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レベル4

 ダンジョンマスターになってから2週間が過ぎた。

沼地エリアは順調にモンスターが増え、鍾乳洞エリアにもモンスターを配置した。

鍾乳洞にはピクシーン、蝙蝠とスライムを新たに召喚した。

 そして、草原エリアにはスライムと妖精とゴブリンを召喚した所でDPダンジョンポイントが尽きた。



【DP残り500になりました】

「え?もう500なの?」

【はい】


 ヤバい。

幕の内弁当を一つ召喚すると、50DPを消費する。

一日二食だとしても5日分しかない。

キッチンを召喚したいけど食材のDPが異様に高い。

だから毎日Hpの為だけに幕の内弁当を召喚し食していた。

草原エリアで栽培できるように、人型のモンスターを召喚し、ついでに種や農具を揃えた。でもまだ手を付けれる段階ではない。


「これって、マジでヤバくない?」

【はい。Hpの減少により消滅してしまう恐れがあります】


 消滅!!

ダメダメ。

侵入者より怖い現実に、身体が震えた。


「DPを稼がないと」

【はい。ではダンジョンを開放します。発現場所はランダムで宜しいでしょうか?】

「開放?ランダム?」

【はい。ランダム開放は開放DPが倍になります。もしくはいくつかの候補地からになります】

「どんな候補地があるの?」

【レイ様のダンジョンに適した候補地、一つ目は、この世界で一番大きな国の王都から3日かかる森の中。二つ目は北に位置する魔王軍本拠地から2日の森の中。最後の一つは、この世界で一番小さな国の王都から1日の場所にある森の中です】


 なんだか極端な場所しか候補にあがらないのね。


「ねぇ、魔王軍って私をダンマスにした魔王様がいる場所?」

【いえ、違います。魔王軍本拠地にはレイ様と同じくダンジョンマスターが魔王を名乗っております】

「ん?じゃぁ、私をダンマスにした魔王様はどこにいるの?」

【ダンジョンマスターを作り出したのは大魔王様でございます。しかし居場所等についての回答にはお答えできません】

「答えられない?」

【はい】


 コアが答える事が出来ない事があることに驚いた。

ダンジョンに関する事は全てコアが把握している。

そして私の様な初心者ダンマスのサポートをしている筈なんだけど。



「コア的にはどのエリアで開放するのが良いと思う?」

【レイ様のダンジョンから推測しますと、三番目の場所が良いかと思われます】

「その意図は?」

【まず、一番初めのこの地最大の王国の傍は冒険者が活発に活動しております。ですので撃破されるダンジョンが多々発生しております。そして二番目の魔王軍の傍に開放した場合、魔獣が多く侵入しますので、レイ様が望まれる「スルー」といった方法は難しくなります】


 なるほど。

消去法で行くと三番目のエリアになるという事だろう。


「ランダムだとどういう場所に開放されるの?」

【それは分かりません。前例が記録されていません】

「記録?」

【はい。ダンジョンコアは全てのダンジョン情報を閲覧できます】

「全ての?」

【はい。ただダンジョンレベルによって開示される情報が変わってきます】


 そうなんだ。

ダンジョンのレベルによってコアが知りえる情報も変わってくるのね。


「じゃぁ、今の所ランダム開放したダンジョンは無いと言う事?」

【はい】

「ランダム開放を選んでキャンセルは出来るの?」

【いいえ】

「ランダム開放する意味としてはDPが倍だって利点だけ?」

【はい】


 悩む。

安全を取るか、DP倍をとるか。


「コアは候補地に開放するのとランダム開放するのどっちがイイと思う?」

【レイ様のダンジョンは攻撃的ではないので、どちらでも良いかと思います】

「攻撃的だと?」

【候補地で開放する事をおススメします】


 それはなんでだろう?

ダンジョンの種類によって開放される場所がランダムであっても変わるって事?

私のダンジョンは殺傷能力が低い。

殺意をもって責められたらひとたまりもないのは明確。

だから候補地で開放した方がいいんだと思うんだけど、DPが倍って言うのに惹かれる。



 コアの言うがままにダンジョンを形成した。

なぜダンジョンが必要なのか?

私は何の為にダンマスになったのかは分からない。

それをコアに聞いても、情報の開示が出来ないと言うし。


 こっちが夢なのか?

それとも三十路を過ぎた私が夢だったのか?



 三十路を過ぎた私は大手コンビニエンスストアーの企業母体に勤めていた。

商品広報部に所属し、新商品が出れば店舗を回り陳列棚の指示をする。

24時間営業の店舗を回るのは本社で仕事を終えた後。

私の最後の記憶は通勤中の電車だった。

毎日遅くまで店舗を回り、朝早くから提携業者との打ち合わせ。

夜中に帰宅し、ビールで寝酒。

土日関係なしに仕事をしながら、携帯ゲームでイケメンたちと疑似恋愛。


 逆ハーレムゲームに飽きた私は乙女系ゲームに嵌った。

主人公のキャラはいつも女神の様な乙女。

それに反感を抱くのは三十路の性だと思う。

だから私は悪役令嬢をいつも応援していた。


 なのに、今の私はダンマスってどういう事?

ホームのゲームじゃない。

これはアウェイのゲームだよ。



【レイ様、開放はいたしますか?いたしませんか?】

「開放……する。ランダム開放する!!」

【畏まりました。ランダム開放いたします】


 ドスン。

 身体が揺れた。

地震の多い島国で育った私だけど、この揺れにはちょっとビビった。


【ダンジョン開放しました】


 さて、どんな場所に私のダンジョンは出来たのだろうか?






ご覧いただきありがとうございます。

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