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昔話(ある村の話②)

これは昔々の話...ある農民と不思議な彼女の話


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

昔々...ある村では普通に平凡な農民がいました。

農民は、村の掟である毎日欠かさず村人の誰かが【豊穣の神様】への祈祷を行うために村から離れたある神社に行きました。

しかし、早朝一人で行った農民は帰りのその夜には二人に増えました。


そう...

農民は神社で出逢った謎の女性を村まで連れてきました。

その女性を見た村人は驚きました。

なぜかというと、灯籠で照らされただけにしても彼女は見たことのない衣服...そして、見たことのない肌色...褐色の肌色をしているからでした。

村人たちはこう言いました。

「その女は何者だ。」

「なぜ女を連れてきた!今はもう一人を食べさせる食べ物なんてないぞ!」

「そもそも、あんたはこの村の皆の分の祈りを神様に届けに行ったじゃないのかい?どこでこの見知らぬ女を拾ったの?」

と農民に問いただすことばかりしました。

そのような質問への回答に迫られた農民はこう答えました。

「落ち着いてくれ...彼女...いや、()()()はこの村が救えるかもしれない。」

その解答は虚しくも村人の不信感をさらに増してしまったことになりました。

「巫女様だと?あんた、頭がおかしくなったのかい?」

「この辺じゃ見かけない服を着て、その黒い肌...どっちかと言ったら...もしかして!妖怪とか!狐か狸が化けたんじゃないのか?」

「でも...その見た目...見たことない。この辺の者じゃないのは確かだ。その神社に行く途中には人が住む里ところか家なんてないはず。」

ますます自分たちが見た女性への理解ができなくなった村人の間には困惑の雰囲気に包まれた。

その雰囲気を感じ取った農民は困った顔をして村に連れてきた謎の女性の方を見たが、

彼女は微笑んでいました。

なんでこんなときでも笑っているのか不思議で不思議でしかたがなかったと思った農民はふっとあることを思い出しました。

そうだ!あれを!

と手に握っていたあるものを村人に見せました。

「何?」

「これ...柿の種じゃないか?」

「それを持って、どうしろっていうのか、あんた...」

訳が分からない村人に見せたその柿の種を農民は今度謎の女性に向かって、手のひらにはその種を彼女に捧げたかのような姿勢で跪きました。

そして、「巫女様!どうかもう一度奇跡を見せていただきませんか?」と叫びました。

その意図が汲み取れるか分からないが、女性は笑顔で農民の手にある種を取り、近くの土に埋め始めました。

「それで何をするつもりだ?」

「そんなところで種を埋めても...どうにもならんぞ。」

「おい!あんた!何をするのか説明しろ!」

という疑心暗鬼な気持ちを農民に突きつけました。

農民も緊張しながら...その様子を見守りました。

すると、先ほど女性が種を埋めた場所から...小さな芽が()()()()()

それを見た村人の表情は驚愕に変わった。

「さっき埋めたばかり...だよね?」

「信じられん...妖術...なのか?」

「しかも...草さえも生えないあんなとこで何を植えても無理なんだ...」

その結果が確認できた農民は、他の農民より早く跪いたまま...手を頭の上に合掌して、こう言いました。

「見てください!この奇跡!これはまさに豊穣の神様の力!この方は神様の御使いでこの村を救うために神の力を授かった...()()()()()()なんです!」

農民の言葉を聞いた村人も困惑や疑心暗鬼な表情から...歓喜の表情に次々と変わりました。

「本当に...できるなのか?」

「あの力を使えば...ワシの畑は蘇るのか?」

「私たち...助かる...」

とそこにいる村人全員がひれ伏して、一斉に同じ言葉を言いました。

「巫女様!どうかこの村を救ってください!」

その光景を見た彼女は少し驚いた表情をしたが、すぐに笑顔に変わりました。

何の言葉を発しないまま...


その後、巫女様と呼ばれた女性は村長である長老が住む家に招かれ、ありったけの食べ物を供えられました。

彼女もまた目を輝かして、目の前にある食べ物を美味しそうに食べ始めました。

それを見た農民と村人もまた喜んでいました。

気に入ってくださる...よかった...

食事を済ませた彼女は長老が使った夜着(よぎ)を渡され、今着ている服を羽織りました。

床には集めた藁などが重ねられて布に巻かれたふとんのようにして、できるだけ快適にここで眠ってもらうように敷いておかれました。

彼女はそこで一夜を過ごしました。


一方、彼女が眠りについたと確認した農民は他の村人と共に各々の家に戻りました。

明日からこの村には豊穣の巫女様の力によって、作物が実り...自分たちが助かるという希望を抱きながら...


そして...明日の朝日が昇りました。

彼女の姿は...長老の家から消えました。

(つづく)

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

「第12回ネット小説大賞」に再挑戦した結果、残念ながら通過できませんでしたが、これからも挑戦を続けます!

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


今回は...またしても蘭華ちゃんには行かずに...昔話シリーズ、しかもある村の話の続きになりました。

あの農民が謎の女性?(まあ、たぶん読者は気づいたかと思いますが、とりあえず伏せておきましょう)を村に連れてきたときの話しでしたね。

村人の反応を3人ずつ分けて発言させて、それぞれ違う考えと主張を書いてみました。

作者的には違う人物の声が聞こえましたが、読者の方はどう聞こえますでしょうか?

特に目の前に不思議で不可解なことを目にしたとき、これが奇跡と主張した農民とそれを必然かのように受け入れた村人...その時代の信仰とかに何か関係あるかもしれません(ないかもしれませんw)

宴までじゃないが、できるだけのおもてなしをして、巫女様の機嫌を保とうとした村人たち

しかし、最後の文は何だ!?

つづくと書いてあるし!

どうすんの、作者!(まあまあ...そういうことです)

一体この昔話はどうなるのか...


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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