業の矢先(翠猿④)
翠猿の思惑...一部暴露
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
場所はまた「Herb, Spice & Monkey」に戻る。
サトラが店を去って、どこかに向かった後、本日営業終了の看板が掛けられた店の静まった店内には残された二人。
オーナーのスリーヤと翠猿と名乗った男性はお互いの目を見て、しばらくの間言葉を発することはしなかった。
そこで沈黙を破ったのはスリーヤの方だった。
彼はため息をついて、「お前さんも喉が渇いたじゃないか?何かを飲む?ソフトドリンクぐらいは出してやれなくもない。」と言った。
一方、それを聞いたスーツ姿の目一重の男性は少し笑みをして、「え...ありがたくいただきます。毒だけは遠慮してくださいね。」
「うちは飲食店だぞ...そんなものを持ったらこっちも困る。洗剤ぐらいはあるが...」
「はは...冗談ですよ。あなたは私をどうするとは思いません。殺生も好んでいないらしいし。」
「好まないとしないには違いがあるぞ...まあ、お前さんをどうにかしたいのは山々だが、それは別として今は話の続きがしたいだけだ。はい...どうぞ。」
「ありがとうございます。」とお礼を言った男性はグラスを受け取って、一口飲み物を飲んだ。
「俺はとりあえず明日そっちに向かうとして...あ...しまった、それじゃこの店は誰もいないことになる...お前さん、料理とかはできるか?こうなって以上責任を取ってほしいだが...」
「ふっ...なぜそうなるのですか?私を叔父さんの店に手伝うという発想は面白かったですね。そんな義理があると思います?」
「一応聞いておくだけだ...気にするな。本題の話に戻そうか?あそこにはすでにお前さんの部下が行ったのか?あと、なぜ魔王はあそこに向かっている。もしかしてあの人の存在を知って...」
「正確には私の部下じゃありません...うちには別のやることがありますので、一応何人か監視役を置いてきます。たぶんヴァーユの子が到着するときにはすでに誰かがいるでしょう。人数ははっきりわかりませんが、実際のトップはそちらに行く可能性が...」とここまで普通に話した男性の体に異変が起きた。
男性の体は首以下全部動けなくなった。
もらった飲み物のグラスを持ったまま、膠着している男性は目で飲み物の中身を見て、こう言った。
「まさか...この...マサラチャイ...」
「安心しろ...俺が作った特製スパイスを入れた。毒とは違うけど、一時的に動けなくなる効果があるだけだ...
いや...毒でも薬でもなるという時点じゃ今のお前さんにとっては毒かもしれん。嘘をついて悪かった。あぁ...今日は【五戒】の一つを破ってしまったな...」となんか申し訳なさそうでそんなに反省の気持ちを表さないスリーヤは動けなくなった男性に話した。
「お前は誰だ。」
そう言われた一重の男性は少し皮肉っぽく笑った。
「あなたの遠い遠い親戚ですよ...叔父さん。」
「そこはもういいんだ。見た目も臭いもごまかして、変身か成形か分からないけど...ほぼ完ぺきだが...
お前には俺のことをずっと叔父さんと呼ぶのは確かに合っている。
しかし、お前には一つうっかりミスをした。
それを聞こえなければ、俺もてっきりお前は本当に俺が知っている甥かと思った。」
「ほ...それは何ですか?」
「俺のことを叔父さんと呼ぶみたいに...お前がヴァーユの子を兄さんと呼んだ。でも、お前はあの方と呼んだ。それだけだ。」
「だから、私には絆がないと言ったのですね...皮肉かと思いましたが、お見事です。」
「まあ...最初は少しの違和感だけだ...確信はその後だ。それで?お前らの本当の目的は俺に対する復讐じゃなさそうだし、本当に抗争を初めて何が得るのか俺は理解できん。それとも本命は...魔王...」
「なら...明日自分の目で確かめに行ったらどうですか?」と最後に一重の目を開いて、男性はスリーヤに言った。
少し黙り込んだスリーヤは心に何かが決まったかのように行動し始めた。
そして、彼は店を出ようとしたその前に目一重の男性にこう言った。
「スパイスの効果が消えたら、また動けると思う。そのとき、部下に回収してもらっていい...
一つだけ頼みがある...扉だけは壊さないでくれ...魔王に壊されてまだ仮設のものなんだ...では、本物の甥を会いに行く。」と言って仮設の扉を開けて出て行った。
一方、目一重の男性は笑みを浮かべて...自分に言い聞かせたかのようにつぶやいた。
「ミッション達成です...ボス」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。
今後ともよろしくお願いいたします!
悩む...
今回はどの話を書くかと悩んでいました。
もう蘭華ちゃんを登場させろよ!と思う方にもその願いを叶えたいし、別のキャラを出そうかもっと話を広げて伏線をまた投下する考えもありました。
あ...悩む
そして、悩んだ末書いたのはこれです...笑
とりあえず翠猿の話を一旦終わらせたい気持ちが勝ったので、こんな感じにしました。
もともとオーナーにはそっちに行ってもらうつもりがなかったのですが、これもこれでまた展開できると思っています。
なので、さっさと蘭華ちゃんを出せと思う方にはすみませんでした!!!
でも、突然ギャングものっぽくなっちゃいましたね。
特製スパイスで体が動けないってなんだw
その違和感に気づいたオーナー...まるで推理ものだ
作者も実際今までさりげなく?あちこちに伏線の言葉を置いたつもりですが...気づいた方には分かりますかね?
次の日...つまり蘭華と巨漢はあの島に到着する時には状況がどうなるのか?
そ、れ、は...
どうなるかそれは次回の楽しみ!(またか)
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




