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羅刹羅闍(路上ライブ)

魔王...初の路上ライブ...開演


古代インドに語り継がれる叙事詩「ラーマーヤナ」、ヴィシュヌ神の化身「ラーマ王子」の愛する「シーター妃」を奪還するために耗発した羅刹羅闍ラクシャーサラージャ「魔王ラーヴァナ」との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再開を果たした物語...


もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?


時は現代日本、ある女子大学生「椎谷しいたに蘭華ランカ」がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...

ある駅前の広場

人々がすれ違い合い、様々な方向に歩いたり、走ったりしている。

その広場の一角には一人の青年...たぶん20代前半

彼は今あることを準備している。

手に持っているのは一本のギター...

携帯できるサイズのアンプをセットし終わると、彼は少しギターを慣しに弾いてみた。

うん...とりあえず音は正常に出た。

まあ、この大勢の人々と飛び交う様々な声には聞こえるか話からないけど...と彼は自分が立っている場所から見て、次に自分のスマホを固定スタンドにセットし始めた。

その間、彼は思った。


自分的にはかなりいきなりこの企画を実行しようとしたな。

今までは自分でカバー曲を弾いてみた動画を投稿して、まあまあ想定通りの再生回数...

なのに、そこからこんな場所で演奏をするなんて...

ここで誰かにスカウトされて、メジャーとかそういうとかって行けるわけじゃないって分かっている。

でも...自分ができる表現...俺は自分であるためにこれもやってみようと思った。

何人かの通行人が足を止めて、俺の演奏を聴いてくれるか分からない。

いや、観客の反応はどうでもいい!

俺が演奏したい演奏ができるなら、それでいい。

そう決めた彼は動画を撮るポジションを最終確認して、録画のボタンを押した。

そして、彼の演奏が始まった。


まずは無難の有名アーティストのギターソロからスタートした彼は観客のことを見ないようにして、演奏に集中した。

技術はそれなりに...彼の演奏が聞こえた通行人の何人の目線が彼に向かいながらもそれでも歩きは止まらずに歩き続けた。

気にしない気にしない...

今回は自分の出来具合を試すようなもんだ。

後で動画を確認して、投稿して、ネットでの反応をチェックする...その目的にしよう。

急に人気上昇になるなんて...

...

これでいいのか...

俺が表現したいことはこれで...いいのか...

と考えるうちに一曲目の演奏が終わった。

通り過ぎた何人から拍手の音が聞こえた。

まあ、こんなもんか...お世辞でもいい...少し届いたみたいで嬉しい。

と思った彼はあることに気づいた。

誰かが彼の方に近づいてきた。

その誰かを視認できたとき、彼は混乱する。

なぜかというと、その誰かが人混みを通って、真っ直ぐ彼の前に立っていたからだ。


え?

急に何?

何このおっさん?

外国人?

黒い肌と濃い顔立ち...

あと...デカい!身長2メートルでもする!

とそのIラブ東京が書いてあるTシャツをピチピチに着ていることから見て、体がデカいインドかその辺から来た観光客だと推測した。


「何ですか?」と俺はその男に質問した。

俺の演奏を邪魔しやがって...何のつもりだ?

でも、その男は一言も返さず...俺の前に座り始めた。

そして、一番目が疑うのは突然どこでしまっているか分からないところからあるモノを取り出した。

何?手品?

それよりあれは...楽器?

なんか見たことない楽器だ。

形状から見て、あれは...ギター?

にしてもデカい!俺のギターより1.5倍ぐらいの長さだ。

ボディの後ろはまん丸...ヘッドの方も弦のチューニングするペグの位置も違う。

というかそれ...木製!?

ギターと類似するけど、なんというだろう...あれだ!聞いたことがある。

今の楽器は西洋の楽器の影響が大きいけど、昔にはいろんな国の独特な楽器があって、独特な形や演奏のやり方が様々に存在していた。

これもその一つなのか...どんな音が出るのかそこは一番気になる。

俺の演奏の邪魔までして...下手な音を出したら許さっ...

と思っているうちにその男は演奏を始めた。

...え?

何この...この旋律(メロディー)

聞いたことないぞ!

その楽器から独特な音色が出ている...

アンプとかもないのに、なんでこんなに音が出るのも不思議すぎる。

って!独特な音だけど、これ...俺がさっき演奏したカバー曲じゃん!

すげー

聞いただけで完コピできるのかよ、このおっさん。

さらに同じ曲でもその楽器が奏でた旋律で細かいところまで再現しつつ全く違う味を出してやがる。

気が付いたら、さっきから人が集まり始めた。

俺のときの何倍の人がこの男の演奏を聞くために足を止めている。

中にはスマホで動画を撮る人もいる。

悔しいが、本当に不思議というか...神秘的にキレイな音色で申し分ない演奏だ...

そして、その男の演奏が終わった瞬間、喝采が聞こえた。

まるでその場にいる全員がライブの観客と化し、その男の演奏に釘付けられたみたいだ。


その様子を見て、俺は一つの考えが浮かんだ。

ここで動画にしたことを利用する!

