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羅刹羅闍(再出発)

古の魔王...再び歩き出す


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

余の【良心】が余を待っている...

それは、余が自らの手で殺したはずの古き敵...鳥の王の生まれ変わりの男から伝えられた伝言だった。

其奴が口にしたのはある村の名前...

余にはそんな名前には聞いたことがないが、そのとき傍にいた愛する我が君はハッキリとした覚えがあるに見える。

其方の表情から見ては、偶然に知っていることではなさそうだ。

余の良心は...その村で余の訪れを待っていると考えるのは一番辻褄が合う。


良心か...

そう言えば、あの男と会う前に洞窟で見かけたあのオニガワラ...

そうだ...刻まれた文字は確か...王の正しき心だと余は最初にそう書いてあると思ったが、

余でも読めないあの文字...訪ねたときにあの男は良きと書いてあると言った。

オニガワラに書いてある文...

余が思った正しき心...実は良き心...ということか...

どちらにしても余には備えていないものだ...

余はそのような器を持っていない。

持っているとすれば、それは...

さらに、見覚えがあるあのオニガワラの顔には...

無論、面影だけだが...ただの偶然には思えまい...

決めつけになったのはあの布だった。

これで間違いない...

その良心は()()だ...と確信した。

最後に見たときにも...その模様の服を着ていた。

何せよ...余が自ら与えたものだから...見間違えるはずない。

ということは余の良心は...あのシイタニという村にいる。

どういうことなのか余の頭の中には様々な思いが浮かんできたが、全ては憶測でしかない。

あの村に行けば、全てが分かるという口ぶりで言った古き敵の言葉を鵜呑みしたらそうなる。

今になっては余に嘘をついても何の得もない相手にこれ以上疑うのも無駄だ。

行けば良かろう...

そう思って、あの男がいた場所から後にした余と愛する我が君。

すぐに余の戦車であの村に行くことが一番手っ取り早い手段だと言ったものの、愛する我が君はそれを拒んだ。

「人...驚く...戦車...いけない!」という必死に余を説得した。

驚かれることは何がいけないのか余は理解できないが、愛する我が君の言うことであれば、それに従うのみだ。

その結果、またあの船に乗ることも余としても解せないが...これは愛する我が君のお願いだ。

拒む愚か者はどこにいるであろう...

その船が出航するのにまだまだ時間があるようで、もうちょっとカンコウしてから帰ると言われた余は愛する我が君についていった。


そして、ある海に突き出しているミサキと呼ばれた場所に訪れた。

その海の波音を聞いた余はどこかで心の中に静けさを感じた。

ああ...

確かにここは美しい島だ...

なぜか説明しがたいが、余の故郷()を思い出してしまう。

このそよ風は...余の国にも訪れた風...

この透明な海の水も...余の国にも流れてここにたどり着いて、またそこに訪れたのであろう...

後ろにあるあの山は少し低いが、余もその山の上に立って、下に広がる景色を見渡したことがあるはず...

余の国...今はもう存在しない王国...

このような王がいたせいで滅んでしまった王国...

王としても同胞としても失格な余にはこんなことを思って良いのであろうかと不完全な心が少し痛みを感じた気がする。

それでも...

あそこは...余の心の在処...だった。

小さくても同じ島だからか...

どこかで懐かしく感じて感傷に浸った...そう感じている。


...

遠くの海の向こうを眺めながら、余は別のことが頭の中に浮かんだ。

余と愛する我が君の真実か...

どのような真実が余を待ちわびているだろう...

それでこの不完全な心が完成したら、どの真実でも受け止めるのも今の余だ...

そのためにこのブラリタビを続けている。


ただし...

今はたった一つの真実があるとすれば、

愛する我が君は余の隣に歩いて...其方が笑顔のままでいられるであれば、

その笑顔が見られるだけで十分だ...

十分何者より幸福を感じている。

ずっと感じていた【哀しみ】も和らげる。

だから...其方が真実を求めるために探しに行くと言うなら、余は世界の果てまで共に参る覚悟ができている。

例え、その真実が余と其方の運命が分かれ道にたどり着こうとしても...

余は...

必ず...

「其方を幸せにする!」と心の中に秘めた気持ちを口からの【咆哮】にした。

...

あ...言えた...

隣にびっくりした愛する我が君...

なぜか少し顔の色が赤らめる愛する我が君...

すまない...許してくれ

今だけ...この気持ちを...例え其方に伝わらなくても...

それでも...

これで...良い...


そう決心した余は隣にいる愛する我が君の顔を見ながら、共に船が停まっている場所に向かった。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


ついに!

魔王の回が来た!

と待っていたぜと思った方がいるでしょうか?

魔王の解釈...そして、様々な思い...

まさか海を見ると、故郷が浮かぶみたいなのも意外と思いますか?

さらに、まさかの秘めた思いを叫ぶというより咆哮w

魔王はロマンチストですね(誰がそう書いたんだ!あ、自分ですw)

これで少し気持ちが整理して、再び歩き出そうとする魔王と...隣にいる蘭華ちゃんはどうなるのか?


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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