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予約時間間違えました。
今日更新分は明日の分になります。
来週はまた日曜日に戻ります。
チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえ、薄いカーテンの隙間から、太陽の日差しが窓から入り込み、チラチラと私を照らし起こす。私は目を擦り枕をギュと抱きしめていると、気持ちが落ち着いてきた、
自分の頭の中が、夢の世界と現実世界がごっちゃ混ぜになっていて、上半身を起こすとキョロキョロと周りを見て自分の背中を見る、
「これは夢・・・?違うこっちは現実ね・・・。はーぁ・・・。この部屋は魔法は使えなくても夢は見るのね、」
私は盛大なため息と一緒にまた大きな枕に抱き着く、まだ頭は起きていないのでもう少しだけ・・・と、フカフカのベッドを堪能しつつ、太陽の光から逃れる為に豪華な上掛けを頭まで被るとゆっくり目を閉じる。
せっかく目を閉じたのに、眠気が消えてしまった頃、控え目なノック音とカチャリと扉が開く音が耳に入る、次はシュルと布擦れの音がした、私は上掛けを少し捲りヒョコリと頭を出す。
「お嬢様おはようございます。よく眠れた様ですね」
「おはようロッテ・・・。もう少し寝てたい位快適だったわ・・・」
心の中であの夢以外はと追加する、
私は目を擦りロッテを見る、
茶色の髪を余り毛も無く上に上げているが、ロッテの髪が乱れた事は1度も無く、毎朝ピッチリとしている、私は寝起きながら感心していた。
ロッテが部屋に入ってきたので、私は渋々上掛けを足元に寄せ、ふわふわなベッドから身体を離す、本音はもっと堪能したかった・・・。
ロッテを見ると、何故かロッテは落ち着かない表情をして、時折私を見ては視線をウロつかせたり、口をパクパクとさせていたりする、
もしかしたら昨日、早とちりしたから落ち着かないのかな?私が「気にしないで」言おうとした時に、私とロッテと言葉が被る、
「気・・・」
「お嬢様・・・よく眠れたのは分かりました・・・夜着が」
ロッテの方が声が大きく、私の声は聞こえなかったみたい、私は目をパチパチと瞬きする。
私は首を下げ胸元を見る、大丈夫お腹は出ていない、お腹を押さえ頷き確認をした。
ウンウンと頷く私を、ロッテはとても残念な子を見る様な顔をしている、
「お嬢様そこではありません・・・」
「待って!次は正解させるわ」
お腹に手は添えたまま考える、
多分・・・寝る前にゴロゴロしていたから、リボンが解けたと思う、
薄くヒラヒラな夜着の下に着ている下着は厚く、肌が透けている訳では無い、
下着の布地はサラサラで肌は透けない、
なんと言っても、寝汗をかいてもサラリとしていて、ベタつかない、
私のお気に入りの布地の1つで・・・あっ話が逸れた。
夜着は前世で例えると、可愛い薄手のカーディガンにも見える、
それに外では無いから気にならないし、
見られた相手はロッテで女の子同士だから気にしてない、
夜着のリボンが解けた原因と聞かれても・・・教えないけど・・・、
正解は私の寝相悪いのかな?俯いて手を頬に当て呟く、
「・・・私寝相悪いのかしら」
「・・・お嬢様違います・・・夜着がめくれていて恥ずかしがらない令嬢は居ません、・・・恥ずかしがらないのはお嬢様位です。夏とはいえ女の子はお腹冷してはいけません、
教会に行く時には体をお清めするそうです、お嬢様冷えた身体を温める為に、順番は逆ですが最初に湯浴みをしましょう、朝食の後に身支度をいたしましょう」
「そっちだったのね・・・お願いします。」
湯浴みと朝食が終わると、ロッテに身支度して貰らいながら、学園に通って1人で着替えをしているから、着替えも自分1人で出来るの。と零す、
ロッテは茶色の目を釣り上げ「王太子妃様になると自分で身支度は出来ないです、メイドや侍女の仕事を取ってはいけません」そうだったと思い出した私は、ロッテも来てくれるのよね?と笑いながらロッテに言うとロッテは強く頷き、もちろんです。と返してくれた。
ドレスを着せて貰い、姿見で確認をする今日の午後からの教会の鎮魂の儀式用の衣装らしい、ロッテも私の朝食時に同じ白いドレスに着替えた様だった。
クルリと後ろを姿見で見ると、白いドレスには複雑な刺繍が施され、背中一杯に白い翼が刺繍がされていて。ロッテにはそれが無かった。
