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◆アウラの視点です。
土壌調査をする為ケーティと魔術師がエニフ王国に来たので、僕は明日の話し合いをする為カーナと別行動になった。
カーナは寂しそうな顔で僕に小さく手を振る、もう可愛い。そのままどこかに連れ去りたい、僕は微笑み小さく手を振る、カーナは少し顔を赤らめ微笑んだ。早くカーナの所に帰りたい、僕は出来るだけ早足で進む、
最近カーナは、僕の好意に素直に受け止めてくれる、強引だったがあれは効果があったようだ、余り強引過ぎると、カーナが泣きそうな顔をする。でもあれはあれで可愛い。次はどんな手を使おうか・・・。
話し合いを速く終わらせて、カーナの所に帰ろう。明日はカーナの苦手な乗馬だ、馬車では無いと教えたらアワアワとするのだろうか?
頭の中で慌てるカーナを思い出し、それも可愛い、口角が上がらない様に冷静な顔をする。
「こちらでございます。」
エニフ王国のメイドが案内で客間に着く、メイドはお茶を入れて僕達の前に置くと、壁際に立つ、
王妃の計らいで、話し合いをする場所を新たに借り、そこで話し合いを進める。
今日来たのはケーティと2人の魔術師1人はデルタ家の長男で毛染めを思い付いた天才で、魔術師団長の息子でもある、デルタ・ヒドゥリー
カーナの初お茶会の日に友人とふざけて走り、噴水に落ち溺れていた所をカーナに助けられた、そこから魔術を猛勉強して、1度目の試験で合格して、魔術団に入ってしまった天才でもある、勿論学園に通っていて、僕達よりも学年は1つ上だ、しかし身体が細く綺麗な顔立ちの為、学園でも度々女の子と間違えられる、
僕にヒドゥリーはローブの端を掴み礼をする。頭を下げた事で淡い緑の髪がローブから出てサラリと肩から落ち、紺色の瞳を柔らかく細め綺麗に微笑む、
「王太子様学園振りです。」
「あぁ今回はよろしく頼む、ヒドゥリー頼むそれ止めてくれ、」
「またやってましたか?王太子様ありがとうございます。」
可愛らしく首を傾げ礼を僕に言うが、デルタ家の夫人は女の子が欲しかったらしい、ヒドゥリーが幼少期に覚えた立ち振る舞いは令嬢用で、カーナの誕生日のパーティ後に補整したらしいが、幼少時の癖が度々出る、ヒドゥリー自体に自覚が無い為指摘して欲しいと悲願され、魔術師達や僕も含め気が付いた者が指摘している、
もう1人は副団長のザウラク、紫色の長い髪を後ろに1つに縛っていて、ケーティが女性なので今回は一緒に来たらしい、ザウラクはローブの下のドレスを摘み頭を下げたが、すぐに頭を上げてローブから地図を取り出した。
「ザウラク明日はどの様に調査を?」
「はい、明日はここの湖を予定してます。」
ザウラクが行くと言っていた場所は、今日カーナと一緒に飛ばされた湖だった。そこでの出来事を思い出す。カーナは声が変わってしまったが、愛しい事には変わりは無い、カーナはカーナだ、少し早い声変わりをしただけだ。
しかし声が変わった時、カーナは何か感情を隠した。恐らく髪や瞳の色声迄変わってしまったと、不安がっているんだろう。早くカーナの傍にいて不安を取り除いてやりたい。
バタバタと足音が聞こえ、ノック音もソコソコにしてラケルタが慌てて僕の側に来ると、耳打ちをする、僕は驚き過ぎて思わず声を荒らげてしまった。
「何だって?!カーナが居ないだと!護衛は何をしていた!」
「護衛は目の前でいきなり消えたと、後廊下にこれが落ちてました。」
ラケルタはハンカチに包んだ球を僕に渡した。これはアルゲティ様の母様から貰ったお守りだったはずだ、僕はそれを上着に大事にしまう、でも護衛の目の前で消えたとなると、また転移魔法陣の類だろうか?僕は考え事をしてチラリとケーティを見る、
「トゥカーナ様に何かあったのですか?」
隣りに居たケーティは、淡い緑色の髪を耳にかけ、ピンク色の瞳をパチパチ瞬きを繰り返し驚いた顔をして僕を見た。もう少しカーナの秘密を隠したかったが、カーナを捜索するのにこれ以上の隠し立ては無理と判断した。
