不可解な出来事(ヤブのクマ②)
薬...ヤブの手で作成された
古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生「椎谷・蘭華」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
神様...
崇高なる神様...
なぜ私たちが作られたのかお答えください。
なぜ私たちは違う姿で、違う言葉で話すのか...
なぜ私たちの個体に違いがあるのか...
なぜ同じにしないのか...
お答えください。
なぜ...
なぜ僕は、こんな姿なのか...
答えてよ...神...様...
...
休憩室内の雰囲気は医者と名乗る真っ青の髪色をしている球磨・治という男性が入ってから、真剣さが増している。
そして、中々物騒な言葉に言われた駱はまだ思考が追いついていけない。
そこで、クマは何も言わずにラクに近づいた。
さらに、メスのナイフを取り出した。
「っ!?」という声が言葉になるのが間に合わないほどのラクにそのメスのナイフはラクの腕を切りつけた。
その出来事を自分で体験して驚いたラクだが、もっと驚いたことに痛みを感じなかった。切られた腕には浅い切り傷ができて、血が出ている。その出血した血をクマの手に操られるかのように回収されて、球状になった血がクマの手のひらの上に浮いている。また説明できない出来事だ...と驚いたより目の前に起きたことに対して、それが説明できない自分に少し苛立ったラクだった。
ラクの血が回収された後、クマは次に同じことを眠っている香蓮にした。
その結果、二つの血の球状が赤色の小さな水晶玉みたいでクマの手の上に浮いている。
切られた傷はただ絆創膏を貼られただけだった。
普通の医者なら消毒とかをしてからするものじゃないのかと思ったラクだが、ここでその部屋にいるもう一人の少女、悟空はラクに説明した。
「ヤブの先生が貼った絆創膏は消毒も要らないよ...魔法かのようにすぐに傷が癒やせるのじゃ。さっきの切り傷も痛くもないでしょう?まあ...魔法じゃなく、神の加護なんだけどじゃな...」と説明したサトラにクマは睨んだ。
「私はヤブじゃない...医者だ。隠す必要がないから、言っておきますが...私は医学に関する知識と治療の能力に長けています。人間にはまだ治療法が見つからない難病とか今そこにいる彼女が眠っている不可解なことの治療が可能にする。それは私の存在意義そのものです。まずは...」と説明してから、何かを始めた。
最初にはカレンから取り出した血の玉を片眼鏡で集中して覗いている。次にはその血の玉の中にある血を一二雫選んで、血の玉から出した。その雫をさらにモノクルで見た。それから、ラクの血の玉を同じ手順で調べた。最後に今回の武器に使われたと思った針のようなものを取り、なぜかラクの血の玉に突いた。しばらくして、彼はもう一度ラクの血の玉を調べた。それが終わった後、クマはラクとサトラに説明をし始めた。
「間違いなく、これはあの矢による副作用です。実際にはある者の血筋が撃たれたら、死の呪いが付与されています。しかし、彼女の血から見て...その血筋ではないことを判明しました。そのため、血の中にある成分がその呪い...まあ、特定の毒性の成分と言った方がいいか...それに反応しませんでした。その代わりに毒性の成分は死に至らないものの、体に異変を起こして、さっき言った副作用というのは今の昏睡状態です。何もしなければ、彼女は目覚めないでしょう。」と淡々に説明したクマだが、ラクは険しい顔をした。
「彼女を目覚めさせる方法がないということですか?」という問いかけにクマはモノクルを外して、こう言った。
「そのための君の血だ...」という回答に疑問が湧いてきたラク。
「さっき私は試しにあの矢の破片が込められた針を君の血に接触してみたが...興味深いことがわかりました。君の血にはこの死の呪いには効く一方、なぜか耐性もあります。まるである者の血筋でありながら、別の何者が同時に入っているかのような現象です。そこで私はこれが治療に使えるではないかと考えました。先例がないから、断言できませんが...試す価値があります。要するにあともう少し君の血を解毒剤の作成に使わせてもらいたい。」という説明に対して、ラクは以前より状況が飲み込めなくなった。
血筋?耐性?別の何者?...どういうことだ...まるで僕の中に僕が知らない何かがいるみたいな言い方だ...まただ...科学的に説明できないこと...さらに自分の体の中にある...どうして謎は深まるばかり...
...
でも今はそんなことより、今はカレンさんを助けるのが先だ!僕のことに関してはこの人とかサトラさんには後で詳しく聞くことにしようと決めたラクはクマに向かって、こう言った。
「分かりました。好きに僕の血を使ってください。」と言ったラクに、サトラは口笛を吹いて「男前~」と冗談っぽく言った。
「では、始めましょうか?」とクマはそう言ってから、さっき貼った絆創膏を剥がして、その傷口からさらにある量の血を吸い取った。
さっきの血の玉が少し大きくなったぐらいのサイズになったことを確認して、クマはそれを使って、解毒剤と呼ばれたものを作成し始めた。ラクは心配そうな顔をしながら、見守るしかできなかった。それをみたクマは安心させるのか分からない説明を加えた。
「血液型とは関係なく、これは相性のことですから...そこは安心してください。あくまで血で作られた薬です。」と言ってから、血の玉を手のひらの上に浮かべながら早い速度で回転させた。その途中に彼はいくつかの薬品に見られる注射器を準備して、回転中の血の玉に注入した。それから血の玉の色が赤から変わり、別の色に変わった。さらに凝縮されたかのようにサイズも小さくなった。そして、例の解毒剤が完成したみたいだ。
その出来上がった解毒剤を即座にカレンが撃たれた箇所に染みこませて、その液体はカレンの体内に入った。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
先週からの続きになります。
別の作品の更新も重ねて、なかなかタイトなスケジュールですが、できるだけ連載を止めずにやりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
お医者さんの新キャラですが、なんだか医者より科学者か科捜研の人みたいになっている気がしなくもない。なぜこうなった!
医者の感じを出しながら、血を取り出して玉を作るとか解毒剤を機器使わずに作るとかもはや錬金術師(笑)
でも、昔の医学は呪術とか錬金術とかにも関係があると聞いたので、セーフ(何が?)
それよりはラクに関する謎がまた増えました。
血筋とか耐性とか何のこっちゃになりますよね。でも、これもまたラーマーヤナ本編の何かの関係を拗らせて作りますので、ぜひ考察してみてください!
では!解毒剤の効果はいかに!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/




