羅亜夢(使命③)
二人の再会と...出逢い
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
場所はあるファミレスに変わる。
その時間帯ではあまり客がまばらに座っている。
割と静かな雰囲気の店内で一人の青年が一人で座っている。
彼はマスクをしていて、キャップ帽子を店内でも外さなかった。
まるで芸能人が忍んでファミレスに入っている格好をしている彼は、
手に持っているドリンクバーのコップを一口飲んだ仕草をした。
マスクをしているにもかかわらず...
彼は今、ここで食事をすることではなく...少し離れた席の会話を聞くことに集中している。
その席に座っているのは二人の男性だった。
片方は髭に加えて顔立ちが濃く、少し小汚い格好をしている男性...
もう片方は真逆で真っ白のスーツととても整った顔付きの男性...
この二人はどうやって同じ空間にいるのか不思議と思うぐらい違和感があったが、もっと重要なのは彼らの会話の中にある。
アヴァターラ...
ナラヤ...
アックス...
斧を持つ者...
そして、ラーム...
そのキーワードを聞いた青年...設楽・羅亜夢は思った。
先日魔王の末裔と自ら名乗ったラヴァン家の当主、ヴィシュワ・ラヴァンから渡された連絡先に電話してみたのは今ここにいるきっかけだった。
「もしもし?夜分遅くにすみません...私...」
「...ガット...クダン店...明日14時...そこで2人の男性がいる...片方は斧...片方は知らなくていい...
身元がバレないように...二人の会話を聞くんだ。席は送る写真の通りに座ること...
むろん、接触はダメだ...以上。」という一方的に伝言を伝えられて、すぐ電話が切られた。
後で何回かけても電波が届かないか電源を切ったのかかかりませんという自動音声しか流れなかった。
つまり...そこに行けば、何か有益な情報が得られるということなのか?
罠...という可能性は、考えにくい。
最初から自分を殺そうとした相手は今度相手の計画を阻止するみたいなことまで言われたんだ。
真意はともあれ...相手を疑うことが苦手な俺にはまず乗るしかない...
そう決意したラームは指定された場所に行き、こうしてターゲットだと思われる2人の相手の会話を盗み聞きしている。
ちょうど相手の一人が唐揚げ定食を堪能したあまりに周りが気づかないタイミングで指定された席に座った。その後に白いスーツの男性が到着した。
斧を持つ者という相手の一人はおそらくラームも知っている。
声を聞くのは久しぶりだけど、聞き慣れたあの声は間違いなく...親父だ。
しかし、もう一人の相手は知らない人だった。
さっき聞こえた言葉も気になる...
私もあなたの化身...
神々は俺をどうするとか...
つまり、この人は...神様?
アヴァターラの話で辻褄が合うけど、まだ信じがたい。
でも、神様なのかはともかく肝心なのは俺をどうするつもりだということ...
しかし...さっきから会話が止まった。
自分が近くにいることがバレないように顔を一回確認した後、後ろを向いたままのラームは相手が今何をしているのか音で推測するしかなかった。
そこで、やっと相手の方から声が聞こえた。
「このパフェ...案外美味であったな。人間は相変わらず私を飽きさせないことだ。守ってきた甲斐があったよ。」
「それはあなたの責務でもあるじゃないでしょうか?」
「責務?そんな重苦しい言葉は私に当てはまらないよ...私は守ると思えば守る...無論、そのときが来てしまったら、私は人間に何もしてあげられないよ...」
「そのときって...【終焉】のことなのですか?」
「ノーノー...終焉だけじゃないよ...終わりにはまた新たな始まりもセットで来るから...今の人間の言葉で言うと、やり直し...リセットとでも言うのかね?」
「...いつですか?」
「唐突な質問だね。答えてやりたいところだが、私の管轄とは違うから、分からないよ。」
「私はこの時代に存在することは何よりの証拠です。そうでしょう?」
「まあ...そんなに知っているなら、君こそ自分の役割が分かったはずだ...」
「【全てを浄化する者】を導く師となること...」
「分かっているじゃないか...わざわざ私に聞くまでもなくない?」
「汚れたものを全て破壊し、浄化する者...それはあなたの主要アヴァターラの10体の中でも最後の化身...ラストの駒を出すには暗黒時代の終わりに迎えることのはずです。もうすでに人間はそのような時代に到達したのですね...」
「うん...半分正解...その化身は私の最後にやるべきな役割だが、暗黒時代の終わりはいつなのか私も知らない。」
「じゃ...待つしかないということですか?」
「待つ必要がないよ...だって、君が存在するというのは...君の役割を果たすときが来たということさ。ずっとそれを避けてきたみたいけど、もう逃れられないよ。」
「...」
「そんなに怖いのか?自分の息子の師匠になることを...」
「...」
「なら、本人に聞けばいいじゃないか?お父さんが師匠で嫌なのか...ね?ラームくん...」
!?!?
「ぜひここで、一緒に話をしましょうよ...せっかく久しい親子の再会だし...
あ、私が邪魔になるからここで失礼するけどね。」と言い出した男性は伝票を取って、席を立った。
「私の奢りでいいよ...君たちのこれからの活躍には比べものにならないことだから...では。」と最後に言って、立ち去った。
残された斧を持つ者と呼ばれた男性はラームが座っている席の向こうに無言で移動して座った。
ラームはやっとマスクと帽子を取って、相手の顔を見られた。
その相手...久しぶりに再会できた自分の父親に向かって、こう言った。
「や...久しぶり...父さん...」
父と息子の再会...そして世界の運命を背負う師匠と弟子の出逢い
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
ここで...まさかのラームと斧の再会!
この親子はいずれ再会するが、いつにするか悩んだ末...一層ラヴァン家の話と結びつけてみたらどうかなと思って...
こんな感じで接近させておいて...実はもうバレバレだし...こういう形で再会で気まずさマシマシですねw
ちなみにファミレスの名前...どこから取ったか分かりますよねw
唐揚げが美味しいですね。(腹が減った)
それはさておき、
謎の男性との話で分かったこと...
終焉とは終わりと始まり...
そのときに現れる全てを浄化する者...
その者の師匠となる存在...
それはこの親子の使命なのか...
これからどうなるでしょうね...
魔王とはどうなるのか...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
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現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




