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「フィレムすぐに行く」


「俺が少し魔力を貰ったから・・・すまない」


「閉じ込められたのがスワロキンじゃなくて良かったわ。私の魔力が回復すれば脱出が出来るもの。ルクバトの気持ちだけ頂くわ・・・ありがとう」


 フィレムは気丈に微笑むがその姿は痛々しくも見える、立ち上がったルクバトはスワロキンに促され座らせられ頭を抱えた。魔力回復にいったいどれ程時間掛かるのか疑問を投げかけると、私の目の前に座っていたスワロキンは、長い足を組み直し膝に手を置き、私達を見回し話す。


「俺も閉じ込められそうになったから分かるが、精霊王の魔力を半分って所だ、予想よりもかなり持っていかれてしまった事に焦った。俺達精霊王が直接調査に出る事は少ないから残量等は余り気にしてなかった。」


 ヒドゥリーは恐る恐る手を挙げスワロキンを見る、スワロキンはヒドゥリーを見て頷き発言を許す。


「あの・・・精霊王様達は沢山魔力があるんですね」


 スワロキンは「少し待て」と1度シャムを見てその場でサラサラと手紙を書いた。封筒に入れると手紙はふわりと空に浮かぶ、その手紙は葉っぱになってシャムの所にヒラヒラと落ちて、葉っぱはシャムの頭に乗る、

 シャムはムッとした顔でスワロキンを見るが、スワロキンの手紙を読むと納得する、シャムも手紙を書きながら思う、はぁー。ため息を思いっきりついた。何故なら手紙は空の人族に関する内容だった。考え無しで口に出さなかっただけあのバカとは違うと思い、手紙の内容は言っても差し支えのない事、そう返事を書く、


『魔力量の事なら良いわ、でも空の人族よりも下なんて言われて悔しくないの?』


 シャムはテキパキと手紙を送る、手紙を送った事は無いが、先代の日記に書かれていたので分かる、葉っぱになってスワロキンの頭の上に落ちる光景を見て、日記に書かれていた事と同じだわ、落ちる場所まで指定出来るなんて、と考えていた。

 手紙を受け取ったスワロキンは眉をギュと寄せ手紙を読む、また返事が来るのだろう、サラサラと手紙を書き送ると、シャムの目の前に来た。こんなやり取りはシャムにとって初めての事、不謹慎だと思うが少しワクワクしている自分がいる事に気が付く、手紙は日記にも書かれていた事が書かれていた。


『悔しく無い訳ないだろ!だが精霊王の中で俺が1番長い、次にフィレムなのは知ってるだろ?何らかの記録は残してるのは知ってる、3代前の風の精霊王ティが言っていた。ティ辺りからだったな、名前をしっかり覚えられないのは、その原因は教えて貰えなかったが、俺達はお前達を個人として認識は出来る、だが、ミラやルクバトは無理だろうな、3代前よりも後に精霊王になった者はお前らの存在を怖がるか、攻撃するかのどちらかになるのだからな、』


 シャムは送られた手紙を見てため息をついた。ずっと自分の世界に閉じこもり、他人と話す事は無駄だと思っていた。だが、スワロキンは歴代の風の精霊王の事や、空の人族の事を色々と知っている、本では得られない情報が新鮮だと感じた。


「たまには悪くないわね、」


 むろんシャムも顔には出していないので、トゥカーナから見れば淡々と手紙を書いている様にも見える、

 手紙のやり取りを見て私は本当にメールみたいにするんだ。と思いつつぼんやりとその光景を見ていた。

 先程から凄い視線を感じる方を見ると、ザウラクは興味深そうに私を見ている、というよりも、私のドレスの裾の部分を見ている様だ、裾の部分には複雑な文字が色々と刻まれていて光るようだ、もしこの件が落ち着いたら見せてあげようと思うが、生地が欲しいと言われそうで怖い、視線を逸らしつつアウラを見ると、アウラはミューのほっぺを優しく突っつつ、珍しい事にミューは嫌がらないでいたが、呆れた様にミューはアウラを見ているだけ、ミューは私の手から離れアウラの手元にいる、


「なぁミュー契約してから何だか様子がおかしくないか?」


「そ・・・そんな事ないのよ、前にも2重契約はあったのよ、気にしすぎなんじゃないかしら?」


 アウラはミューと話をしていて、ザウラクの視線に気づいていない、(悪意があればアウラ様も反応したんだろうけど、好奇心だから気づかないのよね。)私が小さなため息を吐く、

 もう一度他の人は何しているのかと周りを見れば、ザウラクのギラギラとした目と合ってしまう、私は苦笑いに近い微笑みを送ると、ザウラクはニッコリととても良い笑み返しソファから立ち上がる所だった。微笑んだから了承と捉えられたらしい、

 隣りに座っていたレオニスはサッと手を伸ばし、ザウラクのローブを捕まえ引っ張るとソファに座らされている、


「どこに行くんだ?精霊王様達に席を立つ事を許されてないだろ?」


「グェ。い・・・いいえ!トゥカーナ様とお話を・・・」


「良いから黙って座ってろ」


 傍から見た事だけど、魔術師の人って研究熱心なんだなと思っておく、そうしておかないと今後が怖い様な気がするのは気のせいだろうか?

