表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WEB小説  作者: 秋月 忍
1/11

プロローグ

 目が覚めたら、書こうとしていた小説が、いつのまにかwebにUPされていた。

 間違いなく、私の名で。

 そして、私が思い描いていた展開で。

 いつ書いたのだろう。

 昨晩、書こうと思い、パソコンの電源を入れたのは覚えている。

 だが、その後の記憶がない。

 ここのところ、ずっと残業が続いていて、疲れていた。思ったほど頭が回らなくて、一行も書かずに布団に入ったような気がしていた。

 だが、小説はいつの間にか執筆されていた。

 私のパソコンから、しっかりと投稿されている。投稿されている小説サイトも、私が利用しているもので、使っているペンネームも私のものだ。

 小説を書いていることは、同居している妹の真奈美(まなみ)は知っている。だが、真奈美は、私の書いた小説に興味を持ったことはなく、私の代わりに投稿したとはとても思えない。

 第一、仮に誰かが私の名で投稿したとして、私が考えていたような話になるのだろうか?

 しかも、なぜ、私の名を騙る意味が分からない。

 私は、あくまでアマチュア作家であって、プロではない。

 小説サイトの中でもいわゆる底辺という位置で、人気はそれほどなく、たいして読まれているというわけでもない。

 不思議に思ったが、ひょっとしたら、自分が覚えていないだけかもしれない。

 そう思った……最初は。

 気が付けば、毎夜、パソコンの電源を入れてすぐ、記憶が途切れるようになり、朝起きてみるとサイトに投稿されている……そんな日々が続く。

 自分が思った通りの、予定通りの展開だ。

 私は、むさぼるようにその小説を読む。何故、という気持ちはある。だが、それ以上に、自分が求めていた小説が、間違いなくそこにあり、私は読むのに夢中になった。

 だが、しだいに佳境にせまる小説を読みながら、私は身体の不調を感じ始めた。

 いくら寝ても寝た気がせず、食が細りはじめた。

 ひょっとしたら。小説が完結してしまったら、私はどうにかなってしまうのではないだろうか?

 途絶えることなく日々更新される小説を読みながら、そんなことを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