ぶらり旅(鬼ヶ島②)
二人が待ち構えた...人
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
「聞きました?」
「聞いた聞いた!山田さんちの奥さんから聞いたわよ...」
「【あの家】からすごい風の音が聞こえたんですって...しかも、不思議なことにあの家しか風が吹かないのよ...」
「本当?あり得ないわよね...あそこだけ竜巻ができたとか...ドンピシャすぎるわよ...それで?あの家は大丈夫なの?」
「そこでさ...様子を見に行った山田さん...家は特に壊れたりしないって言ったのよ。
庭には葉っぱとか散らかしたらしいけど...あと、誰もいなかったわ。」
「ということは...留守していたのかしら...あそこの住人さん、よく出かけたらしいし。」
「つまり、今回はそのその不気味な風の音以外は何もないのね...それはよかったわ...」
「でも、やっぱり怖いわね...」
「ね...世の中には不思議なことがいっぱいあると聞いたけど、まさか私たちの近くに起きるなんて...」
「あ、そうそう。明日の日曜日なんだけど...」
という二人の女性の話し声がまだまだ続いている。
その会話が聞こえる距離で座っている二人組はあまり内容が耳に入らず、片方の女性は何かを考え込んでいる。
一方、一緒にいる巨漢は表情を変えずに女性の方を見つめている。
あ...その悩んでいる其方の顔もまた美しい...
しかし、その悩みは憎い...もし余に何か手助けことができれば、一瞬で終わらせていつもの其方の笑顔を取り戻して見せよう...
にしても、まさかこの国で余の王国の者がかつて纏った服が残されたとは...
しかし、色褪せた布を見たところで何者の物なのかまでは分からなかった。
我が同胞がこの地で生きていたということなのか...もしかしたらあのオニと呼ばれた者は...
と考えている巨漢だが、途中で何者かの声が聞こえた。
「はい。冷たいぶっ掛けうどん二つです。」
「来た来た!」とさっきの悩んでいる顔から一旦笑顔が戻った女性、蘭華だった。
「じゃ、食べましょう...えーと、これ...冷える...熱くない...食してよろしい」とランカは片言の古代言語を交えて巨漢に説明した。
巨漢も首を振り、手にまだまだ使い慣れていないお箸を持ちながら、ランカを真似して手を合わせた。
「いただきます!」
「...イタダキマス...」
とりあえず今は笑顔に戻って一安心か...まずはこの冷たいウドンというものを食べてみるとしようと思った巨漢だった。
うどんを箸で口に運び、すすったランカはまだ噛まずにさらなる笑顔が増していく。
「うん!噛んだときに感じるコシ...さすがサヌキ!さすがうどんの県...あと、さすが鬼`sキッチン!
土日営業だから、逆に一日をすらしてここのうどんが食べられてよかった...うまい!」と満面の笑みを見せたランカ。
その勢いでうどんをすすりまくったランカはあっという間に完食したランカに対して、巨漢は自分のペースで少しずつうどんを食べている。
不器用なりに頑張って食べる子供を見たかのようにランカは少しクスッと笑った。
伝承の通りなら、どんな学問でもすぐに学習できるぐらい天才だけどな...まあ、二回目にしては成長が早いと思う...と思ったランカは食べ終わるまで巨漢を見守っている。
その間に彼女はまたさっき考え込んでいたことを思い出した。
でも、驚いたね...
まさかあの鬼瓦の作成依頼人は私でも知っている人だなんて...
これはどういうことなんだろう...
確かに伯父様とは関係があるけど...理由が聞きたい。
電話してみたけど、よりによって出てくれないし...何をしているんだろう...
まあ...せっかくここまで来たし...まずは伯父様に聞いてみることにしようか...
そっちも連絡が付かないけど、こうなったらもう直接に家に行くしかない。
と決めたランカはちょうど巨漢がうどんを食べ終わったところを見て、手を合わせて
「ご馳走様でした。」と言った。
「デシタ...」という巨漢からの真似た声が後に来た。
店を後にした二人はランカが伯父様と呼んだ人の家の住所を調べて、ナビゲーターに従って歩いた。
そして、店から歩いて5分でもない間に目的地に着いた。
ここだ...伯父様の家...見覚えがある。
そこは少し小さい庭がある普通の一軒建ての家である。
ヨシと思ったランカはチャイムを鳴らした。
「ごめんください~伯父様!ランカです!」
そこで扉が開けられた。
しかし、扉の向こうに見えた人物はランカが知っている伯父様じゃなかった...
その知らない人を前にして、ランカは戸惑いながら、相手に質問をした。
「あ、あの...ここに住んでいるおじさ...【白城】さんは...」
「無事に来られて良かった...お嬢...」という相手の言葉にランカは困惑した。
「お、お嬢?」
そして、その相手は巨漢を見てさらに状況を混乱させる言葉を口にした。
古代言語で...
「久しいな...私を殺した魔王」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。
今後ともよろしくお願いいたします!
作者は麺類が好きです(いきなり何w)
稲庭うどんもいいけど、香川に行ったときの讃岐うどん三昧は本当に感動しました。
朝昼晩ずっとうどんを食べましたw
一応実際する店の名前をオマージュして、'sキッチンにしたけど...これもまた何かと似ているw
まあいいか
にしても...あの謎の鬼瓦の作成依頼した人は誰かまだ分からないですね。
誰だと思いますか?(丸投げw)
ここで伯父様の名前が判明!白城でした...
何かヒントになれますか?
そして、伯父様の家に着いたランカたちが待ったのは誰だ!?
お嬢って…なんか組の人っぽい呼び方ですね(今更)
というか魔王のことも知っているなんて...一体誰だ!
そ、れ、は...
どうなるかそれは次回の楽しみ!(これで何回目だw)
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




