業の矢先(翠猿②)
翠猿の提案...一部承諾
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
鳳と羅刹女が焼肉を食べる同じ日
場所は「Herb, Spice & Monkey」に移る。
きちんと整えたスーツ姿の目一重の男性の言葉に対して、この店のオーナーであるスリーヤは眉をひそめた。
「戦争だ?...今更それをやって何になるんだ。」
「あ...もちろん大戦のようなものではないと思いますが、現代風に言うとギャングの抗争みたいな感じじゃないかと思います。まあ...もっと派手にやりたい気持ちは山々ですが、国と国の戦というのは昔みたいに勝手が違うので、これぐらいで...」と言いかけた男性にスリーヤは話しを割り込んだ。
「お前はよ...あの大戦の結末は自分の目で見ていないから言えるかもしれないけど、同胞の数え切れないほどの屍を超えた先には...栄光なんて正義なんてもんがない!」という必死な訴えをしたスリーヤ。
「まあまあまあ...落ち着いてください、叔父さん...」
「だ...か...ら...俺はお前の叔父さんじゃねー!」と感情が高ぶって、怒鳴りになりそうなスリーヤと男性の間に白肌の女性が立ち入った。
「おまえら...話しが熱くなりすぎんだよ。ここはクールでいくんじゃ。特にお前...穏やかの口調の割には片手がずっと銃を握っているのは穏やかじゃないの...」と冷たい目線をスーツの男性に送った。
「さすが伝説の最強戦士...分かったのですね。一発しか撃てないもんなんですけど...」
「けっ!なめるもんじゃな...第一こいつとかを殺しても何も起こらんぞ。今はすっかり経営者気取りのおっさんだからな...」
「気取りじゃない...立派な経営者だ。お前のあのバナナジュースの店に負ける気がないぜ。」
「こっちは海外から日本に進出してやったぞ。ここの料理は美味いのは俺も思うからじゃよ...もっと宣伝とかもっと波に乗らないといけないのじゃよ。」
「お二人さん...本当に仲が良いですね。」
「もう...戦友で腐れ縁みたいなもんだ。兄弟にも近いかもしれん。お前にはない絆だけは確かじゃよ...」という白肌の女性の言葉に一瞬表情が変わったが、すぐにいつもの笑顔に戻った男性は改めて話しの続きをした。
「さっきの感触では、お二人にはこの提案には飲まないということでいいですかね...」
「俺は戦とかは良いと思わない。よりスマートな解決方法があるはずだ。」
「ほ...その野蛮で醜悪の者たちにはスマートに話し合うつもりですか?」
「違う!もっとこう...論点の核心が分かればもっと穏便にことが済ませることができるでは...」
「例えあの核心は、あなたも知っているある人物だとしてもですか?」
「!?」この会話の内容を聞いたスリーヤは一瞬思考が停止した。
「まさか...狙いは!」
「ご明察...と言いたいところですが、こちらもまだ詳しい情報が掴めないですが...恐らく...」
「悟空...こいつらが追いつけないほどの早さであそこに行けるか?」
「ふっ!誰のことを言っているじゃ?ヴァーユの子の俺には追いつかれるもんか...」
「じゃ...お願い...先に行って...」という頼みにサトラと呼ばれた白肌女性は笑い出して、すぐに本来の少女姿に戻った。
「じゃ...おいら先に行くのじゃ!」と言って、早いスピードでその場を飛んで去って行った。
去った後に残されたスリーヤと目一重の男性は少しお互いの様子を見ながら、警戒をしている。
そこで、なぜかさっき去ったサトラが戻ってきた。
「あ...言い忘れたことがあるんじゃ...」と言って、何かを取り出した。
それは発信器のようなものだった。
「こんなこざかしい真似を二度とするんじゃねー...追いつけないなら、追いついてみろっつーことだ。まあ、あばよ!」と最期に言葉を残して、すごい早さでその場を去った。戻る気配がないようだった。
残された二人は仕方なく、店の中に向かい合って座っている。
「あの方はさておき、こうしてあなたと二人でお話ししたいのです、太陽神スリーヤの子...別の言語の名前でもやはりそれだけは残しますね...」
「それは俺の存在意義でもあったからな...太陽はいつも俺たちと一緒にいるように...俺もその太陽という希望の証を捨てる気がない。飛んでいったあいつほど強くないが、俺はまあまあ活躍したから。簡単に末裔程度なもんに負ける気がないぜ。例えあの人の末裔でもな。」
その言葉を聞いた目一重の男性は立ち上がって、手に隠していた小さな銃を構えた。
「そうですか...まずはこの銃に撃たれないところから考え直す必要がありそうですね。」
雰囲気は重たい空気に包まれて、一触即発の状態になってしまった。
とそこで突然入り口から声が聞こえた。
「すみませーん。デマエデリバリーです。受取です。」と言って、一般女性に見える人が入ってきた。
その状態で男性もさすがに銃を手のひらにしまって、スリーヤはどちらかというといつもの通りに対応に出た。
「はい。何番ですか?」
「○○XXです。」
「ちょっと待ってくださいね」と言ったスリーヤは厨房に走った。
そこにはちゃんと容器に入っている注文の通りの料理が置いてある。さらに一枚の紙も沿っている。
紙に書いてあるのは...【利用できるところを利用していこう】という内容だった。
それを読んだスリーヤは、配達人に品物を渡して、店を出るまでに接客モードになっていた。
その配達人がいなくなったら、スリーヤは椅子に座って、目一重の男性を見つめた。
「その提案...詳しく聞かせてもらう。俺たちを取り入れたいならなおさらだ。情報共有が必要だと分かっているだろう?」
「もちろん...共有できるものは今すぐできますよ...
例えば、あの方が向かっている場所にはラヴァン家の者も目を付けているところということ...とか?
あ...後は魔王はそこに向かっている...とか?」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
ランカちゃんの話からの羅刹女からのマフィアの話になってしまいました。
本当に何を企んでいるか読めない連中ですね。大戦の再来と言いながら、まだ何かを隠しているみたいな感じで。
飛んで去ったサトラとか突然デリバリーが来たとかなかなかぶっこんでぎすね、作者はw。
スリーヤさんと目一重の男性の因縁もまあ、わかる人にはわかる的なあれです。そこも注目していただければと思います。
次はどんな展開になるのでしょうね(作者も分かりませんw)
次回も乞うご期待!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




