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次回更新からまた毎週日曜日9時に戻ります。


ルビが付いていなかったので修正しました。


 天使様が帰った後ここは大混乱だった。

 トゥカーナ様とアウラ様は、すぐ部屋に帰ってしまわれた。明日わかり次第事情を聞かせてくれるらしい、どうやらトゥカーナ様は記憶が無いらしく、喋り方もまるで別人だった。それはアウストラリス王国側に任せるしかない、こちら(エニフ王国)も大変な自体になっているのだから、


 アウラ様も話し掛けていたが、エニフ王国で唯一天使様に話し掛けた私の娘、スカートが汚れる事も気にせずに、私は腰を落とし膝を着く格好になると、娘を抱きしめ頭を撫でる、どこにも怪我はない、良かったと胸を撫で下ろす。


「ルピー良かったね。」


 娘は頷くと更に私にギュっと抱き着き、私に天使様に貰ったペンダントを見せる、

 虹色の宝石を囲む様に細かく花が掘られ、虹色の宝石は真ん中に鎮座している、

 ペンダントを繋ぐ物も複雑な模様が施されていて、まだ残っている魔法具と似ている気がした。

 私がペンダントに気に取られている間に、私の横に陛下が立っていた、その目はペンダントに釘付けになっていた、


「・・・天使様の加護だと?!何故青髪が・・・」


「陛下!」


 私は大きな声を出しルピーの耳を塞ぐ、ルピーは顔を強ばらせ私に強く抱きついた、私もルピーを強く抱きしめると、ルピーは安心した様に力を緩め私の身体に顔を(うず)めている、私は抗議をしようと陛下を見上げると、ふと陛下が横を向いた為私も見る、ルピーの侍女リリが壁際で立っているのが見えた、私は腕の力を抜きルピーの背中をポンポンと優しく撫でる、


「また明日ね・・・ルピー」


「かあさまおやすみなさい。」


「おやすみなさいルピー。天使様が素敵な夢を見せてくれます様に、」


 ルピーは陛下を見ないように下を向く、私はルピーに元気になって欲しくて、トゥカーナ様に教えて貰ったおやすみの挨拶をしてみた、それを聞いたルピーは、とても嬉しそうに笑う、

 そのまま安心させる様に微笑み手を振ると、ルピーも私に手を振り返す。

 走らない様にとルピーに言い聞かせ、絵本を大事そうに手で抱え持つと、リリと手を繋ぎ自室に帰って行った。娘を見送り見えなくなると、先程から隣で何かを言っている陛下を見る、


「陛下、少し宜しいかしら?」


「天使様は青髪を許されたのか?!いやそんな事は無い、」


「陛下!聞いていますの?!」


 ピシャリと言うとアルオトは背筋を伸ばし、遅れて膨らんだお腹がポヨンと揺れる、最近新作お菓子の試食を食べて貰い、感想を聞こうとしていたからか、またお腹が大きくなった気がする。一瞬陛下のお腹に視線が行ってしまった。明日から陛下のおやつ(試食)を減らしましょう。


「あぁ聞いているマタルここでは・・・話なら私室で聞く、今後の事を話したい、」


「分かりました。ルピーの事・・・善処をお願いしますね。」


「あぁ。」


 私達は私室に戻ると話し合いを始めた。

 整えた茶髪をグャリと崩しソファに力無く座る、陛下の顔を見れば顔色が悪い、

 まず、ルピーと友達になった天使様がお戻りになるかもしれない、早急にルピーの部屋が整えられる事になった。終始青い顔をして話を進める陛下に、私はそっとテーブルの上に乗っている陛下の手を取った、

 私よりも大きな手、私は労る様に陛下の手を両手包み込むと、青い顔をしている陛下のオレンジ色の目を見た。


「アルオト陛下大丈夫ですわ、毎日お祈りしていたじゃありませんか。」


「マタル・・・だが・・・だが儂は・・・」


 教会の子供達の前では、ニコニコとしている陛下だけど、私の夫アルオトは天使様から指をさされている、

 歴代の王が青髪を禁色とし、許しを乞う為に日々祈りを捧げてきた。

 親から子供へ代々受け継いできたもので、そうそう考え方が変わるものでは無い、


「陛下。これから少しづつ変えていきませんか?」


「・・・そうだな・・・まず禁色を取り消さなければならないな。だがすぐには納得出来まい、実際姿を見た儂でもまだ信じられん、」


 こうして夜は更けていった。

 次の日には部屋は整えられ、ルピーはやっと王族として扱われる事になった。


 ◆


 あの空の人族が帰った後、僕はカーナをエスコートしようとしたが、「自分で歩けるわ」と否定されてしまう、僕はカーナを連れて僕の部屋に連れて行った。


 ラケルタにカーナの侍女をこちらへ連れて来る様に言う、後カーナの記憶が無い事を話しそれを侍女に話しておく様に言う、ラケルタが出て行った後、ソファにカーナを座らせた、終始僕の事を一切見ようとしない姿に泣きたくなった。


