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蘭華(再出発②)

次の旅先へ...出発


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

うん...

女木島...通称鬼ヶ島の細い島の道路を歩きながら、考え事で頭を傾げるのは小麦色の肌色とポニーテールがセットでトレードマークになった女子大生、蘭華(ランカ)だった。

とりえあず隣にいる巨漢の空を飛ぶ戦車で村に飛んで行く提案を却下した彼女は別のことを考えている。

おばあちゃんは...私を見守るように頼んだ本当の依頼人なんだ...

理由がよく分からないけど、

いつものあまり深く考えていないような思考が原因で今まで気づいていないじゃないかと思わなくもない...

私...何かしたのかな?

確かに...最近までは普通の考古学を専門にしている普通な大学生で、いろんな伝承の究明のためにいくつかの遺跡を普通に旅しただけ...それはいけないという訳じゃないよね...

と思ったランカは少し目を隣にいる巨漢にチラッと見た。

この人?...魔王と呼ばれたこの人?と出逢ってから、今まで体感したことのない不思議で不可解な出来事がいっぱい目の当たりにして、自らまで体感した。

でも、この人?と逢う前に観察...見守りされたと言われたから、この人?が原因じゃないと思う。

なぜ私?と今でもまだ理解できなかったランカはさらに考え込んでいる。

何があったのかな?

もしかして...おばあちゃん...私に怒ったりする?

さっき鷹野さん...いいえ、鷹野伯父様と会って、この件について話されたときにはこの点にすぐ気づいていなかったけど、

おばあちゃん...

最後で会ったのはいつぶりだ?

村を出てから...帰っていないからイコール大学生活...

7年ちょっとか...

結構経ったな...

毎年は年賀状とかもやりとりしているし、たまには電話とかもしたし...

特におかしいところはないはずだけど、

ただ...うちもうちのルールというか他の家よりちょっとした複雑な掟があるから、

大好きな南アジアの研究ができる場所が欲しかった。

その理由で東京の大学に行くことにした。

もっと自由になるため...

それでずっと怒っているの?

そういう訳じゃなさそうだけど...単なる孫の心配でもなさそうだし...

どうしようかな...

珍しく物事を深く考えたせいか結構頭が疲れてきたな。

とここまで一人で考え事をしたランカは今度ちゃんと隣にいる巨漢の方を見た。

あっ...という声が出そうだが、出さないようにしたランカ。

隣の相手の表情も険しい...何かを考え込んでいる。

それはそうよね...

急に自分が殺したと思われた相手が転生して、ここで会ったし...

さらに良心とか真実のことを言われても混乱するだろうし...

いや...(こっち)もか...

この人?のこともあるから...

やはり行かないと...いけないよね...

うん...

と二人は会話をしないまま、しばらく黙り込んで道を歩いた結果...ある場所にたどり着いた。

それを見たランカは目を大きくしてフッと思った。


確かに前に来たときはまだ子供だから、あまり覚えていないけど...

ある岬の景色が綺麗だという記憶が残っている。

ここだ!

二人がたどり着いたのは海がもうすぐにある岬だった。

とここでランカは何かに気づいたようだった。

ん?

何か書いてある...

海が見える手前の石垣には何かの大きな文字の看板が見えた。

こい...恋人の岬...え?恋人?

あのときはこんな名前がなかったただの岬のはず...

ネットで調べてみよう...

とここでスマホを取り出して何かを調べたランカ。

ほ...

なるほど...

ここで告白をすると恋愛が成就するとかしないとか...

本当にプロポーズをして結婚したカップルも何組いるそうだとか...

あ...なるほど...そういうスポットに変わったね。

世界中にはこういう場所が多いよね...

なんだっけ...

南京錠を橋にかけて、名前を書くとか...この国じゃ神社で見かけた絵馬も似ている...

恋愛成就の考えはどんなところにもある...

結構多いのは神様に祈ることかな。

まあ、私たちはそういう訳じゃないから、関係ないね。

一緒に行動したけど...なんだろうな...

例え相手にはそういう気持ちがあったとしても、私には違うかも...

恋愛とかじゃなくて...別の気持ちが...

うん...

自分でもよくわからない

...

