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竜王の試練(伝達②)

竜王...チャットで試練の状況報告?


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

或る場所

テーブルに置いてあるスマホは通知音が鳴った。

誰かの手に取られて、画面が確認された。

それはあるチャットアプリのグループチャットだった。

そのグループ名は【竜王】


その内容はこのように示された。


弐号)

現状報告

尊敬するお方からのお告げを頂いた我々【竜王】は、復活した魔王に【試練】を与えるべく封印から解き放たれ、次々と現世に出現しました。【力】の試練を突破した魔王は次の試練、【血】の試練に挑むことになりました。失った大切な同胞のためにも我々は試練の遂行を最優先事項とすべく、小生を含めてすでに東京に到着した参号から担当の試練について現在の状況を報告いたします。


(はち)号)

ご苦労。

では...参号、報告を...


参号)

はっ!かしこまりました。

血の試練は尊敬するお方のお導きで完遂いたしました。この試練を見事に本物である証を示した魔王は封印されたもう一つの自我...心を取り戻しました。これで魔王は完全なる復活には一歩近づけたと確信した小生は役目が終了した後、すぐに撤退しました。もう仮初めの神主の姿からお別れすると思うと、少し寂しい気持ちも感じますが...試練の完遂に比べたら、他のことは気にするほどではありません。


捌号)

ご苦労...無事に完遂したと聞いて安心した。

壱号のときとは違って、ちゃんと同胞が生き残ってこのような形で報告を受けるとは大変喜ばしいことだ。


参号)

はっ!ありがとうございました!


弐号)

小生の采配に間違いはないと証明してくれた参号に賞賛を送りたいほどです。実に喜ばしい...


参号)

そこで、完遂の件に加えて...共有していただきたいことがあります。今回の試練でハッキリ分かることがあります。試練に参加したのは魔王だけではありません。


捌号)

それはどういうことだ。


弐号)

尊敬するお方からのお告げによれば、血の試練に参加する資格があるのは魔王であることが証明できる何かの証を持つ者のみとなるはずだが...


参号)

信じがたいことかもしれませんが、小生は部外者が入らないように結界を張りました。しかし、小生が魔王に出迎えたときにはもう一人が魔王と一緒に結界の中に入れたのです。


弐号)

誠か!それは何者だ!


参号)

外見からにしては人間の女性です。彼女は何らかの力で結界に入れると最初に思ったのですが、全くその様子がありません。小生には何もせず、ただ魔王の後ろにいるだけ...に見えました。


弐号)

魔術を持たない人間が?それはおかしい。


捌号)

おかしくもないだろう...その人間には【資格】があるとすれば...


弐号)

その考えは本気ですか?魔王の資格はその魔王だけではないということは即ち...


参号)

弐号の気持ちは分かっているが、捌号の考えも一理あると小生も思っている。


弐号)

参号も...


捌号)

落ち着くんだ。もっと詳しく説明してくれたまえ、参号。


というメッセージを確認した後、さっきまでスマホでグループチャットを見て、やりとりしていた人物が誰かに声をかけられ、一旦スマホをテーブルに置いた。


「何か御用でしょうか?」と声をかけて相手に用件を尋ねたのは綺麗な青色、いわゆる青い睡蓮の色の瞳をしている男性だった。

相手はフードを被っている姿で顔や表情がハッキリ見えなかった。少しの沈黙が続いた後、相手は何かを言い始めた。

「綺麗な目をしていますね。」という言葉に男性は警戒心が高まったものの、相手にこう答えた。

「あ...ありがとうございます。では、私に何かの御用でしょうか?」と再び訪ねたその質問の回答は...


...

しばらく時間が経ったグループチャット室内


弐号)

...


弐号)

どうした?参号...返事が遅いよ。


参号)

失礼しました。人間に声を掛けられて、小生の瞳の色のことを褒められました。そこで少し会話をすることになってしまいました。


弐号)

そうか...参号の瞳は青睡蓮の名前そのものだからな。誰でも関心を持つことだ。では、先ほどの話について話してもらおうか?


参号)

小生の考えでは、その女性にも魔王とは何らかの関係を持つということです。


弐号)

血筋...ということか!?


参号)

はっきりと言えませんが、その可能性が一番高いではないかと...


弐号)

確かに一番あり得ると言ったらだが...その女性は何者か調べないといけないということになってしまったな。


捌号)

分かった。その調査を参号に任せることにして、あとは次の試練にはより注意しよう。では、次の試練を担当するのは何号だ?


参号)

はっ!かしこまりました。必ずいい情報をお持ちいたします。


弐号)

まだ合流できていませんが、(ろく)号に任せようと考えています。また進展があれば、ご連絡いたします。


捌号)

これからもまた大変なことになると思うが、弐号も参号も頼りにしている。引き続きよろしく頼む。

尊敬するお方とこの世界の行方のために!


弐号)

この世界の行方のために!


参号)

この世界の行方のために!


というメッセージを送った人は手に取ったスマホをズボンのポケットにしまって、歩き始めた。

歩いている途中でその人が何か呟いた。


「竜王の(ふところ)への()()()()...あとは兄様に報告しないと...」と。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


普通の状況報告にするつもりでしたが、急にこの展開が降りて来て、これだ!と思いました。


竜王のチャットに...なんと!まさかの展開!

参号はどうなっている?フードを被る人は一体...?

魔王と一緒にいる女性...すなわち蘭華にはまた謎が深まった。

いつになって明かされるのかは...作者次第です(おいおい!)

次の試練も気になりますね。どんな試練になるのでしょう...


次回は誰を登場させようかな(作者はもう決めましたけどね)


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。

次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

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