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レベル6


【レイ様のダンジョンに必要なモノは……】


 優秀なコア。

そのお陰で、私のダンジョンに足りないモノが見えてきた。


【まずは、浴室です】

「は?浴室?」

【はい。Hpの減少を抑えられます】

「えっと、どういう事?」

【衛生状態もHpに影響します】


 な、なんだって――――!!

それは聞いていない。

食事だけじゃなく、入浴も必要だって事?

 たしかに、この身体になってから入浴はしていない。

それが不潔かと言うと、そういう感じでもないんだよね。

匂いはしないし、汚れもない。

この幼女の身体は万能で、汚れ知らずだし。


 女子力って言葉を不意に思い出した。

三十路の時も女子力って言葉には縁が無かったんだ。


「じゃ、浴室を……」

【キッチンはいかがいたしますか?】


 そうだった。

キッチンは作らなきゃダメだよね。


「キッチンも一緒にお願いします」

【レイ様に合せたキッチンと浴室を召喚します】


 ドスンという地響きの後、何も無かった壁が光った。

そして二つのドアが出現した。


【浴室とキッチンを召喚しました】


 細かな装飾が施されたヴィクトリアンスタイルの木製ドア。

どうやらコアは中世のヨーロッパスタイルを私室にあてているらしい。

 ドアを開けると、真っ白な磁器で出来たネコ脚のバスタブ。そして、真鍮でできたシャワーが目に入った。

 ココまでやるのね。

コアの女子力の高さに頭が下がった。



 もう一方のドアを開けると、これもまた見事なキッチンが見える。

白を基調としたキッチンは大理石がふんだんに使われていて、ココで料理をするだけでオシャレなモノが出来そうな気すらした。

ココを使いこなせる自信など微塵もないんだけど。



【DPもありますので、階層を増やしてみてはいかがでしょうか?】

「増やす?」

【はい。初心者セットに追加し、階層を増やします。それによりレイ様の安全面をお守りします】


 そうだよね。

安全第一だもんね。


「じゃ、階層を増やそう。どんなエリアが良いと思う?」

【現在地は森の中になります。洞窟風ダンジョン入口になっており、沼地エリアに続き鍾乳洞エリアとなり、草原エリアからこの私室になっております。ですので、鍾乳洞アリアと草原エリアの間に新規エリアを増設する事をおススメいたします】

「どんなエリアがあるの?」

【レイ様におススメなのは、火山エリアです】

「火山?」

【ダンジョンだと見抜かれない様に、沼地から鍾乳洞とエリアを続けています。鍾乳洞の先に草原ですとダンジョンだと分かられてしまいます。ですので、鍾乳洞の先に地底火山エリアを設置し、敵を残滅します】


 ちょっとコアさん。

物騒な事、言ったよね。

残滅って……めちゃ怖いんですけど。


【火山エリア内の温度は100~200℃程になります。普通の人間ですと10分程で残滅。魔法を使える者のレベルにも寄りますが、だいたい残滅出来ると思います。ですがあくまでレイ様の安全を考えた上での提案ですので……】


 確かにね。

私は誰かと闘いたくない。

出来れば、誰も傷つけたくない。

 でも、この世界ダンジョンは、そんな生易しい事を言っている場所でもないんだと。


分かってはいるけど、なんだかとっても複雑。


「じゃ、一応それでお願い」

【畏まりました。火山エリアを召喚いたします】



 毎度の如くドスンと音を響かせて、地面が揺れる。


【火山エリア召喚いたしました。続いて、モンスターを召喚いたします。このエリアに属せるモンスターは、ピクシーン・ゴブリン・炎スライムになります。なおレベルが上がれば更なるモンスターを召喚出来ます】


 ダンジョンレベルが低いから、お決まりのモンスターしか召喚出来ないらしい。


「じゃ、ゴブリン30、炎スライム50召喚で」

【畏まりました。召喚いたします】


 モニターをみれば、火山地帯が映し出されている。

光の輪が現れ、ゴブリンや炎スライムと思われるモノがワラワラを出てきている。

モニター越しになのに、ソコが灼熱だと分かる。

ジリジリと肌を焼くような熱さ。


「ねぇ、ゴブリン焼けてない?」


 光の輪から出てきたゴブリンが炎に包まれているのは気のせいじゃない気がする。


【……はい。焼かれていますね】


 ちょ、ちょっとコアさん!!

それって大丈夫なの?


【火山エリアのゴブリンが死滅しました。】


 ちょ、ちょっと――――!!


【申し訳ありません。火山エリアの温度がマックスになっておりました。ゴブリンが生存出来る温度まで下げます。再度ゴブリンを召喚しても宜しいでしょうか?】

「……うん」


【ゴブリンを召喚します。】


 天然コアのお陰で、ゴブリン再召喚。

そしてDPを失った。


 ピンコーン!!


 な、何の音??


【初回救済処置が行われました。それに伴い、レベルアップ致します。】


「救済処置?」


【はい、初回限定の救済処置のようです。】

「ようです……って、それは何?」

【……「召喚して5秒も経たず、全滅させてしまったアホなダンマスに救いの手を差し出すオレ様ってカッコ良くない?」と大魔王様のコメントが届いております。】


 大魔王!!

 めっちゃイラっとしたのは私だけじゃないよね?!


「コアさん、どういう事?」

【申し訳ございません。私も召喚して全滅させてしまったのは初めてでして】


 まじ有得ない。

ってか、けっこう抜けているコアさんに親近感を覚えるのは間違ってないよね?


「もう、いいわ。で、救済処置ってなに?」

【はい。こちらのダンジョンは既に開放されておりますので、この度のゴブリンの全滅はこのダンジョンが征伐した事にしてくれたようです。ですので、DPが入り、更にレイ様の経験値が入りました。その為、レイ様はレベルアップ致しました。】


 なるほど。

確かに救済処置だね。

大魔王にアホと呼ばれたかいがあった……のか?








ご覧いただきありがとうございます。

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