レベル3
ダンジョンコアのお陰で、必要なモノはだいたいわかった。
とにかく今は侵入者を撃退するより、スルーさせたい。
初心者セットの洞窟風は、こんな風に考えている私にピッタリだった。
沼地のエリアを抜けると鍾乳洞のエリアになる。
そして、なぜか草原のエリア。
この3つの部屋とヨーロピアン風マスタールームが初心者セット。
階層を分けるのにDPがかかったけど、私の安全の為ならば仕方がない事。
今の私のダンジョンは、入口が沼地エリア、それを抜けると鍾乳洞エリア。
そして階段を下りると草原エリア、さらに階段を下りるとマスタールームになっている。
もちろん階段はひと目で分かる様にはしていない。
偽装にDPがさらにかかったけどね。
「さぁて、モンスターを召喚しようかな」
【畏まりました。どのエリアから召喚いたしますか?】
「まずは、沼地エリア」
【泥沼地に適したモンスターは以下になります】
コアの隣に腰を下ろし、デスクに向かう。
そこにあるのは大量のDPを費やし、設置したのはモニター達。
頭の中にリストが浮かぶんだけど、それが使いにくくって、コアに相談したらモニターをおススメされた。
エリアを映すモニターを各フロアーごとに一つ設置した。
まるで防犯カメラを見ている気分になる。
「このカエルっぽいモンスターは?」
【ケッグです。主な攻撃は舌になります。ただし、攻撃を受けないと活動しません】
「じゃ、このトンボみたいなのは?」
【ハチュウです。羽に毒素がついているので、飛ぶだけで毒を撒きます】
なに?
急に凶悪なモンスターじゃん。
「じゃ、この小人みたいなのは?」
光る眼、赤い髪、反ったハナの緑色した小人。
【ピクシーンです。悪意あるイタズラを得意とし、毒性にも耐久があります】
毒を推してくるコア。
確かに、侵入者を撃退するよりスルーしたいとは言ったけどさ。
【毒の質は決められます。眩暈から痺れ、吐き気に気絶。さらに命を奪うもの】
コワッ。
コアの淡々とした口調で更に怖さが増す。
でも、毒の種類を選べるのは良いかも。
とりあえず、ココがダンジョンだと気づかれない事が一番だし。
「じゃ、ケッグを20匹。ハチュウを30匹、ピクシーンを10匹召喚」
【畏まりました。召喚いたします】
沼地モニターを見ていると、眩い光の輪が現れた。
そしてその中から、ワラワラとモンスターが現れた。
【無事召喚いたしました。エリア範囲が広い為、モンスターが足りませんが宜しいでしょうか?】
「これでも足りないの?」
【はい。足りないという統計がでました。今召喚した倍は必要だと思います】
「えっと、沼地エリアの大きさって?」
【レイ様の足で端から端まで歩いて5時間程になります】
5時間……。
どんだけ広いんだよ。
「他のエリアは?」
【同じくらいの広さになります。ちなみに障害物が無い状態での換算になりますので、沼地エリアを普通に歩くと倍程の時間がかかると思われます】
更地だったら5時間。
でも、沼地だから、沼等を避けながら歩くと倍かかるとコアは言った。
初心者セット、万能すぎます。
【ちなみにモンスターで性別が分かれている者はツガイにすると勝手に繁殖します】
「今、召喚したモンスターはどっち?」
【ケッグとハチュウは雄を召喚しました。ピクシーンに性別はありません】
雄の方が攻撃的だから雄を優先して召喚したと言った。
「じゃ、雌を同じ数だけ召喚すればいいかな?」
【はい、では同じ数だけ召喚いたします】
先ほどと同じように光の輪が沼地に現れ、ワラワラとモンスターが現れた。
バラバラと散らばっていくモンスターたち。
それぞれ棲家を勝手に作っていくとコアは言った。
【ハチュウの毒レベルはいかがいたしますか?】
「う~ん、最低で眩暈。最高で気絶でお願い」
【畏まりました。レベル1の眩暈が20体。レベル2の痺れが10体。レベル3の痺れが5体。レベル4の気絶が5体で配置致します。繁殖したモンスターに関しては手を入れられませんのでご了承ください】
モニターを見ているとケッグは沼に身を沈め、ハチュウは雑草の中に入っていく。
そして、ワラワラと数人で集まっているピクシーン。
何か相談しているように見える。
「ピクシーンって話せるの?」
【同じ種族での意思の疎通は可能です】
「私と話せる?」
【言語が違います。ただレイ様はマスターなので、このダンジョンのモンスターの思考が読めます】
私が言った事は理解しないって事かな?
んーなんか難しいぞ。
「そういえば、私って食事も睡眠もいらない身体なのね?」
【はい。そしていいえ。です】
「え?違うの?」
【食事も睡眠も必要ないと言えば必要はないです。ただHpが減ります】
「はっ?」
【現在のHpは20になります】
「ちょ、ちょちょ、ちょっと。それってまずいんじゃない?!」
【そろそろ休息をした方が宜しいかと思います】
コア……。
シッカリしているようで、どこか抜けていると感じるのは私だけでしょうか?
ココで目覚めてから、食事も睡眠もしていない。
ベッドがあるから睡眠はとれるけど、キッチンはないから食事は出来ないじゃん。
今日は面倒だからDPで一食分の食事を購入した。
なぜ、幕の内弁当なんだろう。
深く考えないようにしながら、久しぶりのベッドへと入った。
ご覧いただきありがとうございます。