こういう演奏ならではの展開...誰かの()()

事前に紙に書いてあった俺の動画投稿サイトのアカウント名を皆が見えるところに置いてから、俺はギターを取った。

俺は、相手の音楽に答えるように演奏して、言葉ではなく音楽で対話してみせる!

やってやるじゃないか...


そして、【セッション】が始まった。

さあ...まずは俺のターンだ。

引き出しにある曲をギターで演奏した後、その男の目を見る。

さあ...来い!

その男も表情を変えずにさっき俺が演奏した曲を見事に再現して、自分なりのアレンジで返してきやがった。

燃えてくるじゃないか...この展開

俺も負けねーぜ!

そこからどれぐらい時間が経ったか全然気にしていなかった。

交互に演奏をした俺たちは互いに自分が持っている技術とテクニック、さらに情熱をぶつけ合った。

目の前にいる男とのセッションは本当に面白く、相手が出した課題みたいなものを自分でこなすだけ精一杯だった。

本当に音楽って国境を越えると言う言葉を実感したのはそのときだった。

まるで相手と対話して、激しい議論をし合ったような感覚。

そして、何より熱い演奏で自分も忘れかけたことを思い出させられる気がした。


気づいたら、自分の全てを出し切って、演奏と共にセッションが終わった。

終わった直後には周りから静寂を感じた次の瞬間、歓喜の声がその広場を轟かせた。

拍手喝采万来...この言葉で今目にしている状況を正しく説明できるか分からないけど、そう感じさせるほどすごかった。

これは...俺だけじゃ実現できなかった。今の俺では...

その瞬間に感じた喜びをかみしめて、観客に御礼を言った。

「聞いていただき、ありがとうございました!こちらの方にも拍手!こちらのチャンネルにもよろしくお願いします!」と男の手を取って上げてから、残りの手は自分のアカウント名の紙を掲げて、お辞儀をした。


しばらくことが収まると、人々が徐々に解散した後...俺は自分のスマホを取って、アンプとかも片付けて、撤退しようとしたそのとき、誰かに声を掛けられた。


それはさっき一緒にセッションをした男と隣には一人の女性がいた。

ピンク色のTシャツの彼女は、パッと見てこの男の親戚にも見えなくもないが、話を聞くと俺と変わらない日本語で話された。

「本当にごめんなさい...この人?はどうしても演奏がしたいというから、この辺に路上ライブがあると聞いて、来てみたら、演奏中にまさかお邪魔してしまって、本当に...すみません。」と申し訳なさそうな顔をして、何度も俺に頭を下げた。それを聞いた俺は怒ることもなく、逆に笑顔で返した。

「いいえ...なんかこっちもつい熱くなって、逆にありがとうと言いたいぐらいっす!この人は本当にすごかったっすね。楽器の扱いも演奏も一流だと...こんな俺でも分かります。さっきの観客の反応を見て、そう思わざるを得ません。」

「そうですか...それならよかったです。ん?」と彼女が話した途中にその男は何かを言い出した。何語かわからん...彼女はそれを聞いて、文章に並べ直した。

「汝...演奏...未熟...しかし...可能性...有り...楽しい...一応あなたの演奏を褒めたつもりかと思います。あと、楽しかったと...」と彼女も笑顔で俺を見た。


あ...これか...俺は探し求めたのは...何より楽しい気持ちを忘れないように...そして、燃え上がる情熱...全て出し尽くしたときに感じた完全燃焼の気持ち...本当に大事だなと胸にしまって、彼女たちに改めて御礼をして、別れた。


と帰宅した早々、俺はその動画を投稿してみた。

何か加工すればよかったかもしれないけど...今日の出来事をありのままに見せたい。

ヨシ!投稿完了!

は...全部が終わったらお腹が減った。

カップ麺でも食べるかと思った彼はパソコンから離れた。

さっき投稿された動画のタイトルをよく見ると...

「奇跡のインドロックギターセッション」と示された。


彼の投稿は彼も想像できない展開になることを...今の彼は知らない。

最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。

この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。

日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。


演奏をすると言ったが、まさかこんな展開になるとは!

よく動画で見かけた突然の乱入とかドッキリの演奏みたいな感じにしてみました。

全然誰だ?というキャラの視点からにして、ある意味で面白かったです。作者は音楽が好きですけど、聴く専なのであまり技術とかの詳しい話ができなくて、ただ純粋に音楽が好きな人の感想になってしまいました。


ちなみに本当に魔王が使われるとされたヴィーナの演奏を聴きながら、書いていました。

独特な音色でまさにインドを感じさせました。あと、なんだか瞑想に入りそうです笑。


別のキャラの話に脱線しようと思いましたが、早くこの回が書きたくて、こんな形になりました。


次回は他のキャラの話も書きたいし、どうしようかな?


もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。


次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!


ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。


もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!


毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!


追伸:

実は新作も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓

有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~

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