羅亜夢(使命②)
使命の...第一歩
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
俺、設楽・羅亜夢は自分の使命が何なのかやっと分かるような気がした。
手に取っている差出人不明の封筒の中に書いてある電話番号を見たラームは考えた。
考えてみればあのとき、その謎の電話をしたことは俺が自分の使命に向けて進む分水嶺になったと言っても過言ではない。
もしくはこの世界の運命が決まる分岐点...とは言いすぎたかも。
そこで、自称風神の子兼俺の従者である孫・悟空と出逢った。
待ち合わせしたサトラの店ではどういう偶然か...いや、ここなら運命と呼んだ方がよさそうだ。
最近俺のことを避けたみたいで中々二人で話していなかった俺の弟...駱と逢った。
それに一緒に来た古海さんという女性はなぜか俺たちだけにしか起きなかった不思議で不可解な出来事に巻き込まれて...
そして、ラーマーヤナを知っている者には誰しも名を知られるあの魔王の末裔と名乗ったラヴァン家の者との遭遇...いや、これも運命なのか...
相手はもう俺と逢う...いや、俺のことを始末するつもりだったから...
あの戦闘は、今でも信じがたい光景だったけど、現実だ。バトル漫画のシーンとかじゃない...
サトラの護衛で俺は今になって無事だった。
でも、これでハッキリ分かったことが一つ...俺はこの運命から逃れられないこと...
それを受け入れた。
でも、そのときでも結局自分の使命は何なのかまだ分からなかった。
魔王の末裔と戦うことは俺の使命?
...それならそれで構わないけど...俺は何の超能力もない一般人と同じレベルだ。
何ができるのだろう...
ラーマ王子は武器を使うよね...
弓...弓道やったことないね...
そう思った俺はある日、テレビを見た。
スポーツ特集が見たくなった気分だった。
武器にするとか格闘技を学びたいという訳じゃないが...
それはラクと久々に一緒に行動した日の後だった。
あの羅刹女のこと...後でラクに聞いてみることにしよう。
鳳先生...ただの大学教授じゃないあの人はその後どうなったのかも...
それで、テレビに映った人物を見て、俺は確信した。
すぐにサトラに連絡した。
サトラは誰かの護衛をしているようだ。
俺にもその名前を知っている...だから、その人の護衛をお願いした。
この人にはラヴァン家でも誰の手に渡される訳にはいかない。
俺はそう感じた。
しかし、その後のことは想定外だった。
また再会した...ラヴァン家の者...しかも俺の部屋まで目の前に...
そう言えば、サトラに渡された小さな人形...確かに...
「もし旦那の身に何か危険を察知したら、この人形は俺に変身して旦那を全力で守る。その間には知らせが俺に来て、旦那のところに駆けつけるっちゅー仕組みじゃけん。」
この人形が作動しないというのは危険を察知しないということでいいなのか...
でも、実際...本当にただの会話だった。
会話の内容は危険というより...これもまた想定外だった。
宣戦布告しに来たかと思えば、俺の使命は魔王が導く世界の終焉を阻止することだ...と?
なぜ魔王の末裔が自分の先祖である魔王を止める...
第一、なぜそれを阻止すると思われる俺にこんな話をする?
理由を聞こうとしても答えてくれなかった。
あの男はただある言葉を口にした。
【オノ】という言葉を...
あの封筒に書いてあった言葉...なぜこの人がそれを知っている。
それよりその正体まで突き止めた。
しかも、彼が口にした名前は一番意外な名前だった。
それは...音信不通で行方が分からずにどこにいるか知らない俺の父親の名前だった。
ここまで来て驚くより...なんとか想像がついてしまった俺はなぜ父親がどこにいるかは聞かずに、
俺に何をすればと訪ねた。
あの男...ヴィシュワ・ラヴァンはただある連絡先を渡した。
「この番号に電話すれば全てが分かります。」と言って、俺の部屋を出た。
そして、今その連絡先を見た俺はどちらかというと...
「は...これで俺のスローライフ計画が...」と言って、ラームは一つため息をした。
ネパールの親戚を会いに行ったときに体験したことがきっかけで自分の使命とは何だとか考えた自分は今の自分を見て、こう思うかもしれないな...
ネパールのことを思い出すと、フッとある人物が脳裏に蘇った。
蘭華さん...
ネパールにいたときからずっと連絡を取らなかったけど、今何をしているだろう。
俺...実は本当にあのラーマ王子の血を引く人ですと言ったら、どんな顔をするだろう。
信じて...くれるのか?こんな突拍子もない話...
でも、俺みたいに使命とか運命とかに囚われずに自由で好きなインド神話のことに没頭して、満喫をしている...
彼女なら、そうするに違いない。
うん!何か不思議なことに少し気持ちが楽になった。
「まずは電話しないと...うん...ネット通話じゃないんだ...プランに入っていない...前にもこんなくだりだったな。」と決意が固まったラームはスマホを取って、誰かに電話した。
自分の使命を果たす...その第一歩はこの電話...かもしれない。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。
今後ともよろしくお願いいたします!
登場させました!皆に好かれる?ラームさん!
書いた当初はこのキャラ...ランカちゃんとのダブル主人公みたいなポジションじゃないかと思えば...こうなりました。
どんな感じに登場させようかなと思って、なぜか今までの出来事をまとめる...いわゆるアニメで言うと総集編にしてみました。
でも、羅亜夢(使命)というタイトルが付いたのはもはや2年前ですよ!
ラームをメインにしたのは一番久々かもしれない。
まあ...どっちにしようこれで自分の使命は何なのかより分かったラーム。
しかも、一番意外な相手から...
どうなっているんだ?
というかお父さん!?
お父さんは誰なのか読者の方はもう分かっていると思います。
ここで親子の再会...ある?
しかし、ラームの願いは虚しく...
ランカちゃんはまさにこの物語のど真ん中に巻き込まれています(それは運命...ではなく作者の意地悪ですw)
さてと...(また)電話した相手とは何者か...
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




