不可解な出来事(羅刹女④)
彼女は...解かれた
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
物語は鬼子母神堂の前に移る。
鳳の一言で設楽兄弟、羅亜夢と駱の表情は驚愕と共に大声が出てしまった。
「先生...今は何と?」とその一言のインパクトで頭の整理が追いつかないラクは念のために確認した。
「君のお兄さんの愛であの怪物が封じ込められた本体の封印が解けるかもしれないと言ったかと思いますが...」と淡々に説明した鳳。
「それは...説明にならないかと...」ともっとはっきりさせたいラクだが、そこで別の人が会話に割り込んだ。
「待って、ラク...ここは俺が...」と言ったのは一番混乱したはずのラームだった。
「鳳先生、俺で良ければ力になります。」
「兄さん...」
「大丈夫だ、ラク...愛で封印を解くとかはまだ理解しきれていないけど...それでも今の状況をよくできたら、やってみる価値がある。」と弟を安心させたいのかラームは笑顔を見せた。
「命を捧げるとかじゃないし、だい...っ!?」とまだ話の途中でラームは引っ張られたかのように元の立ち位置から鳳の近くに移動させられた。
「それでは、その言葉を甘えることにしよう...彼女の封印を解くためには君の心臓を一部彼女に分けてもらいたい。」
鳳の言葉を聞いたラームもラクもさっきまで安心した気持ちが一変した。
「何を言って...」とラクが鳳に問い詰めようとして、二人がいるところに近づけようとしたが、今度はラクがその場所から身動きができないほど見えない何かに縛られたかのようになった。
「今は大人しくした方が良さそうです、二人共...」と言って、鳳はあの怪物が止まった方向にこう言った。
「ハーちゃん...彼は君に協力するから、やさしくしてくださいね。」
その言葉が出た瞬間、さっきまで止まっていた怪物が再び動き出し、鳳の隣に移動した。
そして、少女の姿に戻った。
その怪物の姿に変わった少女は、嬉しそうな笑みを浮かべてラームを見つめている。
「タカくん...彼は何でもするって?」
「あくまで協力だ...」
「その後はタカくんの腕ももらうからね...」
「構わない...まずは彼の心臓を確認してみてくれ。腕は確かめた後でも...」
「はーい」とさっきまでの言葉と正反対な無邪気さで応えた少女は手をラームに伸ばした。
「っ!?」ラームはこれから自分がどのようにされるか二人の会話で想像した結果、体が勝手に構えようとした。
しかし、それは無意味だった。
少女の手はラームの体を通り抜けて、マジックのように胸の中に入れた。
そして、何かを取り出した。
「兄さん!」とここで身動きが取れないラクはラームの方に叫んだ。
ラームも目にした出来事にはまだ頭が信じ切れずにいたが、まずは自分には異変がないか胸に当ててみた。
まだ息をしている...心臓もまだ動いている...とりあえず大丈夫...だと思う。
そして、ラームはさっき自分の胸の中から何かを取り出された少女の手を見ると、
それは...赤色に輝いた宝石のようなものだった。
「それは...俺の...心臓?」
「正確には心臓の一部である...愛の器です。」と鳳が今更感がすごいタイミングで説明をした。
「は...」
「兄さん...大丈夫ですか?」とラクがやっと動けると、ラームのところに駆けつけた。
「あ...大丈夫...先生、それで彼女の封印を?」
「それはこれから分かります...」と説明した後、鳳は少女の方を見た。
その少女はその愛の器だと呼ばれた赤い宝石のようなものを満面な笑みで見つめてから...それを飲み込んだ。
!?!?
中々信じがたい物を見た二人の兄弟は驚きの表情が隠しきれない一方、鳳はただ静かに実験の成果を待っているかのように少女の様子を観測している。
すると、少女は歓喜の叫び声を上げた。
そして、その後すぐにその姿が消えた。
その出来事に混乱しているラームとラクに鳳は興味深そうな顔をしている。
その直後、鬼子母神堂の堂内から大きな音が聞こえた。
しばらくすると...その堂の中から扉が開けられた。
そこには、一人の女性が現れた。
彼女は黒に近い褐色の肌と整っていない長い黒髪をしている。
服装は...古代の南アジアで身に付けているもののより簡易的な衣装をしている。
そんな突然に現れた女性は3人のところに歩いてきた。
警戒しようとしたラクの前にラームは手で止めた。
「大丈夫...の気がする...」
そして、女性は3人の前に立つと...彼女はなんだかちょっと恥ずかしそうな顔をしてこう言った。
「どう...かな...」
「うん...私の仮設の通りだ。」
「そう...じゃなくて...タカくん。私を見ても恐れていないの?」
「私はそれに興味がない。」
「...タカくんのバカ。」と言ってから、今度はラームとラクの方に目を向けた。
「私は醜い?」という中々ストレートな質問に対して、ラクは即答できなかった。
これは合理的に女性の気分を害しない回答の方が良いかと思うが、逆にキレさせたらどうされるか分からない相手だ。ここは慎重にと思った矢先に...
ラームは「十分魅力があるよ。」と言った。
「兄さん...また何も考えずにとりあえず褒める癖が出たよ...」とラクが呆れた顔をした。
「そう?俺たちも彼女の顔が綺麗なのか醜いのか判断できないし、人にはそれぞれの魅力があるって言うじゃん?だから、俺はただ自分が思ったことを言っただけだ。」
「それであなたは何人の女性を誤解させたか数えたことがありますか?少なくとも学校のときにはあなたのそういうところで泣いた女の子は何人かいたと聞きましたよ。オーナーから...」
「...嬉しい...」
と言ったのは女性の方からだった。
女性の方を見ると、彼女は微笑んでいる。
「ありがとう...あなたの愛とその心は私を救ってくれた...」
「いや...俺は何をして...したか...」
「あなたからはそれだけで十分です。本当にありがとう。これで私はもう...」と言いかけた彼女に鳳が突然彼女の手を掴んで、その場から去ろうとした。
「では、取引が成立したということで君は私にいろいろ説明する義理がある。私に着いてきて。約束の腕の代わりになるか分からないが、今の時代の様々な肉を食べさせるから、それで勘弁してくれないか?」
「...それは美味しい?」
「基準が分からないが、美味しいと思う。」
「ふふっ...じゃ、それで。」
「分かった。後は服とかも考えないとな。あ、お二人とも...私たちはこれで失礼しますよ。また次の機会にちゃんと説明するから...」と言って、本当に去ってしまった鳳と謎の女性。
まだ状況を頭で整理しきれていない兄弟二人はその場で残されて、立ち尽くしている。
少し時間が経つと、ラームは先に言い出した。
「イケブクロに戻る途中にかなり行列ができるラーメン屋さんがあるけど、行って...みる?」
「並ぶのは好きじゃありませんが...とりあえずここから出ましょう。」
謎が解かれたかのようなないような感じで一つの不可解な出来事が終演した。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
先週は現実逃避行に行ってきました!
今週からはまたよろしくお願いします!
羅刹女の物語...一旦終わり!
いや...愛とか心臓とかの話でどうなるかと思いましたが、一件落着で何より...(何が?)
最初はホラーのテイストを入れすぎて、逆に後半はなんだかラブコメになってしまって...作者も混乱しています(おい!)
でも、その女性の正体は結局何者か分からないし、ここからは判明するだろう(たぶん...笑)
次はランカちゃんの話に戻しますか...それとも...ニヤリ
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます!
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、よしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




