羅刹女の記憶(初恋)
羅刹女が語った...初恋の王子様
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
私は...ある男に出会って、恋をした。
私にとっては【初恋】だった。
その男は...人間だ。
森の中で彼を初めて目にした瞬間、その容姿に惹かれた。
しかし、彼の様子をしばらく見たら、別のことでさらに私の心が惹かれた。
それは...この世界の全てを愛するかのような優しさ...に包まれたと感じさせるところ...
あ...なんという慈悲あふれた方でしょう...
それに比べて...私は...
自分の醜さにはとっくに分かっている。
さらに自分が羅刹であることも含めて、この恋はどうにもうまくいかないとはこの気持ちが芽生えたときから分かっている。
しかし...一度でいいから、彼と会って話してみたい。
そう決意した私は変幻自在に姿が変えられる力で...
最初には自分の醜さを隠して、普通の人間の女性の姿に変えて、彼と彼と共に森にやってきた人間2人に接触した。
森に徘徊しているように見えたから、その理由について話を聞いた。
そこで、事情が分かった。
それを聞いた私は益々この方のことを惚れてしまった。
なんという法の守りし者だろう...
さらに聞くと、一緒にいるのは彼の弟と...奥方様...
そうか...この方にはもう...
落胆の気持ちがさらに増した私には怒りの感情が湧いてくるはずなのに、別の考えが先に出しゃばった。
本当の姿の私を見て、この方がどのような反応をするだろうという疑問...
もし...本当の私を受け入れることができないなら...この場で皆殺しにしてやる。
だから...術を解いて自分の本当の姿を晒した。
さあ...どのような反応に出てくるか...と思ったら、想定外の反応だった。
彼は優しくて見透かしたかのような眼差しで私を見て、こう言った。
「羅刹のあなたは、この姿でも十分魅力がある。偽りの姿になる必要なんてありません。」
彼の弟は少し動揺して言葉が出なかったが、奥方の方は私にこう接してくれた。
「違う種族でも、誰しも美しい姿でありたい気持ちが...恵まれた私にはあなたの気持ちに共感できませんが、本当のあなたを否定しませんわ。特に気になる男の前には...ね」
見下されることもなく...軽蔑でもなく、笑われることでもない...
今までこの姿を見た人間...同胞さえもこの対応がなかった。
完敗だ...と実感した。
だから、私はこの初恋を胸の中に締めて...諦めた。
その後宮殿に戻った私は、そのときに会ってきたことを兄様たちに話した。
私はただ法の守りし者に相応しい...正しき王族の人間と出逢ったと言って、ぜひ兄様たちにもこの方々に会ってみてはどうかと話しただけだった。
そのときの私は何も思わなかった...
今になっては...後悔した。
まさかこのような結末になるとは...
私には羅刹として重罪を犯した。
この大戦を始めるきっかけを作ってしまった罪を...
私は、この罪を決して...永遠に忘れない...
大戦が終わった後...私は滅んだ先代の王の代わりに王になった自分の兄様に...あるお願いをした。
そして、私は封印された。
誰も解くことができない強力な呪文で...私の魂は石に閉じ込められた。
ごめんなさい...私の王子様...
そして...さようなら
いつまでも...あなたのことを思っています...
わがままで言えば、また巡り合うことを信じて...
例えそれは永遠に巡り合えないと分かったとしても...
...
そして、時代が流れて変わり移る...
次第にその石は石像に変わり、どこかに運ばれた。
私はある女神様の石像として、この異国に運ばれ、なぜかこのお寺に置かれた。
そして、ある日...私はある男の子と出逢った。
そこからは皆さんが知っている通り...
なかなか面白い子だ...
あることがきっかけで私たちの友情がより深まった。
彼に恋をしているのかって?
それは...ひ・み・つ...
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
純愛...だな...と感じさせてしまう話でしたね。
石像の羅刹女の正体については明らかにしません。これはラーマーヤナが知っている方なら推測できるし、例え分からなくても話が繋がるということにしたいためです。
あくまでベースなので、あとは作者の気のままでお任せください(笑)
でも、よくある話...例え解釈が違ったとしても、同じ結末になるってこんな感じですね。
そして、その石像の中にいる羅刹女の話はまだ何か続きがあるような...まあ、これもまた作者次第です(おいおい)
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




