ぶらり旅(鬼ヶ島)
二人...鬼ヶ島満喫中?
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと..
やっと到着した...【鬼ヶ島】!
早朝のオカヤマからの特急電車に乗って、海を越えて...四国に入った。
カガワのタカマツ駅に着いた私たちはそこから港に向かって、さらにフェリーを20分で移動してたどり着いた。
今は...10時...そろそろ10時半かな...
とスマホの画面に表示された時間を確認した蘭華は次にさっきまで乗ったフェリーの船を見た。
そして、彼女は少し笑みを浮かべながら...ある人物に声を片言の古代言語でかけた。
「ここ...安全!...ここ...降りる...」
その相手の顔色は肌色のせいでハッキリ分からないが、これは褐色の真っ青な顔ではないかと思うほど顔色が悪かった。
それを聞いた相手はその巨体をふらふら揺らしながら、船からの階段を降りてきた。
そして一言を口に出した。
「この乗り物...気に入らない...」
そこでランカはふっと笑った。
空を飛ぶ戦車に慣れすぎたのかな...まあ、飛行機酔いしなくて船酔いをする魔王もまた面白い...
と思ったランカは次に誰かに携帯で電話をした。
しかし、しばらく何回かコールをしても、電話の相手は出なかった。
あれ?
電話に出ない...
まだ寝ているのとか...ないか。この時間だし...
それとも忙しくて、出られないとか?
到着推定時間はメールで送ったはず...
以前ここに来たとき、この港まで迎えに来てくれたんだったな...
そのときはおばあちゃんも一緒だからそれはそうか...
伯父様の家の住所は分かったから、今からすぐに行ってもいいけど...と考えたランカはまた今隣に立っている巨漢の様子を見て、苦笑いをした。
こんな状態のこの人?を伯父様に会わせるのも...ね...
ちょっとこの辺で散歩して、この人?の気分が少し回復してからにした方がよさそう...
うん...どうしようかな...
と隣の巨漢を見たランカは何かをひらめいたかのような顔をした。
あそこだ!
鬼ヶ島と呼ばれたこの島にあそこに行ってみないとね。
個人的には...この人?の反応も見てみたいし...
久々にあそこに行ってみよう...
その後でここに戻ってから伯父様の家に行ってもそんなにかからないし...
そうしよう。
と決めたランカは巨漢を連れて、港の近くにあるバス停で停まっているバスに乗って、ある場所に移動し始めた。
下車するのは...【鬼の大洞窟】と書いてあるバス停だった。
桃太郎伝説に登場するとされるこの大洞窟の中には、広い空間がいくつあり、さらに鬼が住む大広間や居間、番人の控え室などに分けられた。
分けられた空間の中にも鬼と思われる像が配置され、まるで鬼たちが住んでいるかのように再現されている。
洞窟の中はひんやりして、妖しげな雰囲気が漂っている中...歩いている二人の片方は懐かしい表情をした。
子供のときにはもっと怖い印象だったけど、今になってはこのフォルムは逆に可愛い?少なくとも怖くないね...鬼たちの色とか表情もちょっと面白いし...
どちらかというと...この人?の方が怖い...かも?と思ったランカは隣に歩いている巨漢を見た。
その巨漢もまた同じ鬼の像を見た。
そこで、巨漢はあることを口にした。
「この者...何者?」
「えーと...オニ...あなたの...同類?...ここの人...そのように思う...」
「オニ...余と違う...色も...顔も...同類...否」
「あ...へへ...だよね?あくまで人々が思ったオニの典型的な姿だし...牙とか角とか...あなた...違う...然り...ただし色は...」
と何かを言おうとしたランカはふっと思った。
阿修羅...夜叉...羅刹...そして鬼...
日本で結構聞いたことがあるのはこの4つの呼び名だ。
ヒンドゥー教からの仏教...そこから日本に伝わった伝承又はその地域の信仰の影響によって、ある意味では類似するこの4つの存在...
...鬼神...悪鬼...
日本以外にも他の国もまた違う呼び名もある。
しかし、共通しているのはどちらも魔族...あるいは魔物だ...
悪さをしてもしなくても魔族という枠に入れられる。
子供のときから疑問だと思うけど...なぜ桃太郎が鬼を退治しないといけないのかな...って。
だって、今の考え方でいうと...鬼は人間を食べたり襲ったりということは本当なのか立証できないじゃん。
狼とか熊とかもそんなこともできるし...証拠もないのに桃太郎は何でここまで来て、鬼を倒すのだろう...