「カーナ。僕の事本当に覚えてないの?」


「私何度も言うけど、貴方の事知らない、それに名前が違うわ!私の名前はアルゲティよ!そうよね!ミュー?」


「アルゲティ・・・はもう空に帰ったのよ・・・」


 ミューはオドオドとしながら、空に帰った事を小さな声で呟いた為、カーナに聞こえなかったらしい、

 カーナはミューにもう一度聞こうとしていたがミューは、もうさっき言ったのよ!ともう口にしなかった。


 僕は閃いたアルゲティ様としてどこまで記憶があるのかを聞こうと思う、一応カーナから覚えている範囲の夢の話を聞いているし、王家にも歴史書はある、アルゲティ様関連は残っている事は多い、

 敢えて様付けする事で別人だと認識しなければ、僕が参ってしまいそうになる程だ、


「そうでしたか、申し訳ないアルゲティ様、いきなりここに来て驚いたでしょう?」


「えぇ、捕まった国を出て、馬で逃げアウストと護衛でアウストがいる国(アウストラリス王国)に帰ったの、私が翼の羽根を毟られたから飛べなくて、私達の翼は生え揃うのに時間が掛かるの、精霊が使う完治魔法も効かなくて、翼が直った頃戦争が始まった、戦争が始まった全ての原因は私、だから明日私達はアウストと出発する所だったの、おやすみの挨拶をして寝た筈なのに・・・。

 目が覚めて気がついたら、シャムちゃんの所だったからビックリしたわ、所でアウストはどこかしら?」


 僕はすかさず頭の中の歴史書を捲る、アウストの護衛は赤髪のレックと緑髪のダルシェ、レックは後に騎士団長になっているが。ダルシェに関しては記録が途絶えていた。戦争前までの記憶か・・・、もしかしたらまだ完成していないのでは無いか?と淡い期待をする。

 しかしシャム・・・?頭の中にモヤが掛かっている様だ、


「護衛は赤い髪のレックと緑髪のダルシェだろ?」


「えっ!なんで知ってるの?」


「僕もアウスト様と少し遠いが、血縁関係なんだ。所でシャムちゃんとは誰の事だろうか?」


「さっき居たじゃない!ピンク色の髪のシャムちゃん!私と同じ翼が生えていたわよね?」


 もうさっき会ったのにすぐ忘れるのね!とツンと横を向いた。

 私と同じ?驚きカーナの背中を見るが、翼は無い、僕はホッとした。先程の空の人族の名前だと分かるが、すぐにモヤが掛かり忘れてしまう、ミラ様の話を思い出す。『何故だか名前はすぐに忘れてしまう、』このモヤが掛かる感じか、と握り拳を作る、


「アルゲティ様は名前を覚えるの得意ですか?恥ずかしいのですが、あのお方の名前は頭の中にモヤが掛かった様になってしまって・・・」


「私はシャムちゃんの事を、シィちゃんと覚えているわ、」


「シィちゃんですか?・・・それは何故?あのお方と何か関係が?」


「無いわ、」


 そうですか・・・としか言えなかった。カーナは胸を貼って自慢げに笑う。

 僕は頭を切り替えようと違う話を振ろうとした時だった、ラケルタと一緒にカーナの侍女が部屋に入ってきて頭を下げる、

 侍女はカーナがソファに座っている姿を見ると、今にも駆け出しそうになる、それをラケルタは侍女の前に出て、首を横に振りながら侍女の行く道を塞いだが、ラケルタに押さえられる様にしながら侍女は叫ぶ、


「お嬢様!お戻りになられたのですね。心配しました。」


 お嬢様と言われカーナは侍女の方を向き誰?と首を傾げる、カーナがよくしていた仕草だ、今隣りに行ってもまた拒絶されて終わるとグッと堪える、


「えっと、貴女の事も知らないわ、」


「そ・・・そうですか。では挨拶をしても宜しいでしよまうか?」


「あぁそうだなお願いするよ、アルゲティ様の身の回りを世話をしてもらう人を紹介する。」


 知らないと言われ一瞬口端が強ばった。それも一瞬の事で侍女は質のいい紺色のドレスの端を摘み挨拶をする。髪はきっちり編み上げられ、頭を下げても垂れる事は無い、


「アルゲティ様の身の回りのお世話をさせていただきます。ロッテとお呼び下さい。」


「ありがとう私はアルゲティ。私もう疲れたの、休んで良い?」


「・・・アルゲティ様、この部屋は僕の部屋ですので、侍女に案内して貰い部屋でお休み下さい。」


「天使様が素敵な夢を運んでくれます様に」


 カーナは不思議そうな顔をして、おやすみなさいと挨拶して出て行った。

 侍女に連れられ部屋を出て行くカーナを見送り、僕は混乱している頭を振り、今のカーナの現状を書きアウストラリス王国に手紙を出す。


「記憶を戻す希望はあるのだろうか・・・。」


 秘策も思いつかないまま、夜は更けていった。

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークと評価もありがとうございます。



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