「カーナが攫われた。実は今日2回目なんだ」
「えっ!!」
僕は今日あった事を話すと、ケーティは一語一句逃さないと言う感じで真剣に話を聞くと絶句した、声まで変わってしまったなんて聞かされ、それの原因が恐らく精霊王ミラだ、
カーナと空の人族の繋がりは隠した。まだ言えない、最期の最期にケーティに話す予定だ、
ラケルタは僕に報告の後、直ぐ王妃に面会出来る様に言付けする為に部屋の外へ行った。
カーナを探せる様に、エニフ王国の陛下達と話さなければならないが、今陛下は教会にいて不在、なので王妃に取り急ぎ会える様にして貰いたい、
僕はその間待ち切れずにウロウロしていた。ケーティは精霊を呼び出し聞き出していたが、精霊の言葉が足りなくて、精霊のチカラが弱いらしい、カーナの精霊のチカラの強さを思い知る、だがカーナの事はどんな些細な情報も欲しい、カーナを助けられなかったと、僕は握りこぶしを作りそれを強く握る、その時少し乱暴にノックが鳴り、ラケルタが出ると扉の前に居たのは、肩で息をしたワルドと従者だった。王妃に頼まれたと言うので、礼をして事情を少し話す。
「攫われたって誰にだ?」
「ワルドまだ分からない、ケーティ嬢精霊は何と言っている?」
「はい王太子様、精霊達は男、魔法陣と言ってました。」
ケーティは手に青い精霊を乗せ僕の質問に答えた。他の属性の精霊達は、ケーティを周りをふよふよしていて、幻想的にさえ見える。
ワルドは青い瞳を丸くして、訳が分からないという風にケーティを見ている。
「精霊と話をしてる?いや出来ないだろ?俺も見えるが声が聞こえた事なんて無い、」
「ケーティ嬢はアウストラリス王国、いや、存在してる人が成し得ない事が出来る令嬢なんだ」
「精霊の声はどんな風に聞こえるんだ?」
ワルドはケーティに色々と質問をするが、ケーティは話しても良いのか僕の顔を見る、精霊と話が出来るのはケーティだけ、少しだけならと許可をする。
「精霊は幼い話し方をするのです。話も言葉が足りないから、私が理解するのが遅れない様に毎日精霊達と話をしてます。」
「幼い・・・ルピーみたいな感じか。」
ワルドとケーティが話してるのを聞きながら、先程精霊から聞いたケーティの言葉は、聞き捨てならなかった、男と魔法陣だと?!僕はケーティのそばに居る青い精霊を見て閃いた。
「ケーティ嬢その精霊は水属性か?水属性の精霊王ミラ様を呼べないだろうか?」
「水の精霊王様ですか?!ちょっとお待ちください」
ケーティはその場で精霊達に聞く、水の精霊達はケーティの耳元に止まり青く光り輝いてみえる。それが耳飾りの様にも見え幻想的だ、ケーティが精霊達と話をしている間に、僕はワルドに説明する。
「信じてくれるか分からないが、あのお土産屋に居た時に僕とカーナは、転移魔法陣で外に飛ばされたんだ。」
「はぁ?!ちょっと待て!訳が分からん!アウラ達はずっとあそこに居ただろ?!それに精霊王って?!」
「僕も分からないんだ、けどカーナがどこにいるのか、もしかしたら精霊王様ならわかるかもしれない、
ここに水の精霊王様を呼ぶ事になる、ワルド悪いもしかしたらここ水浸しになる」
「それは構わないが、後から精霊王様の事を聞かせて欲しい、・・・後俺も後から話がある内密な話だ」
「すまない必ず話す。ワルドの話もその時で良いか?」
ワルドの青い瞳を僕に向け頷く、僕もそれに答える様に頷いた、恐らくワルドはカーナの秘密を知っている。どう話そうかと思っていると、ケーティと精霊の話は終わったらしい、
ケーティは消えた精霊を見送ると僕に礼をして言う、
「来てくれるか分からないそうですが、行ってきますと行きました。しばらくお待ちください。」
その後すぐに絨毯が魔法陣の形に濡れ水色に発光し、水の精霊王ミラが現れた。水色の髪と同じ色のドレスがフワリと揺れ、エメラルドグリーンの瞳を細め僕を見るが、ケーティの横にいる精霊を見て眉を寄せた、
「あれー?!ミューと一緒に居た姫を守った王子様よねー?
