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死亡フラグってのは恐ろしいもので。



とある国のごく一般家庭に生まれた私の今までの人生は、可でもなく不可でもなく強いて言うなら少しだけ恵まれた本当に普通のものだった。



大それた怪我もなく病気もなく挫折もなく、だからといって特別な人生を送るわけでもなく、成功するために多少努力も勿論失敗することも多々あったが、本当に普通の人生だった。



しかしそんなごく普通な私の人生が、あり得ないくらいファンタジーに変わったのは、友達と同じ高校に無事合格した日のことだった。

   


合格会場にきていた友達とお互い合格した事を確かめ合った私達は、今からお祝いパティーをしようとそのまま友達の家に行った。


帰り道に親から貰ったお金でかった、お菓子やジュースをつまみながらこれからの高校生活についてあーだこーだと話していれば、友達が「そうだ!」と急にゲーム機を取り出した。



はいっと渡されたのは未開封の乙女ゲーム。


タイトルは「かわいいお姫様と5人の王子様」とかかれていて、「いやタイトルそのまま」と思わず笑いそうだった。



しかしタイトルに反して絵柄はとてもとても素敵で、パッケージに乗るヒロインも王子様達もとても綺麗。


「絵凄く可愛いね」


「でしょ?そのゲームね、最近人気上昇中の乙女ゲームなんだよ。タイトル地味なのに絵は凄い綺麗だし画質も良好。何よりヒロインを取り合う王子様達がかっこよすぎてさあ、アニメ化も期待されてるの!」


「これを今からするの?」


「うん!受験終わるまで我慢してたの!せっかくだから一緒にしよう!」


「暇だしいいよ!しようしよう」 


そしてもうこの時には、

何かのフラグはたっていたのかもしれない。





お昼頃から始めたそのゲームに思いの外夢中になった私達は、夜遅いし良ければ泊まっていきなよという友達のご両親のご好意に甘え、泊まり込みでキャラ攻略をすることになった。



「いやここはこのセリフがいいでしょ!」「よし、イベントきたあ!」」にしてもこのお姫様、ヒロインすぎて砂糖菓子みたい」「いやわかる、てゆーか王子様ヤンデレかよ」と話し合いながら気がつけば深夜2時。



全キャラ完全攻略!とまではいかなくとも、何とかあらかたのストーリーは終わらした。



「いやあ、思いの外盛り上がっちゃったね」


「うん」


「「・・・」」



「・・・でも、なんか、ヒロイン側のストーリーは凄くよかったけど、名前なんだっけ・・・この悪役令嬢のティアナちゃん?悲劇すぎた」


「それな」


「政略結婚とはいえ、生まれた時から大好きな母親は鬱気味、父親は家族を愛してなくて育児放棄。」


「広い屋敷で使用人に育てられて寂しくても愛されるために努力して頑張ってたけど母がついに自殺。そのあと父が浮気相手と再婚し、更に一つ下の義理の弟を溺愛。」


「幼少期に出会った婚約者には見向きもされず、突然現れたヒロインに一目惚れ。嫉妬して取り巻き使って凄い悪どいいじめしていたが、結局ヒロインの周りの人に嫌われ婚約破棄。最終国から追い出しって・・・」


「まあ、悪役令嬢なんてそんなもんだよ」


「そうかなあ」




それにしても、なかなか可哀想だった。


せめて1人くらい、ティアナにもっと普通に生きる方法を教えててあげれるキャラがいたら良かったのに。


そんなことを思いながら、もう深夜も回ってることだしと、仲良く揃って用意された敷布団に入りゆっくりと目を瞑る。


「おやすみ!」


「うん、おやすみ」



そうして友達んちのふかふかな布団でその日は眠った。














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