊穣の巫女一族の当主として...
そして、孫の幸せを願う一人の祖母として...
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
改めて明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!
年明け早々...こういう話になりました。
新キャラ!しかもこの人は!
孫が会いに来ることを楽しみにしている普通のお婆ちゃんですね。
うんうん...普通...の...?
最初は当主の家はどんな家にしようかと初めては普通の民家にしたのですが、なぜか豪邸になっちゃいましたw
のどやかモードから超お金持ちモードにガラッと変わった老女は何者なのか?
そのお孫さんは誰なのか?(とっくに知っているわと思う人多数w)
最後のことも気になりますね...
この血の呪い...
あ、冒頭に出たちょこっと気になるコーナーはいかがですか?
なんか普通のニュースとかラジオはやったことあるので、ただちょこーっと紹介するだけで、特に深く突っ込まないので...
まあ、あの叫び声は取り上げられたら中々話題になる...かも?
一体物語はどうなっていくのか!?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




