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不思議な縁(伯父様)

出逢った...もう一人の伯父様


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

瀬戸内海に浮かぶ島...女木島...通称【鬼ヶ島】

その島の中にある家で先ほど訪れた客が家の中に招かれた。

しかし、不思議なことに迎えに来た者も来客もお互い知らない顔だった。

家の中にはいくつか散らかされたか散らかった跡が見えるが、来客の二人はあまりそれについて気にならなかった。

それより気になることががあるからだ。

ソファーに座っている一人の女性と一人の巨漢らしき者は何の言葉を発さないまま、先ほど会ったばかりの家主と違う知らない人がキッチンから戻ることを待っていた。

そこで、キッチンから戻ってきた知らない男性は二つのコップを持って、二人の前に置いてから、二人の向こう側に座った。

「あまり作った回数が少ないから、お口に合うといいが...どうぞ。」

そのコップの中には茶色の液体が入っている。


「これ...マサラチャイ...」と最初に口を開けたのは女性の方、椎谷(しいたに)蘭華(ランカ)だった。

「私は純喫茶を営んでいるが、メニューにはこれがなかった。まあ、常連のリクエストなら作ってやったということが多いかな。それが好きな常連は一人しかいないだが...」

「あ、あの...その常連さんというのはおじさ...白城(しろき)さんですよね?彼は今どこに...」とランカは自分が考えたことを口にした。

それに対して、男性が何か言おうとしたが...そのときランカの隣に座っている巨漢は先に古代言語で話し初めた。

「お主...余が殺したと言ったな。余は幾多の者の命を奪ってきた。いちいち覚える訳がない。名を乗れ。」という巨漢の言葉を聞いて、男性は少し皮肉っぽく笑って、古代言語で返した。

「我が名は()()()()()...魔王様にとって覚えるには値しない者かもしれませんが、こうしてまたあなたと逢えることをお待ちしました。」

「ジャターユ...もしかして...」と言いかけた巨漢だが、

「ジャターユ...?え!?あの鳥の王の?なんでここにいるの?」とここで驚いたのは巨漢ではなく、ランカだった。

「私は確かに魔王との戦いで命を落とした...が、どういう訳か輪廻転生(サンサーラ)の中に囚われた私は様々な姿に生まれ変わり、今ではこの姿であなたたちと話している。」とランカに説明しようとした男性だが、ランカは少し混乱しているようだ。

「生まれ変わり...ということは、記憶が残るままということ?そうか...でも、この人?のことを知っているのはヨシとして...なぜ私のことをお嬢と呼ぶのですか?」という問いかけに男性は自分の前に置いてあるコップを一口飲んで、こう答えた。

「あなたは私のことを知らないのは当然だ。あなたの前に現れるのは今で初めてだから...しかし、あなたのことをずっと見守ってきた。」

「え?」

「あなたの子供のときから会った者は確かにあなたが伯父様と呼ぶ白城さんだ。彼は表の伯父様としてあなたに接するように私が頼んだ。」

「表?じゃ...あなたは...」

「私は裏であなたのことを観察することにした。」

「観察!?」

「誤解しないで欲しい...見守りと思った方がいい。あなたの生活には干渉しない...

ただ何人かの配下をあなたが危険に晒されないように見守るよう依頼しただけだ。

【鷹の目】という探偵事務所と言ったら...分からないか...検索してみて下さい。」という言葉に従って、ランカはスマホで何かを検索してみた。

「嘘...大手の探偵事務所だ...というか所長は、鷹野(たかの)...(ハジメ)...あなたが!?」

「普段は小さな純喫茶をやっているだけだが、ついでに事務所を作りました。あなたを見守るために...」

「ここまでしてありがたいのですが...なぜここまで...」

「ある方と約束した。」

「ある方って、あ!そうだ!」とここでランカはスマホを操作して、何かの写真を鷹野という男性に見せた。

「大洞窟の出口辺りにこの鬼瓦(おにがわら)を見つけました。この...鬼瓦の作成を依頼したのは誰か係の人に確認したら...」

「そう...その依頼人はあなたの()()()()...椎谷家の現代当主だ。」

「やっぱり...じゃ、おばあちゃんの依頼で私を...」

「それだけじゃないが...今はこれまでにしよう。」

「あ、はい...正直何が何だかまだ頭が付いていけないけど、要するにあなたも私の伯父様...二人目の伯父様ということですね。逢えて嬉しいです。」とここでいつものランカの笑顔が戻った。

「私はあなたの味方であることだけで覚えてくれたら私も救われます...ありがとう。」と鷹野が少し涙目になった。その涙を拭ってから、鷹野は巨漢に向かって、古代言語で話した。


「そういうことで、私とあなたがなにがあったとしても...私は彼女...あなたの大事な者には傷づけないように見守ってきた。それだけは安心して欲しい。」

しばらく黙った巨漢は立ち上がり、合掌してこう言った。

「礼を言う...ジャターユよ。愛する我が君を守ってくれたことを心から感謝する。」

「自分を殺した相手の御礼は中々違和感があるが、それを受け取ろう。」と鷹野も合掌して、さらにお辞儀をした。

「お主に尋ねたいことはもう一つある。」と巨漢はランカにスマホの写真を見せるように促した。

「ここに書いた文字は確かに余も読める文字だが...ここだけ読めない文字が混ざっている。」

「あ...これ...ちょっと工夫して、読めないようにしました。これは最初から良きと書いています。」

「良き...」

「ということは王の良き心になるけど...」とランカは気になる様子で分かった言葉を口にした。

「魔王に伝言を預かっています。」

「どのような内容だ。」

「あなたの【良心】があなたを待っていますとのことです。」

「余の...良心...」と聞いた言葉のことを不思議な顔をしている巨漢。

「どういうことですか?」とランカは鷹野に質問した。

「彼も私も見えてきた未来をなんとかしようと動いています。」

「え?未来?話が見えませんが...」

「彼は別行動で...私はあなたたちを導くためにここで待機した。」

「彼...白城伯父様は今どこにいますか?」

「安心して。必ず巡り逢う。あの場所で...」

「あの場所とは...どこですか?」というランカの問いかけに鷹野はこう答えた。

「そこは...あなたもよく知っている...あなたの()()()()()()...【椎谷村(しいたにむら)】だ。

そこにはあなたたちが探し求めているものがある。」と言って、巨漢にはこう言った。

「あなたの【良心】もまたそこであなたを待っています。

そして、あなたが知る必要がある【真実】もそこにあります。」


全てが椎谷村に...明かされる。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。

今後ともよろしくお願いいたします!


伯父様と...ご対面!と思ったら、違う伯父様だった!

どういうことだ?

伯父様は二人!?

置かれたマサラチャイ

明かされた純喫茶の店長の正体!

まさかの探偵事務所の所長!?

さらに驚くのは蘭華ちゃんのおばあちゃんが!?

なぜおばあちゃんが!?

さらにさらに王の良心!

一体それは何だ(こっちはもう分かるかな?)

そしてそして!

やはりここも椎谷村が出た!

登場人物が同じ場所に目を向けている。

そこには...何があるんだろう...

謎が一気にこの話に集結して、内容が濃い...

次はどうなるの!?


そ、れ、は...

もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!

乞うご期待!


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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