その看板に書いてある名前の意味を深く考えずにランカは石垣に上って、海の景色を見た。

...記憶の通りにキレイだな。

ここの海...瀬戸内海はヨーロッパの地中海と似ているとかと言う人がいるかもしれないけど、

ヨーロッパ行ったことないし、子供のときの記憶のせいで美化してしまったかもだけど、それでも普通にキレイだと今でも思う。

と...また隣の巨漢を見たランカは別の意味のあれ?という表情をした。

この人?も...海を見ている。

さっきまでと全く違う...穏やかな表情だ。

今まで見てきた表情で一番穏やかかもしれない...

海を見て落ち着くタイプ?

伝承通りなら王国が島だし...海が好きだったり...

確かにこの辺には何の伝承も記録されていないな...

海を渡るときには戦車もあるしな。

それを手にする前にはどうやって渡るかあまりわからないところもあるな、確かに...

でも、船には苦手なのにね...それは来たときに自分の目で見た。

知らなかった一面が見られた気がして...もしかしたら、これも研究に何か役に立っ...ん?

なんか...こっちを見ているような気がする。

まあ...いつものことか...

と分かり切ったかのような気持ちでランカは油断をした。

次の瞬間、突然隣から大きな叫び声が聞こえた。

!?

何?

急に叫んでびっくりした...

ランカはその叫び声に驚いた後、周りを見渡した。

ふ...周りの人がいなくて助かった。

じゃないと、驚かされて心臓が止まってしまう人がいたら大変だ。

どっちにしよう...島の人には聞こえると思うぐらいすごい声量だった。

...ん?

気のせいかその天まで轟かせそうな叫び声の中に...言葉が聞き取れたような気がして、

「あなた...」と「幸せ...」という言葉...

そのあなたは誰だろう...と考え始めたランカはあることが脳裏に浮かんだ。

もしかして私に?

...いやいや...ないない。

ここは告白するための場所だと意識してしまったせいか先入観が入ってしまった。

そのせいでなんだか急に恥ずかしくなって焦ってきたランカだが、

あれ?ちょっと待って...

でもこの人?...ここはそういう場所とかそんなこと知るわけがないはず...

ただの偶然?

あ...

ホッとする自分となぜか何かが引っかかってしまった自分がいる...

なんか...恥ずかしい...

それを意識する自分が...別の意味で恥ずかしい...

それはおいといて、別の言葉...幸せは?

今まで隣にいる魔王と呼ばれた巨漢から感じたことのないこの気持ちは...とランカは考えた。

これは..幸せ?

何の?

幸せと言っても定義が広すぎて、この人?が思う幸せとはなんだろう...

でも...幸せね...

とここでさっきまで恥ずかしいランカは冷静になった。

よく分からない...

私の定義としては幸せもまた...他の人とは違うと思う。

今は幸せかというと、幸せより...楽しい?の方が合っているかな。

自分の仮説の立証のためでもあるこの旅を始めた。

この旅自体には間違ってはいないと思う。

あとはより証明できる何かがあれば...

そのためにも次に向かう目的地はより重みを感じる。

でも、それだけじゃない...

まあ...この人?が一緒にいるなら、退屈しないことは確かだ...

これからどうなるか分からないけど...今は割と楽しかったよ。

この人?には...言わないでおこう...

また変な叫びとかが出そうだから...

ヨシ!...と何か決意できたかのようで、ランカは隣にいる巨漢に「行こう!」という言葉を口にして、満面の笑みを送った。

島が夕焼けに包まれたとき、二人は港に向かって歩き出した。


挿絵(By みてみん)

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


蘭華ちゃんキタ!!!

さらについに挿入絵がやっとここで登場しました!

夕焼けの島の街並みと歩いている2人...この絵に使うためにこの話を書いたと言っても過言ではないです。

ただすごく待たせた感も半端ないですw

大変お待たせしました...

次の目的地、椎谷村への出発をためらっていろいろ考え込んだランカちゃん

隣に何を考えているかわからない魔王(実は...前話参照)

ある岬にたどり着いた二人

突然の叫び声

なぜか焦って恥ずかしくなったランカちゃんかわいい!

そして、心を決めたランカちゃんは魔王と一緒に歩き出した。

これでこの絵でしめる!

この二人...次に出るのはいつになるでしょうねw

おばあちゃんの話も気になりますね。

一体どうなるか?


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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