ミューにも聞いていけど、本当にここは魔力薄いわねー。私の小さい子達が弱々しくて可哀想、この部屋だけ解除しちゃお!」
ミラは両手を広げると、片手に何かの棒を出した。その棒の先端は水色に輝いていた、えーい!とミラが振ると部屋の中は水色に染まり消えた。僕とワルドはア然としてそれを見た。ケーティは精霊達が嬉しそうにはしゃいでいるのを微笑みながら見た後に。最敬礼をする、次々と複数の布擦れの音がしたから、従者やメイドも最敬礼を取ったのだろう。
「ミ・・・ミラ様、僕はアウラですお見知り置き下さい。実は・・・」
精霊王を初めて見たワルドは絶句したが、ケーティが最敬礼をとっているのを見て最敬礼をとる、
ミラは僕の近くのソファにフワリと座り、僕の話を聞く、視線はテーブルの上に固定されたままだ、まずはお菓子に固定された視線を剥がす事にした。
「まだ手は付けてません。宜しかったらどうぞ」
「ありがとう!んー!これ美味しい!」
王妃作のお菓子を食べ終わると、やっと僕の顔を見て話を聞く気になったらしい、
転移して別れた後の話をすると、顎に指を当て首を傾げた、頬に先程食べたお菓子の欠片があるが、青い精霊がふよふよとミラの頬に来て、その欠片に擦り寄って落とした。器用に片手で精霊撫でる、お菓子が無くなった事に気が付いたケーティは、メイドにお代わりを貰いテーブルに置く、それをまたヒョイと摘み食べた。エメラルドグリーンの瞳は何かを考えているのか斜め上を見ていたが、やがて思い出したのか僕を見る、
「ふーん、でも転移魔法陣を作れるのはー、精霊王と空の人族しか今は居ないのー。ちょっと調べる時間を欲しいなー。ミューにも戻る様に手紙を書くからー、明日の朝あの湖に来て欲しいのー。」
ミラはモグモグと、テーブルの上にあったお菓子を全て食べ終ると、これ美味しー!お代わり頂戴ー!とケーティに皿を出す。ケーティはまた皿を持ち壁際に行くと、驚き顔のメイドにお願いしていた。
メイドは慌てて準備したからか、手のひら位のカゴに沢山入ったお菓子を、ケーティに手渡しミラに渡した、満足そうなミラを見て、おずおずとした様子でワルドが口を開く、
「この菓子は母上が作ったのです。お気に召して貰い母上も嬉しいと思います。」
ミラはそれを聞きワルドに視線を向けると、エメラルドグリーンの瞳を柔らかくして微笑む、ワルドを見ると顔が真っ赤になっていた。僕はカーナ以外はそんな事にはならない、
「明日もお菓子楽しみにしてるわー!と母上様に伝えてねー!これ今日手伝って貰ったみっちゃんと食べるー!毎日魔力だけだと飽きちゃうのよねー。」
「ミラ様!明日の事忘れないで下さい!明日来て下さったら、カーナが作った取っておきのお菓子と紅茶を用意します。」
ミラは受け取ったお菓子を時空ポッケにしまう、ワルドはそれを初めて見たからか固まった、その気持ちは分かる、僕も顔に出さなかったが見た時は驚いた。
「本当にー!絶対よー!約束だからねー!指切りする?」
「いえ必ず来てください。カーナを見つけ連れて来たら、僕が生きている間お菓子を贈りますよ」
小指をピコピコと曲げミラは試す様に僕を見るが、その手には乗らない、僕はミラのエメラルドグリーンの瞳を見返した。それにミューからミラは悪戯好きと聞いているから、
明日渡すお菓子ならカーナの侍女が持ってきてるし作れる、とカーナから聞いていた。それに家の城の料理人も作れる、それにミラに来てもらわないと、カーナの居場所の検討が着かないんだ、お菓子でいいなら渡す、僕の隣にカーナが居ないと嫌だ、
僕の言葉を聞いたミラは目を輝かせた、それを見て僕は何とかなりそうだが明日か・・・と落胆した。
「じゃあまた明日ねー!」
鼻歌を歌いながら魔法陣を描くと魔法陣は黒く輝き、ミラは皆に手を振り転移して行った。
転移して行くと、僕とワルドで箝口令を出した。自国では無いからワルドが居て助かった。ワルドは疲れ切った感じで僕を見る、正直僕も疲れたが、まだやる事はある。
「なぁアウラ、精霊王様って皆あんな感じなのか?」
「さぁ僕も精霊王様は今日初めて会った、だから分からない、長く生きていらっしゃるから、個性が豊かなんだよ。」
ケーティは唯一ミラに手を振って見送っていた。そしてローズピンクの瞳を柔らかく曲げ、両手を胸の前に持ってきて組む。
