第1話
上げ直しました。よろしくお願いします。
西村一樹、24歳。身長は175㎝、体重そこそこ。今はマーケティング会社勤めの社会人3年目。趣味は特に無いが、休日にランニングとゲームをするくらいだ。そして、
彼女いない歴=年齢。故に童貞。
まあべつに彼女いなくても学生時代はそれなりに楽しかったし、欲しいとも思ったことがない。そもそも好きな人が出来たことがない……強がりじゃないぞ。
ちなみに、学生時代は何回か異性から告白はされた。部活や勉強、友達との時間を優先したいって理由で全部断ってきた。一部ではホモなんじゃないかと言われていたこともあったが、決してそんな事はない。とにかく、それなりにモテてはいたが、今はその面影も無い。
自己紹介はこの辺にしといて、俺は人生最大のピンチである。
今日は会社の新人歓迎会だったのだが、二次会で同僚の春日たちにめちゃくちゃ飲まされてしまった。俺はそこまで酒が強くないので当然泥酔してしまい、なんとか電車に乗り、気合で家に帰っているが、もう限界である。
家の近く人気のない住宅街の路地に差し掛かったところで、ふらふら度が強くなり、視界もぐわんぐわんとしてきた。まともに歩けない。夜の12時となれば、歩いてる人がいないので肩を借りようにも借りれない。
「やべえ……もう歩けねえ、うっぷ」
気持ち悪さで思考が全く回らない。とりあえず、俺は壁に寄りかかって座った。
「くそ……これだから酒を飲むのは嫌なん……」
ダメだ、意識が……
だんだんと暗くなる視界。身体が無意識に横になってしまい、倒れ込んでしまった。
もうこのまま朝になるまで待とう。人は来ないし、大丈夫……
……
「……!! だい……ぶ!?」
人の声……誰かが助けに来てくれたのか?
「お……い! ……! 家まで……ね!!」
声が遠くに聴こえてはっきり分からないが、どうやら送ってくれるらしい。
声の主は俺の身体を持ち上げ、おんぶする形で歩き出した。後ろ姿で顔が見えないが、とてもいい匂いがする。どこかで嗅いだことのある匂い。おそらく通りすがりの誰かが助けに来てくれたのだろう。俺はそのまま身体を委ね、意識を無くしていった。
〜
……なんだか、美味しそうな匂いがする。野菜を切る音、換気扇の音。
生活音が耳に流れ込んできて、徐々に意識が覚醒し始める。
「うあっ……ゔゔっ」
呻き声をあげながら俺は目を覚ました。
「あ、お、起きたんだね! 一樹くん!」
キッチンの方から女性の声が近づいてくる。
「うゔぅ」
身体を起こし、ボーッとする。そこにまた女性の声。
「だ、大丈夫? 昨日凄い酔っ払ってたみたいだけど……」
「うーん……頭痛い」
「ど、どうしよう、この家に頭痛薬とかある?」
「テーブルの上……」
「うん、分かった! ちょっと待っててね」
二日酔いのせいか頭痛がひどく、まぶたもあまり開かない。脳が働いてないので、無意識に、反射的に俺は返事をしていた。
「とりあえず水飲んで?」
「……うん」
差し出してくれたコップを手に取り、水を頂く。ただの水道水とは思えないほどに、さわやかな喉越しで、すっきりした味。思わずゴクゴクと、飲み干してしまった。
「喉、渇いてたんだね、もうちょっとしたら朝ご飯出来るから!」
「うん……。……え?」
彼女がキッチンに戻ったあたりで徐々に脳が覚醒してきた。
あれ?
この家って、俺の家だよな?
そう思い、自分の着ている衣服の確認。シャツを着たままだ。さらに辺りを見渡すが、間違いなく自分の家である。布団に置いてある携帯を確認。まだ朝の9時だ。じゃあ次。
なんで女性の声?
仮に会社の誰かだったとしよう。わざわざ俺の安否を気にして助けに来てくれたのかもしれない。しかし、今キッチンに立っている女性のことを会社で見かけたことがないのだ。第一あんなに派手な金髪で髪の短い女性だったらすぐに分かるはずだ。
そこで俺は違和感に気づき、色々な思考が巡り、同時に謎の冷や汗が吹き出してきた。そして俺は驚きを隠せず思わず大声を出した。
「なんで、女の人!?」
「ひゃあ!? び、びっくりした〜」
「いや俺のセリフ!」
思わずツッコんでしまったが、誰なんだ……この美人。
「そうだよね……突然家にきて朝ご飯作ってたら、一樹くんもビックリだよね、ごめんね!」
「いえいえ、むしろ助けて頂きありが……」
うん? なんで俺の下の名前……。
「あ、あの〜。もしかしてお隣さんだったりして……」
「ううん、違うよ!」
次の瞬間、満遍の笑みで、彼女はこう言い放った。
「須藤加奈子! 君のストーカーやってます! てへっ」
俺はもう一度、ベッドに横たわった。
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