羅刹の王国(真の魔王)
問われる...真の魔王とは何かを
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
誰もいないどこかの広場...
巨漢はさっきまで新幹線の中で見せた目の輝きと柔らかい表情が一変して、明らかに苛立ちを露わにして、目の前に立っている一人の男性を睨んでいる。
余と愛する我が君との幸せの時間...そして景色を楽しむ時間を邪魔する者は断じて許さない!
しかし、一瞬で場所に移動する術が使える者とは...
その上に結界を張っておいてきやがった。
何者の差し金に違いない。
目の前にいるのは何者だ。
この雰囲気...これまで会った大蛇...とは異なるのは断言できる。
衣服から見て、いわゆる愛する我が君が教えてくれた...今の時代ではリーマンと呼ばれる職に就く者かと思った。数え切れないほどその姿を街中を見かけたから...全員同じ服を着るかに見える。
だが、違和感がある。
まずは余と似ているその肌色...
さらに、余でも分かる言葉で余に話してきた。
あとは...なんだか不思議に懐かしい...久々に同胞と逢った感覚まで感じる。
ほんのわずかだが...
「お前は誰だ...」と相手へ率直に問いかけた。
そこで、相手は少し笑って、こう答えた。
「古の魔王であるあなたの子孫であり、魔王の完全復活を目指す者ですよ、ご先祖様。」
「目的は分からないが、完全復活とはくだらない話...完全復活しても余にはもう関係ない話だ。余には世界征服とか人間を滅ぼすより大事なことがある。」
そう...愛する我が君との...もう一度...
第一...子孫なんて、全員戦場で命を落とした。
余の子孫は絶たれたはず。
誰も残りはしない...
こんなことを信じろと言った方がおかしいわ。
と思った途中で相手はさらに笑い出した。
「何がおかしいのか...?」
「あ...失礼...古の魔王様にとって大事なこととはなんだろうなと思ったらつい...自分が何をしてきたかお忘れですか?自分の罪を思い出してみてくださいよ。それとも...歳でぼけているのですか?」という煽りに余もまた不思議に思う。
罪...?
何の?何に関する?何に対して?
大戦のこと?...同胞の命のこと?...それとも愛する我が君のこと...?
余は十分償ったはずだ...自らの命で...償いきれないのはとっくに分かったが...
それ以外に心当たりはない
認識するものもない
今の余にとっては記憶なんて要らない...
余は余であり、愛する我が君と一緒...とここで相手は何かを言い出した。
「ふっ...笑わせますね...とうやらあなたにはその記憶がない...子孫なんて残らない...はずだと思っているじゃないでしょうか?本当に...そうなのですか?実際に我らが今の時代にもまだ生きていますよ...」
「何が言いたい...」
「一人だけ残ったじゃないでしょうか...いや...それはあなたがいなくなった後で発覚したことだっけ...いいえ、あなたもそれが分かるはず...自分の妃であるマンドーダリー様に言われていませんか?最後の戦いの前に...」
...
こやつ...何を言っている...
そのような記憶は余には...な...い...
突然違和感を感じた。
本当にそうなのか...
考えてみたら、余の心の破片もまだ全部集めていない。
全てを手にすることができなければ、余も完全な自分に戻ることとは言い切れない。
これはただ欠落した記憶のせいだけなのか...
少し戸惑う気持ちが湧いてきた。
そして、追い打ちのようにまた相手が言い出した。
「なぜあなたは誰も残らないと思ったのですか?そう...偉大な魔王様と違って、お前にはそのような記憶がない。」
その言葉に余の心に衝撃を感じた。
なん...だと
そんな戯言...決して許さん!
とここで余はヴィーナを召喚して、戦闘態勢に入った。
「お前は誰だ!」という咆哮に近い問いかけに対して、相手は少し怪しげな笑みを浮かべて、こう答えた。
「真の魔王様は滅んだ。そっちこそ...あなた...いや、お前は...誰だ?偽者!」
謎に包まれた対峙...始まる
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
先日のご報告の通り、「第11回ネット小説大賞」の一次選考にこの作品が通過しました!
誇りを持って、一次選考通過作品だと胸を張って言えました。
今まで応援していただいた読者の皆様にも改めてお礼を申し上げます。
今回はまた魔王の話に戻ります。
駅の外に移動された2人?の会話
魔王...?
謎の男性の言葉と揺らぐ巨漢の気持ち
子孫?
記憶?
偽物?
一体どう言う意味でしょうかね?
謎の男性も...末裔だと名乗ったが、一体何者でしょう...
完全なる魔王の復活なのかラーマの血を継ぐ者の全滅なのか
それとも白鬼への復讐なのか
さらに謎に包まれそうです(自分でやったことで自覚しますが...)
次回はどうなるか...作者もわかりません(おい!)
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
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現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




