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ぶらり旅(宿泊④)

二人...愛の宿で...


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

ある夜の街にそびえる一つの建物

周りの建物から異国感を放ち、中世ヨーロッパのお城に見えなくもない外見を持つあの建物の正体は愛の宿...俗に言うラブ...のホテルである。

その場所には男女二人に限らず、人数も性別も様々な形でこの場所を出入りしている。

特に夜中では陽差しが残る時間に比べて、出入りする人の数が増してゆく。

そして、この場所にたどり着いた人々はそれぞれの思いを抱えている。

先ほど入ったある男女もそう...今はある部屋の中にいる。


女性は男性にある言葉を送ってから、浴室に向かった。

気のせいかと思えないぐらい...彼女の頬が赤らめている。

一方、何か言われた男性はただ無言に...その浴室がある方向から全体の体を正反対の方向に立っている。

椅子やベッドにも座れるにも関わらず、ただ無言のまま...立ち尽くしている。

表情も変えずに立っている男性...巨漢は自分が見えるものを見ながら考えている。


ここは...愛する我が君が住む空間とは違って、光も色も違う。

何より薄暗い。

余が住んでいた宮殿さえ夜になってもこんなに薄暗くない...

いつも夜になると、街に光を照らすあの球や細長い筒から放った白い光も今は違う色になっている。

この色には何の意図で壁や天井に置いてあるのだろう...

...

しかも見たことのない装飾品ばかりだ。

この時代で見かけた物が少ない。

宮殿では幾度の戦から取った戦利品が飾られた...無論勝利した国や領地から取ったものだから、統一感はない。

しかし、この空間にある装飾品の雰囲気は同じ時代...または国から取ったものだと感じている。

もしくは別の扉には別の空間があって、そこにはまた別の時代の戦利品が飾られたのか?

何のために分けるだろう...


...

ここは...シュクハクするための場所

先ほどこの方向に向いてと言われる前に目にしたのだが、

この空間の中には寝るための大きい寝台が一つ...

愛する我が君が住んでいる空間より二人分...それ以上の大きさだ。

愛する我が君はこんな大きい寝台で寝ることを願っているのか?

それなら、余はこの建造物と同じぐらいのものを作ってやろうじゃないか!

そのためなら、この世界を征服するか...と今はその考えはよそう。

あと、別の空間が見通せる場所はあったな...

やはり理解は難しい。

夜を過ごすために...このような空間が用意される意味...

頭に浮かんだ可能性はいくつかあるが、どちらも却下だ。

そのような()()()は考えられない...いや、願ってはいけないのだから...


一方、浴室に入った女性は浴室の様子を確認するためにあちこち見ている。

彼女はある箇所を見て、こう考えた。


ゲッ!

本当にツケツケで中からも外からも丸見えだ。

人の趣味とか癖に文句を言わない主義だけど...そんなにシャワーを浴びる人を外から見たいのかな...

まあ...覗くとかとは違う意味で堂々だけど...

...やっぱりやめておく?

シャワーなら一日ぐらい対しことじゃないし、

遺跡探索のときだって...何日間していないときだってあったじゃない...

でも勿体ないじゃ、勿体ないな...

せっかく大きなお風呂もあるし、ゆっくり浸かりたい気持ちもある。

あの人?...あ、見えた。

ちゃんとあっちに向いて、動かないし...

大丈夫...のはず...

ヨシと何かを決意した女性は服を脱ぎ、シャワーを浴びることにした。


浴室から水の音がした。

確かに...水を浴びると言ったなと巨漢は考えた。

そこは水を浴びるための空間か。

住んでいる空間とは少し違う構造だが...そういうことか。

あそこは見通せるように作られたから...それを見るなということで理解した。

第一そのようなことを言わずとも、余は許可なく愛する我が君を見るなんて無礼で無粋の極まりだ。

それは...

と考えている途中に突然その浴室から聞こえた小さな悲鳴。

!?

巨漢は反射的に浴室の方に振り向いてしまった。

しかし、女性の姿がハッキリ見えない。

よく見ると、体の一部だけが見えて...倒れているみたいな姿勢になっている。


まさか...敵襲!?

余のしたことは...今日はあのナーガとの戦いをした後なのに、この辺には敵が1匹だけいるとは限らない。

愛する我が君のお願いに忠実するあまりに...その点は失念した。

あのこざかしい蛇め...今度は何のマネだ。

哀しみという感情はこの不完全な心にまだ溢れていっぱいだが、今ここで哀しむところじゃなくなった!

其方の願いを破ったより今優先すべきなのは其方の無事な姿がこの目で確かめることだ。

悪かった...


そして、巨漢はその様子から素早く浴室に駆けつけ、扉を開けた。

「シーター!!!」と叫んだ巨漢は目の当たりにしたのは...

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!

二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。

だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!

これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。

今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。

このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!


やっとラブのホテルの続きが来た!と思った方へ...

いいところまで来て、寸止めしてすみません(笑)

今回は第三者視点から始まって、2人の頭の中を覗く形にしています。


内装が気になっている魔王に対して、まだ恥ずかしさが抜けなかった蘭華ちゃんの決意...そして、あの悲鳴とは!?


結局...魔王が目にしたものは何なのかまだ明かされていないぞ!と思ったあなた...

安心してください!明かされます!

いつか!(相変わらず来週しますと保証しない作者です)

次回も乞うご期待!(焦らしまくり...w)


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~


https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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