「私みっちゃんにも会ってみたいです。きっと楽しい方なんでしょうね!」
「ケーティ嬢1ヶ月に1度会う位なら・・・多分俺は毎日は堪えるな。アウラあのタイプは毎日お菓子受け取りに来るぞ、」
「だ・・・大丈夫だ、カーナの為だから耐える、」
ザウラクとヒドゥリーは驚いて言葉も出ないらしい、その2人を見て僕はワルドに、明日一緒に来て欲しいと願う、
「毎日で辛いだろうが、ワルド悪い明日付き合ってくれ、流石に他国では好き勝手出来ない、」
「分かった。後お菓子の件なら任せてくれ、母上に言えば出してくれる筈だ、後精霊王の件は父上達にも話す。だがそれ以外は漏らさない、恐らく父上が騒ぎ出して、収拾がつかなくなる、」
アウラもそれを思ったのだろう、ミラの次はしばらく要らない、あの天使様の生まれ変わりなんて知ったら、父上はトゥカーナ嬢を拝む未来しか見えない、
「悪いワルドそうして貰うと助かる、今から話しするか?」
「イヤ・・・明日の事を考えると今日はもう寝たいが、陛下達に報告しないとな。アウラも考え過ぎるなよ!」
ワルドはそう言って挨拶して出て行く、ケーティが少し恥ずかしそうに絵本を持ってきた。
「王太子様これ見て貰えますか?姫様の為に絵本を書いてきたのです。」
「少し見せてもらう、ケーティ嬢」
そう言って見せてもらったがとても見事な絵だった。
事前にルピー姫が好きな事を聞いたケーティが、天使様の絵と物語を描いたらしい、
最後には見覚えのある羽根を見つけ、ケーティを見る、これは確かアルゲティの母様のでは?とケーティを見れば、首を縦に振り小声で話す。
「あれから毎日精霊達と祈りました。すると羽根の色が変わったのです。」
見てくださいと羽根を僕に渡した。羽根は不思議な色合いをしていて、カーナがお守りとして貰った球も、同じ感じだと思い上着に入れた球をギュッと握る。
羽根をケーティに返すと時間だからと、ケーティは出て行く、僕も自分の客間に帰る事にした。ザウラクとヒドゥリーを見ると、2人は膝を曲げ頭を下げていた。
「また明日来る、何かあれば報告が欲しい、すまないこの部屋の水を取り除いて欲しい、」
「分かりました王太子様、少し研究用に貰っても良いでしょうか?」
ザウラクはローブの下から細長いガラスを取り出し、その水をウットリと見てる、元々研究員だった事を思い出し、まずは回収だけさせ、明日ミラに使って良いか聞く事にした。
「勝手には使えない、回収だけだ、明日ミラ様に自分で聞いて欲しい、」
「はい!」
ヒドゥリーも一緒になって水を回収していた。
客間を出て自分の客間に帰った時、思わずミューがいれば、と呟いてしまった。
するとどうだろう、光が来て僕の前で人型になった。
それはいつもカーナに呼ばれ来た時と同じ、ミューは僕の顔を見るとプイと顔を横にする。
「怒らないでミュー、友達の友達は皆友達だろ?」
「な!!なんであんたがそれを言うのよ!それを言っていいのはアウストだけなのよ!」
「さぁ。僕もよく知らない、ミラ様から手紙貰ったの?」
ミューは驚いて首を横に振る、その時上からヒラヒラと何かが落ちてきた。ミューはそれを手に取ると、怒りの表情で僕を見た。
「トゥカーナは、私の契約者はどこなのよ!」
「ミューまず聞きたい事がある、君はトゥカーナの所に行けるのか?」
「行けるのよ、ただ何か障害があると行けない、」
ちょっと待つのよ!とミューは光を振りまくと、消えたが直ぐに戻ってきて、顔を下げ項垂れていた。
「ダメ何かに阻まれてる様に行けないのよ、トゥカーナどこに居るのよ!」
「僕もそれが分かれば直ぐに行くのに決まってる、分からないんだ、明日の朝ミラ様の所に来て欲しい」
ミューは素直に頷くとまた光を振りまき消え、僕はカーナの侍女に説明する為にカーナの部屋に行き、説明をした。
「そ・・・そんな、お嬢様が」
ヘナヘナと力なく崩れ落ちる侍女を、ラケルタが侍女の肩を支えると、僕は侍女の目を見て話す。
「明日まで待って欲しい必ずここに連れて帰る、」
僕は自分に言い聞かせる様に侍女に言い聞かせた。
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