「このドレスで参加して欲しいと、エニフ王国の陛下からの伝言でございます。」
「そうなのね・・・」
詳しく聞くと、エニフ王国の宰相が客間を訪ねて来て、豪華な箱に入ったドレスを持ってきたとロッテは教えてくれた。
夢の中でも青髪の王ペシャルはアルゲティに真っ赤なドレスを用意して着せた、ペシャル王もそんな事を言っていたと思い出すが、頭を振り考えを止めた。
教会に行く準備が出来た所で、私は隣りの部屋に行く、部屋の中心に置かれた2人掛けの白いソファに腰を下ろすと、フワリとしたクッションが柔らかく腰を包み込む、とても座り心地もいいし、肌触りも良い、王家が泊まる部屋だけあって置いてある物も豪華だった。
私がソファに座り部屋をあちこち見ていると、ロッテが静かに紅茶を入れ私の前に置き、失礼しますと頭を下げ扉から出て行く、
ロッテどこかに行くの?と寂しく思いながらもソファから見送り、余り座れないソファの座り心地を楽しみながら、美味しい紅茶を飲む、そして昨日チラリと見たアルゲティの肖像画を正面から見る、
額縁は細工が細やかで豪華な物に入れられていて、オーキッド色の髪や金色の瞳は純白のドレスに色を添えていた、アルゲティは横に大きく両手を広げて愛おしそうに微笑み、背中には夢で何度も見た翼があった、空の人族を知らない人が見れば、アルゲティは天使だと見間違える程に神々しく、愛らしく描かれている、
書き手の感情を表している様にも見え、モデルと書き手が互いに恋をしている様だと思える程だ、
私は絵心は無いけど、上手く描ける人は凄いと思う、
それに今にも額縁から、アルゲティが飛び出して来そうにも見えてしまう、私は何故か恥ずかしくて顔を背けてしまったが、それでも気になる事はある、私はまた肖像画を見る、
「夢で見たドレスは背中がガッツリと開いていたけど、空の人のドレスは背中が開いた物なのかしら?」
ソファから立ち上がり、暖炉の上にある肖像画を見上げ見る、横から見ても当たり前だが見えず、それに今迄気にした事は無い、夢の中でいつも振り向けばあの翼があった、あの赤いドレスは翼があるから背中がガッツリ開いたのよね?
私がブツブツと独り言を言っているが、答えてくれる人はここには居ない、私がアルゲティの肖像画に向って独り言を話していた。
突然コンコンとノック音が部屋に響き、私は肖像画から扉に身体を向ける、ノックしたのはロッテで内側に大きく扉を開けると、後ろに居たアウラを中に通しそのまま壁際に立つ、
アウラの後ろから白い従者服姿のラケルタも入って来たが、ロッテと一緒に壁際で立っていた、ラケルタも肖像画の事は知っているのか、私の事を見たりはしていない、肖像画を見て驚いたらどうしようと思っていたが、そもそもラケルタやロッテがあの肖像画人物の事を知ってる筈も無い、私達の国では王家だけの秘密なのだから。
自分1人で焦っていたのが馬鹿らしくも思えてきた。
「カーナおはよう、昨日はよく眠れた?」
「・・・アウラ様おはようございます。はいとてもよく眠れました。」
私は昨日の気まずさもあって、ワンテンポ遅れて挨拶してしまう、アウラは気まずさ等は微塵にも感じない、いつも通りに挨拶をしている。私も昨夜の事は頭の隅に追いやると、あの事考え無い様にしてアウラを見る、
アウラは腰下まである、薄手の白いダッフルコートぽい上着と白いスラックス、手足の裾の部分は豪華な金の刺繍が施されていた、
何時もの王子らしい格好も良いけど、白とダッフルコート姿はコスプレみたいに見えてしまい、新鮮さもあって一段とイケメン度が増した気がした。
改めて見るとカッコイイ、そんな事を思いながら私は暫くポッーと見蕩れていた。数秒互いに見つめあった後に、アウラはチラリとアルゲティの肖像画を見る、
「カーナこちらには、天使様の肖像画があるんだね、生き生きしていて良い絵だと思う、僕もカーナを書こうかな?」
「書き手の方は天使様に恋をしていたのかもしれないですね、安心しきった顔なんてこの国では、出来なかったでしょうから、アウラ様絵は上手なのですか?」
「絵は嗜み程度だよ、でも描くからにはカーナの事は真剣に描くよ」
嗜み程度と言うが実際は違うと思う、まぁ・・・私よりも絵が苦手な人を探す方が難しい、犬が怪獣に見えるレベルだ・・・。
ペシャル王にドレスを切られ翼の羽根を毟られ、翼は癒しが効か無いと夢の中で感じた、
