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羅刹羅闍(の子)

命が散る場面...再現


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

ある誰もいない広場


その広いフィールドの中にたった二人らしき者が対峙している形でお互い向き合っている。

そこから遠くない入り口には蘭華(ランカ)は二人の様子を見ている。


ランカには届かない声の中に会話が続いている。

「偽者だと...無礼でもほどがあるぞ...貴様」と言ったのは魔王と呼ばれた巨漢だった。

そこで、相手の男性はニヤリと微笑みを浮かべながら、身構えをし始めた。

「失礼...勝手に偽者とお呼しては不愉快になりますね。では..失礼ながら、あなたは本者なのか偽者なのか試させていただきます。ご健闘を...」と言い終わった相手はすぐさまに動き出した。

一方、巨漢は取り出したヴィーナを構えて、相手の攻撃を動かずに待つ体勢を取った。


それを目にしたランカは心配そうな顔をして、巨漢の姿を見守っている。

相手は誰だろう...

パッと見て、スーツ姿...サラリーマン?

普通のサラリーマンはここで古の魔王と呼ばれるあの人?と戦いを始めようとするものなの?

ないないないない!

喧嘩を売ったか売られたか体育館裏に来いとかそういう感じじやないし、ここは広場だし...

いや、体育館裏って告白するところじゃなかったっけ。

広場...

そう...ここは駅からちょっと遠いけど、それにしても人影が見当たらない。

これもまたこのバリアの影響なの?

人除けバリアだったりして...

たまたまあの人?を探した私はそれに効かないとか?

ダメだ...考えれば考えるほど訳が分からなくなる。

今は二人の様子を見ることを優先するのだ、私。


あの人?は動かないで、相手の攻撃を受けるつもりだ...

強者の余裕的なマンガでよく見かけるやつ?

さすがだと言いたいところだが、相手はどう出るのかは私じゃ分からない。


そして、攻撃が始まった。

それを見たランカは何かを考え初めた。

その攻撃...

その武器...

どこかで...


まずは構えた弓から放たれた矢の本数が突然倍増し、雨のような数えきれないほどの数で巨漢に降り注いだ。

この展開...そうだ!

これは3つの頭を持つ者、トリシラスの最期の戦いで放った矢で、確かにハヌマーンの防御力抜群の風の力でラーマ王子がまるで花びらが空から落ちたようだというシーンの出来事だ。


もちろん、巨漢はただ手に持っているヴィーナを一回弾いて、全ての矢がぶっ飛ばされた。

でも、相手は諦める様子を見せない。


次に攻撃を準備して出したのは...黄金な馬!?

いきなり現れて、どうやって呼んだか分からないが、それに乗ってさらに槍を召喚して、巨漢に突撃した。

これはあれだ...ナラーンタカがヴァーナラの王子、()()()()と一騎打ちしたときの出来事だ。

案の定投げた槍は巨漢の胸に当たった瞬間砕けてしまった。

展開は一緒だ...


2回目での失敗でも怯まず、相手はまた何かを仕掛けようとした。


今度は...ぞっ...象!?!?!?!?

大きい...

どこから召喚したの!?ってそこはもう重要じゃない...

そのまま突進したかと思ったら、相手は象牙だけを手に取り、象が消えた。

それを巨漢に殴ろうとした!

これは...あれだ!家臣のマホーダラが戦象に乗って、アンガダに突進したとき、倒されて、その象牙を持ったアンガダはナラーンタカの兄弟であるデーヴァーンタカを殴ったときの場面...

さらにもう一発こぶしを喰らって、デーヴァーンタカは逝った。

巨漢は避けるもせず...ただ殴られた。ダメージはないっぽい。


巨漢はすごいとは知っているが、相手も次々と攻撃を止まない。

で...次は一本の矢

急に単純な攻撃になったけど...さっきの弓矢とは違うの?

でも...物語を沿って考えると...

!?とランカは突然表情を変えた。

それってまさか神の力が宿る【ブラフマーストラ】!?!?

それ...神から授かった最強の鎧を持つアティカーヤがラクシュマーナ王子との死闘の末、ラクシュマーナ王子が放った最強の矢...神の力を宿る矢で...殺された...


これは...伝承通りの羅刹(ラクシャーサ)の戦士たちの戦いの再現の場面だらけだ!!!

ラヴァーナが率いる羅刹軍の一番武将とも言える弟のクンバカルナの死と敗北を知った羅刹軍は弔い合戦にしかけた場面...

マニアの血が騒いだランカは興奮し始め、し放なし状態になっている。

すごい!自分の目で見られるとは...マニアにとって冥利に尽きると言えるぐらいだ...


だけど...あの人?には全く効かない...よな

効かないというか攻撃にしては軽い...

ただその場面を再現し見せただけみたいだ。

そう...ホログラムみたいだ。

いや、幻覚か?


じゃ、なぜ再現する必要があるの?

とここで...その目的に気づいたランカは思わず息を呑んだ。


これ...全員はラーマーヤナの登場人物で...()()()()()()()()()()()()4()()()()()()()()()()だ...


と突然、巨漢の表情が段々険しくなって...というかその怖い顔から涙が流れている...!?

そのまま体勢を崩して、両膝が地面についた。

初めてかも...この人?の涙を見たのは...

そうじゃない!

何が起きた?さっき全く攻撃が効かないのに?と理解不能のことを見たランカは答えを必死に考えようとしている。

とここで相手のスーツ姿の者がランカに向かってきている。


それを見て、身を構えるランカだったが、その者はランカに何もしなく、ただランカにこう言った。


「あなたにはぜひその者のそばにいてほしいですね。重要な記憶がない分、ある分にはちゃんとあるようなので...その者の心が完全に戻る前にそれが壊れないように...よろしく頼みますよ。」と次には他人事みたいに続けた。

「これもまた試練...いや、すでに試練が完了しました。この()()()()の本当の恐ろしさはこれからのことです。」と言って、振り返らずにその場を去った。


それと同時に見えない壁が消えて、次へ進めるランカはすぐさまに巨漢のもとに走った。

「ラージャ!」と声をかけてみたが、巨漢の様子がおかしい。

反応もせず...動きもせず...


心配そうな顔をしたランカは、巨漢のそばにしゃがんで、顔を見た。

見えたのは今まで見たことがない哀しみにあふれる目と頬に流れている涙だった。


「大丈夫?」というランカの声にやっと巨漢の口が開けた。

そして、こう言った。


「余...ない...記憶...思い出す...可能...しかし」

それを言った巨漢はランカの顔を見て、次にこう言った。


「とても...()()()...」

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。


先日のご報告の通り、「第11回ネット小説大賞」の一次選考にこの作品が通過しました!

これからは誇りを持って、一次選考通過作品だと胸を張って言えます。

本当の心境を言うと、二次選考は通過できるか自信がありません。でも、他の作家と同じく...通過できる何かを持っています。そのため、今は複雑な気持ちです。

今まで応援していただいた読者の皆様にも改めてお礼を申し上げます。

今後ともよろしくお願いいたします!


なんちゃらの子というタイトルが付いて...無意識に推しの子だと錯覚しました?w

作家としてもなかなかの展開かと思います。

南アジアのマニアでありながらの解説...いかがでしたか?

あと、登場人物の名前が長すぎる問題...カタカナにすると、どうしても長いよな...漢字にできないし...

攻撃は物理的というより...なんだかメンタル面の攻撃になったみたいで、魔王の末裔かと思いきや...哀の試練だと...

一体これはどういう意味をするのか...はまた来週ですかね(おいおい)


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓


有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

https://ncode.syosetu.com/n6239hm/

現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。

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