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蘭華(遠足)

魔王の遠足のような旅...始まった


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

東京駅発の新幹線の中


駅弁を堪能して、箸を置いた同時に満面の笑みを見せたのは褐色の肌色をしているポニーテール女性、椎谷(しいたに)蘭華(ランカ)だった。

は...美味しかった...と思った蘭華は外の景色を眺めようとした。

そして、さっき忘れていたことに気づいた。

彼女が景色の前に窓側の席に座っている最近一緒に行動する()()が見えたからだ。


あ、駅弁が美味しすぎて一瞬この人?のことを忘れた。

そう思った彼女は、隣にいる巨漢のことを観察した。

その濃い褐色の肌色をしている巨漢はいつも通りの...特に顔の表情を変えなかったが、目の輝きだけは確かに感じ取れた。

まるで初めての遠足で見たことのない景色を目の当たりにした子供のようだ...と蘭華は思った。

ふふっ...なんだかちょっと可愛いかも...

それもそうよな。この速さで動く乗り物が初めての海外から来た観光客さえもめっちゃ感動したという声もあるし...別の時代から来たら、もはや感動のところじゃないかも。

無邪気で...古の魔王か...完全にミスマッチの組み合わせだけど、本当にこの人?は魔王なのかな...

違う...魔王とかは関係ない...

確かに伝承の通りであれば、その魔王の所業は決して許されるはずがない。

でも、全てが全てで【悪】とは思わない。

こう思っている自分が変わった者なのかな...

とにかく目の前にいるこの人?を見てきた限りじゃ、容易に断言できないのは確かだ。

そう考えた彼女は別のことを考えはじめた。


そうそう...今回の旅の目的は旅行なんかじゃない!

まあ...旅行も兼ねてだけど、それは本来の目的を果たしてからやろう...

()()()と会うのも久々だな...


伯父様は、おばあちゃんの知り合いで、今は南アジアのオタク...略して【みなオタ】になった私にラーマーヤナのことを最初に教えてくれた人だ。

子供のときから伯父様が訪れる時間を楽しみにしていたな...

絵本を子供に読み聞かせたかのように私にラーマーヤナの物語を分かりやすく語った伯父様の姿は今でも覚えている。

そのデカい背中...そして、白くて大きい顔に浮かぶ黒い瞳の輝き...

あれ?一瞬...隣の巨漢をチラッと見た蘭華だったが、そんな訳ないよなと思いながら首を振った。


おかげでおとぎ話よりずっとラーマーヤナ漬けの幼少期の私は、後には徐々ラーマーヤナ以外のインド神話に興味を持ち、本も読み始めた。

その関連な本ももちろん...伯父様が探して送ってくれたものが多い。

自分で本が探せるころには、ネットの発展も合わせて知識の吸収の速度がさらに加速してきた。

気が付くと、立派なオタクになった自分は東京の大学への進学を決意し、実家から上京して、今に至った。

きっかけの全ては伯父様だったね...

大学生になった今でもたまには伯父様が住んでいるところまで会いに行ったり、実家に帰ったタイミングに合わせて来てくれたりした。

その間は伯父様と二人で南アジアの関する話題で盛り上がったね...

先日は連絡が来て、今度は伯父様の家まで来て欲しいということだ。

そこまでの電車代まで用意してくれて、気づいたらもう振り込まれた。

こんな背景があって、今新幹線に乗っている私...

だけど、この人?の分は...自腹だ。

まあ...まだ何とか途中までの新幹線代は買えるけど、新幹線からは...うん...


「ごめん...お手洗い」と巨漢に言っても何の反応もないため、蘭華は当分動かないだろうなと思い、席から立ち、列車の後ろにあるトイレに歩いた。


そして、用が済んだときに戻ったとき、彼女は今回巨漢を連れてきた理由を思い出した。

単純に伯父様をびっくりさせようと思っただけだ。

この人...実はあの古の魔王なんだよ!って...

多分信じてくれないのはオチだけど...

伯父様は私が知らない何かを知っているかもしれないし、この人?に関することを知るきっかけが出るかも...それなら、対面の方が一番手っ取り早い...会う約束もあるからね...

伯父様はどんな反応をするのかな...


と呑気に思った蘭華だったが、彼女の席に戻った瞬間、違和感を感じた。

その窓側の席で景色を眺めた巨漢の姿が...()()()ことを...


いなくなった!?!?

どこに行った?


と慌てた蘭華の追撃のようにここで、新幹線が駅から出発するという音が外から聞こえた。

いけない!

まずい!

すぐさまに自分の荷物を手に取った蘭華は扉に向かってダッシュした。

そして、その外を出た瞬間、扉が閉まった。


状況整理する余裕がなかった。

反射的に一旦外を出ることにした蘭華は頭の整理をしようとした。


ああ...出てしまった...

どうしよう...


旅が始まったばかりで...想定外な出来事(トラブル)発生だ...と蘭華はまだ余裕がありそうな顔をした。

でも、大丈夫...こんなこともあろうかと...あの人?に渡した携帯にこっちから位置がGPSで追跡できるようにしておいた。

ここでドヤ顔をしても、ただ変な目で見られる蘭華はそれを遠慮して、自分のスマホを取り出した。

そして、追跡アプリを起動した。

どれどれ...?


この位置って...

新幹線の中でもなく、駅の構内でもない...

駅の外じゃん!?

またしても...トラブル解決ならず...

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


またこの2人の旅が...始まりました!

閑話の続きになりますので、ようやく蘭華ちゃんたちの物語は新幹線と共に動き出しますね。

遠足とはなんだ?ほぼ関係ねーw

無邪気な魔王を見つめる蘭華が思ったこと...

伝承で語り継がれる魔王との相違と違和感...


そして、出ました!伯父様!

というかみなオタってなんだw(作者がただいま作った造語ですが、なにかとダブったらすみません!)

今までの物語を読んだ方にはもはやこれは誰なのかお分かりでしょうかね?


今回の最後のフィニッシュに...魔王がいなくなった!

目を離した隙に...とはあるある展開ですが、そこから?GPS!おお...これで居場所が分かる!と思ったら...まさかの場所に!?


なぜ魔王が電車を出たか...なぜそこにいるのか...お楽しみに!(次回に語るかは保証しません!)


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。


次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

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