不死者の仲(戦友)
久しく会った...二人
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
カガワ県タカマツ市の港からそこまで遠くない距離に位置する小さな島、メギ島
時は蘭華たちがフェリーでその島に着く前の夜
まだ彼女と巨漢があるホテルでちょっとした騒ぎの状態に取り込み中のときだった。
静まり返る島の街のある家でまだ明かりが付いている。
開けられたままの窓を家の中に見ると、ある男性が座っている。
彼は特に何もない外の暗闇を眺めている。
外には月明かりが照らされたが、見えるのは他の家のさっくりとした外見だけだった。
しかし、その男性の目には何かを待っているかのように外を見ている。
待ち望んでいるかのように...
窓が開けられたことでカーテンは涼しい夜風に優しく靡いている。
と思うそのとき...徐々に風が強くなってきた。
そして、一瞬何かが窓を通して入って来るかのように突風が吹いてきた。
家の中にはちょっと物が風のせいで散乱したが、男性は驚きの様子を一切しなかった。
そこで、家具の物陰から何かが現れた。
それは一匹の猿だった...真っ白な毛並みの猿...
その突然現れた猿は男性の前まで移動して、目を見ながら男性に喋り出した。
「よ〜久しぶりじゃの...」
と言ってから、その猿は少女の姿に変わった。
真っ白の肌と髪の少女は可愛い顔と似合わないドヤ顔をしている。
それを見た男性はただ優しい笑顔でさっきまで猿の姿だった少女を見てこう言った。
「お待ちしました。ところで、なぜ少女の姿でしょうか?」
「久々に会ったのに何という質問するのじゃ...はっ!」
「来るのは分かっていますから...あなたは少女の姿に変わることも...ただし、その理由までは分かりませんでした。」
「そこは重要?」
「まあ...ただ気になるだけなので、話さなくても別に大丈夫です。
さっき久しぶりと言いましたが、いつぶりでしょうかね?」
「あ、そう...さすがに分かったのは俺でも分かったのじゃ...
いつぶりか...言っておいただけで考えてみると、いつなんだ?
永遠の命を与えられた存在の中では俺たちは1番会うかもな...他はよく知らん。
確か...何十年前か?この家はまだ建てたばかりのとき...
そうじゃ...ここでいっぱい酒を飲ませてもらったことだけは覚えている。」
「あ...あのときですか...時は本当に一瞬のように過ぎてきましたね...
変わらない私たちが言うのはなんですが...」
とここで内容の中に気になる点がいくつかあるものの、久々に逢えた二人のたわいのない話がしばらく続いている。
その和やかな雰囲気をわざと壊したかのように少女はさっきの顔より真剣になり、別の話題を持ち出した。
「単刀直入に言う...来るぞ。
お前を狙って、たぶん始末しにくるじゃけん。
一応こっちに向かっている途中で怪しいやつを片っ端からやっつけておいたんだが、
相手はまだ何人いる分からん。
あっちこっち見回ったせいでこんな時間になってしまった。
知っているのはこっちに向かっていることだ。
魔王もここに来る...たぶん明日。そうなると、ここは危険じゃ...
俺の読みが正しければ、あいつらの正体は...」と言い終わっていない少女に、男性が割り込んだ。
「分かっています...全ては見えましたから...」
「じゃ、何もしないで待つのか?」
「そう見えますか?」とここで何気ない笑顔を少女に見せた。それを見た少女はニヤリと笑った。
「何かを考えてやがるな...」
「さて...どうでしょう...」
「さすが、腐ってもあの参謀様だわ。相変わらず全てを見抜いてこんなことになるのも想定内っつーことかよ。」
「いえいえ。全てが分かる訳ではありませんよ。しかも何の作戦もありません。」という言葉に少女はほーという顔をして、意地悪そうな顔をした。
「へー...それで?これから来るやつにどうやって対抗するの?」
「対抗しません...私には」
「は?...それどういう...あっ!」と少女は何かに気づいたかのように声がうわずった。
「気づいたのでしょう...私には今最強の手駒を持っているということを...」
その言葉は少女を苛立ちさせた。
「この参謀野郎...シンプルかつ最強の作戦を取るのかよ...俺を使おうとしやがって...
まあ、いいさ...俺は一応別の腐れ縁に頼まれたからな。
腐れ縁のお前にも頼まれたら、これもこれでだ。
しかし!俺は旦那以外命令を受けない...これはあくまで依頼だ。
あとでちゃんとたっぷり報酬をもらうじゃ。」
「もちろん...あなたが欲しいものは全力で与えるつもりです。」
「これで契りだぞ!忘れたと言わせないじゃ...
本当...神というものはクソだな。俺たちを不死にさせたのも出逢わせたのも...昔みたいに暴れてやりたいぜ。」
「お言葉にはお気をつけて。あなたもまた神々の駒にすぎないし...むろん私も...」
「じゃ...俺の気が済むまで思う存分暴れさせてもらうわ。」と言って、少女は窓が開けられた方向に向かって何か独り言を言い始めた。
「な…聞こえてんだろ?我が父よ...
ここで子を助けなければ、お前を父と呼ぶのをやめてやる...というか天まで行って一発を食わせてやる!」
と言った途端、風が少女の周りに集まり、彼女を鎧のように纏っている。
そこで、男性は何かを話し始めた。
「昔のことを思い出しますね。参謀の私から見ると、あなたはいつも他の者のことをあまり考え無しに猪突猛進で突っ走って...暴れ出して...
なのに誰より強くて、戦場を一変させた。そして、主への忠誠心が誰よりも強い。
あなたこそ...主人のために戦う最強の猿戦士...
一方、スグリーヴァは責任感が強い。
みんなをまとめて、自分にも前線を出た。
彼は、我が軍隊の将軍だ。
そして、王の器を持っている...」
とそれを聞いた少女は少し呆れた顔をして、こう返した。
「は!何老人みたいにこんな昔話をしているんだ?くだらんじゃけん。
大体...あいつは王?今になっては笑えるわ。
あんな僧侶でも経営者でも中途半端なあいつには...
でもよ...お前の言う通り…俺は戦士だ。
つるむことも嫌い...正直一人で戦うのは性に合う...いや、楽なんだよな...」
とここまで話した少女は体に纏った風をしながら、召喚した三叉槍を手に持って構えた。
「じゃ...参謀様、その依頼内容を言え。」
「では、一人で暴れても構いません。私...白鬼を明日まで守ってください。」
少女はやる気満々の顔をして、ただ短い返事をした。
「了...解!」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、また今月から「第12回ネット小説大賞」に再挑戦しています。
今後ともよろしくお願いいたします!
今回は...なんと?
蘭華ちゃんは...?
まだ出ませーんw
というか蘭華ちゃんたちはまだあの愛のホテルでちょっとしたラブコメ展開真っ最中にメギ島では、思わないことが始まろうとしている。
ここでやっとあの参謀の白鬼と白い肌の少女に変身した猿の最強戦士の久々の再会ができました。
永遠の命を与えられた存在とは何かより他にもいるそうですね。
この長い付き合いだからこそ言葉とは関係なく信頼関係が見えるではないでしょうか?
腐れ縁という言葉さえも超えた何かを感じます。
全てを見抜いたかのように最強の手駒を手に入れた白鬼と依頼を受けた白い少女の姿をした最強戦士にはなんという戦いが待ち構えているだろう...
そ、れ、は...
どうなるかそれは次回の楽しみ!(またかよ)
乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