あの夢の後の事は分からないが、歴史書を見るとその後はアウストに連れられ、多分自国で保護されたのだろうと思う、翼は回復出来たのだと思う、前見た夢の中でアウストに向かって飛び抱き着きキスしていたのだから、
私はアウラをチラリと見て思う、普通に挨拶しているし、目の色も見慣れたアイスブルー色、昨日の夜の事を思い出すと途端に恥ずかしくなり俯いてしまう、
アウラは私の顎に手を添えそっと上にあげる、アイスブルー色の瞳に吸い込まてしまいそうで、私がアウラの瞳にポーっと見蕩れていると、アウラはその瞳を柔らかく曲げる、
「カーナ今日のドレス似合ってるね、僕だけの天使だよ」
「か・・・からかわないで下さい、アウラ様も衣装似合ってますよ」
私達の今の格好をマジマジと見る、アウラは白いダッフルコート姿、私は白いドレス姿まるで結婚するみたいに見える、私は急に恥ずかしくなってきてしまい、顔が熱を帯びているのが分かる、
昨日の夜アウラに言われた言葉『カーナ結婚しよう』を思い出す、すると途端に意識してしまう、ドキドキしながらアウラの顔をチラリと見る、
アウラは私が赤くなったから、同じ事を思ったようで、片手を顔に当て隠しているが耳は赤い、アウラは手を顔から離すと、私を熱い視線で見る、私はその視線に耐えられず後ろに数歩下がってしまう。
「カーナは狡い僕が昨日言った事を戯れだと聞き流したのに、今日は意識してくれるの?それは嬉しい誤算だ、カーナ今すぐに結婚しよう!」
「ア・・・アウラ様!結婚は学園卒業後じゃなかったのですか?それにエニフ王国に連絡も・・・」
アウラは私を力強く抱きしめる。驚いた私はアウラの胸を押し離そうとしてもビクともしない、それよりも私は借りた衣装が気になってしまう、
「アウラ様、鎮魂の儀の衣装をシワにしては、折角お貸し頂いたのに、申し訳なく思ってしまいます。」
「残念だけどカーナの言う通りだね、儀式が終わったら予定は無いよ、カーナは予定ある?」
私達はソファに座ると、同時にロッテが静かにお茶を置く、ロッテを見ると私がアウラを諌めた事でホッとしている様子だった。ロッテは恭しく頭を下げ、そのまま壁際に下がる、
王妃とのお茶会があるが、時間がある時に王妃から呼ばれる筈だから今日ではない、それなら私は街に行ってみたい、お祭りは楽しんでこそだと思っている、後はアウラのサプライズのプレゼントや家族に渡すのも買いたい、お世話になったからケーティ達にも渡したいが、だからこそこの世界にお土産文化があるのか不安になったが、そこはアウラに聞いてみる、
「アウラ様私お祭りをみたいです。後お土産も買いたいです。」
「お土産いいね!お祭りか・・・でも」
あったよ!良かった。なんて説明したら良いのか、分からない所だったよ、
アウラはラケルタを目配せすると、1歩前に出て私達に頭を下げる。
「日が登っている内なら、警備の方も大丈夫だと思います。ですがトゥカーナ様絶対、絶対に1人にならないで下さい」
「へっ!?だ・・・大丈夫ですよ・・・ハハハ・・・迷子だなんて、護衛の人が着いていてくれるなら、安心ですよね?」
「カーナは僕から離れない様に手を繋ごうね、それとも横抱きで歩く?いいね!それで行こう!」
「ア・・・アウラ様、それは恥ずかしいので歩きます。」
ラケルタは大事な事だからか2回言うが、多分護衛は沢山来るだろうから迷子の心配はしていないよ、大丈夫信用してるし、それよりもアウラだ、お姫様抱っこでお祭りを見に行くのは嫌だ、断固拒否をする。
儀式の後の話をしているとノック音がなる、ノックをしたのは白い騎士服姿のワルドの従者ファイで、ワルドの格好も白いダッフルコートにスラックス姿、アウラと同じ格好だが、違いは紺色の裾部分だけで、
「アウラ教会に向かう時間だ行こう、スビオ兄さんやメケントは先に教会へ向かった。」
「ありがとうワルド、行こうかカーナ」
陛下は教会長だが、先に教会入をしているらしく、私達はワルドと共に馬車で向かう、やはりルピーの姿はない、
教会へと向かう馬車の中、私達はまた人々に手を振ったり、アウラは時折ワルドとも話をして、友好国である事もアピールする、
私は手を振っていると見覚えのある頭を発見する、顔ではなく頭だ・・・。
あの髪型は確かオニオーン令嬢では?あの玉ねぎヘアーまだしていたのか?と思い目線で追いかけるがすぐに見失ってしまった。
もしかしたら、お祭りだから見に来たのかもしれないが、今の髪色と瞳の色ですぐに気が付いてくれるのか分からないので、休み明けお祭りに来ていたか聞いてみよう。