うん...ちょっと真面目すぎるかな。
第一日本の伝承は専門外だし、南アジアの方が詳しい私には今でもまだ分からない。
ハッキリ言えるのは善と悪の戦いという概念は世界中どこでも似ている概念がある。
ただし...鬼とか羅刹が悪者扱いというのはかわいそう...
この人?が正真正銘の羅刹の王だとした場合、この考え方にはもっと疑問が深くなるしな...
うん...
しばらくして二人は出口付近まで来たときにとある場所を通った巨漢はあるものを目にして、
歩きが止まった。
「ラジャ?」
「これ...何」
「あ...鬼瓦だね...さっきもいくつか見かけたでしょう...えーと...家を守る?的な?もの...説明は難しいな。」
「おにがわら...顔様々...」
「そうね...作った人によってかな...割と面白いよ。」
とここで巨漢は何か考え込んでいるような顔をしている。
「どうしたの?」その様子が気になったランカは声を掛けた。
「この顔...見たことある。」
「ん?言われてみれば...どこかで...鬼の顔の割になんというか...優しい...あれ?」
その鬼瓦の顔を見つめたランカは何かに気づいた。
「この鬼瓦...何かの文字みたいなものが刻まれている...うん...古代文字っぽいけど...」
「王の...」
「え?読めるの?」
「王の...心...真ん中の文字...解読難しい」
「王の...何々...心?どういう意味だろう...というか誰がこんな細工を...」
しばらく黙り込んだ二人...そこでランカはある提案をした。
「案内所に行って、聞いてもいいかも...ちょっと写真を撮るね...写真ダメなら、係員に見せてから削除する。」
と言って、その鬼瓦の写真を撮り、洞窟を出た二人は港に戻るためのバスに乗った。
そして、島の案内所【鬼の館】に訪ねた。
「この鬼瓦を作った人...ですか?他に知ったそうな人に確認してみますので、少々お待ちください。よかったら館内の中に展示物を見回っても構いません。」と係員に言われたランカは時間つぶしに館内に展示されたものを巨漢と一緒に見回ることにした。
うん...数はそこまでじゃないけど...少し有意義にできそうだ...前に来たときにはこの建物があったっけな...
と思ったランカだが、一緒に来た巨漢はある展示物の前に立っている。
展示されたのは...ある布だった。
鬼が身に付けた布と説明文に書いてある。
しかし、巨漢の顔には険しい表情が怖い雰囲気をかもし出した。
「この布...」
「布?これは...日本の鬼の伝承では大抵虎柄というか...虎の皮を被る感が凄いけどな...この布は全然違うけど...」
「余の...国の...物」
「え?」という驚きの発言をした巨漢に対して、ランカもその意味がよく理解できなかった。
さらにその直後、何かに思い出した巨漢は目を大きく開いた。
「洞窟...文字...王の...正しき...心...」
「正しき?それは...さっき読めない文字なの?要するに書いているのは王の正しき心...」
「余は王...しかし...正しき心...ない」
「そんなことない...と言うのはちょっと無責任か...あなたも...正しき心...ある...然り?」
「余じゃない...正しき心...ある...それは...」
「何?」
「余の弟...」
「え?それはつまり...」と段々巨漢の言葉に驚きが隠せなくなったランカ。
「あ、ここにいるのですか?お待たせしました...」とここに係員が二人のもとに来た。
「あ、お疲れ様です。何か...分かりますか?」
「あ、はい...それを作った...というか作成を依頼した方の名前と住所が分かりました。メモに書いておきました。」と係員がメモをランカに渡した。
「ありがとうございました。」と御礼をしたランカは受け取ったメモを見て、今度は彼女の方は驚愕の表情になった。
「嘘!?これって...」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。
今後ともよろしくお願いいたします!
ついに...
ついについに!!!
蘭華ちゃんの回が来た!!!
8888(じゃないだろw)
鬼ヶ島上陸!いや...到着?
いいや...
ここで伯父様のところに直行させない作者...いや、これは蘭華ちゃんのちょっとしたマイペースなところです。決して話しを伸ばすつもりは...(ある)
せっかく着いたのに...観光しないでどうするのですか?
あの鬼ヶ島ですよ!鬼の洞窟に行ってみないと...
しかし...鬼とか羅刹とか...これもまたいろんな文化で違いを感じますね。
とここで謎の古代文字の鬼瓦...
謎の布...
そして、作成の依頼人の正体は!
一体!誰だ!?
そ、れ、は...
どうなるかそれは次回の楽しみ!
蘭華ちゃんはその伯父様と再会が果たせるかも...
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