私がよく分からない決意をした頃、馬車はゆっくりと止まる、
馬車は教会の門を抜けると大きな教会に着いた、
教会の前には白い服装や白いドレスを着た沢山の人が溢れていたが、私達が通れる様に整った石畳の道の両端に人々はいて、所々に安全の為白い騎士服を着た護衛が立ち、教会の入口迄は広く道が空けられていた、それはまるでバージンロードを歩く新郎新婦の様にも見えてしまい、私は顔が赤くなるのを感じた。
ワルドが先に降り先に行く、アウラにエスコートされ私は教会を見上げた。昨日この国に着いた時に見えた天使像を見たかったが、ここからでは見えないらしい、
アウラと私が馬車から降りると盛大な歓声があがる、左右から様々な視線を浴びるが、嫌な感じはしない、皆視線は柔らかく穏やかで、この国はそれだけ平和だと感じる、錆色髪の小さな子供と目が会う、その子は母親と一緒に来たらしい、嬉しそうに私に手を振ると私の方へと走って来た。
慌てて来た護衛を手で止めると、私は女の子の視線に合わせるため少し屈む、女の子は私の側に来ると、ハニカミながら私に花束を手渡す。
「天使様と同じ髪色の綺麗なお姉ちゃん、これあげる」
「ありがとう。この花達は可愛いらしい天使様からの贈り物ね」
女の子に微笑み受け取り貰った花を見る、花達は歪だが多分積み立てなのだろう、花びらについた水がキラキラと光っていて綺麗、
「もしかしてあなたが育てたの?」
「そうだよ!毎日の水やり頑張った」
女の子は誇らしげに胸を貼って答える、私は良く頑張ったねとその女の子の頭を優しく撫でた。気にはしていたが、小さな女の子に天使様と同じ髪色と言われてしまい、私は心の中で項垂れる・・・この国の教育方針なのだろう。もう諦める事にした。同じ髪色や目の色なら探せばきっといくらでも居るはず。女の子にニッコリと笑う、
「嬉しい!ありがとう大事に持って帰るね。」
「バイバイお姉ちゃん!」
女の子は走ってお母さんに抱きついていた、微笑ましく見ていたら、そのお母さんは私にペコリと頭を下げる、私も釣られて頭を下げてしまった。
それを見ていた周りの人々達は、嬉々と私達に話し掛けてくる。しかし沢山の人達に話掛けられ、聞き取れないのでニッコリと笑い手を振りながら歩く、目の前に灰色髪のふくよかな年配女性がいて、私達に勢いよく手を振る、その勢いが良すぎてアウラと一緒に笑ってしまう、アウラは慌てて来た護衛を手で制した。
「本当に可愛らしいお嬢様ですね、お嬢様も王太子様もさぞかしお幸せでしょう、」
「僕は絶対に幸せにすると決めている、何があっても守ると誓ったんだ」
「熱いわね!」
その年配の女性は私の顔を見て優しく微笑む、私はかーっと顔が熱くなり頷く、アウラは誇らしげに頷いている、教会の入口には白く長いローブを纏った神官が立ち、前を通ると恭しく礼をする、私達は中へと入った。
教会に入ってまず目に入るのは、高い天井と長い身廊で、所々立っている柱は一つ一つに細かな細工が施されている、高い場所には細い窓が幾つも並び、それも一つ一つに細工が施されているようだった。
下を見れば赤い絨毯が奥まで引かれ、まるで道を示されている様にも見える、私達は導かれる様にゆっくりと歩いて行くと、天井から光が降り注ぐ先にアルゲティの銅像はあった。
その銅像の後ろには白く長いローブ姿の教会長や神官と白いドレス姿のシスター達が綺麗に並び私達を待っていた。
私達が案内された席に座ると、教会長はゆっくりと両手を上に大きく掲げ低く通る声で宣言をする。
「では鎮魂の儀を始める」
その合図で鐘が大きく鳴り響く、3回鳴らすのも意味がある。
ゴーン・・・・・・
1回目は、2度も捕まえてしまった空の人族への謝罪、(勿論アルゲティも含まれている。)の鐘
ゴーン・・・・・・
2回目は、戦争や病気等で、空に帰ってしまった人々へ祈りの鐘
ゴーン・・・・・・
3回目は、この国が滅ぶ事も無く、存続出来た事への感謝の鐘
私達は鐘が鳴るのと同時に祈る、
アルゲティの夢で見た頃に見た緑豊かになる様にと、祈りを捧げる、母様や父様なら来てくれるのでは?と思い心の中で呼んでみるが、来てはくれなかった。
真摯に祈りを捧げ厳かな雰囲気の中、何も起きずに鎮魂の義は終わった。
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