 シャムとメールのやり取りが終わったのか、スワロキンは顔を上げ私達を見る。


「精霊王の中で1番魔力量が多いのは風の精霊王、時点で空の人族だ、俺達程の魔力を持った者は多いと聞く、フィレムがそこを脱出する魔力量になる為には30日程は掛かる、」


 私達全員が大丈夫なのか?と声を上げると、地の人族と違い食事等が必要が無い為大丈夫だと、追加の説明があった。ミラはモグモグと口を動かし30日は長いわねー。と口に出す。

 みっちゃんはミラから貰ったお菓子をリスの様に食べていて、見てる私達は癒されていた。


「ミ・・・ミラこれサクサクしてる、私これ好き」


「みっちゃん気が合うわねー。こっちもオススメよ」


 ミラ達は女子会化していて重い空気の中賑やかだ、ルクバトは賑やかなミラ達を睨み大声を出す。


「お前ら冷たくないか?」


「やれる事はやるわー、今騒いだって解決はしないのは分かるわよねー?」


 痛々しく微笑むフィレムを見て、シャムとルクバトが救出に向かう事に、スワロキンは魔力を使いすぎたらしく、ここで休憩をしながら何かあったら助けてくれるという、ミラとみっちゃんは補助、精霊王がこれだけいるし、これでフィレムも助かるだろう、私は安易な気持ちでシャムを見るとピンク色の瞳と目が合った。


「何他人事みたいな顔をしてるのよ、あなたも行くのよ、むしろ助けられるのはトゥカーナだけよ、」


「「えっ?」」


「おい!すぐ行くぞ!」


 私に声が掛かるなんて思わずアウラと2人驚きの声が揃ってしまい、お互いに顔を見てしまった。ルクバトはもう一度立ち上がると魔法陣を作ろうと手をあげたようだが、両隣りに座っていたミラとスワロキンに両手を押さえられる、ルクバトは取られた両手を振り払うと、ムッとした顔で胸の前で組む、


「行けるんだろ?速く行かないとフィレムが可哀想だろ!」


「ルクバトが行くったてー、小さな子達を行かせてないから行けないでしょー?だって行くって言ったってーフィレムの場所も分からないでしょー?湖の方は何も問題は無かったわー」


 ルクバトは苦々しい顔をする。チラリと私達を見るが言葉には出さなかった。ミラの発言にフィレムはやっぱりあの欠片なのかしら?と困った顔をしていたが、自分勝手な発言が多いルクバトを批難する様に見る、


「ルクバトは黙ってなさい、手伝ってと言っても手伝わなかったルクバトが悪いのよ、ごめんなさいシィ話を続けて頂戴」


「フィレム!大丈夫なのか?」


「もう少しは大丈夫だから、心配しないで・・・本当にルクバトは周りを見ないわね」


 フィレムはルクバトを安心させる様に微笑む、ルクバトは立ち上がりフラフラと近づきフィレムの映像に触ろうとした、その手がフィレムを触る事も出来ず通り過ぎ、悔しさでその場に座り込み悔しげな顔でフィレムを見る、その姿を見た私達の同情を誘う、

 そんな中で、1人音もなく立ち上がったのはケーティ、ゆっくりルクバトの側に行くと、手を差し出し優しく微笑む、

 手を差し出されたルクバトは気まずそうな顔をすると、視線を彷徨わせ逸らす。


「あんな事になりましたが私達は無事です、火の精霊王ルクバト様は光の精霊王フィレム様の事本当に好きなんですね。」


「お前・・・俺はお前らの事を贄にしようとした奴なんだぞ、なぜそう易々とお前は優しい言葉を掛ける?俺の事等放っておけばいい、」


「私達は弱いだから助け合う、精霊王様達も同じでは?」


 横から声がしてそちらを見れば、ワルドが側に来てルクバトに手を伸ばしていた。

 ルクバトは差し出された手とワルドを交互に見るが、差し出された手は取れないようだ、

 ケーティとワルドはルクバトの両側に立つと、2人で座り込むルクバトを立ち上がらせ、そのままソファ迄連れていく、ルクバトはバツが悪そうにしながらも、ワルドを見る、


「礼は言わん!だが感謝はする。」


 ケーティはあいつ(ルクバト)の側にいては危ないからとスワロキンに連れていかれ、1人ルクバトに肩を貸したワルドはソファまで連れていく、ワルドは、ルクバトの口から出た感謝の言葉に正直驚く、何故なら先程までイライラとしていて、何に対してもイラついていたからだ。怪我をしたキタルファはワルドに判断を委ねたらしい、必死に止めたのだが、ルクバトの側に行くと言った主ワルド(主人)を見送っていた。


「キタルファが庇ってくれた事もあるが、今はその傷も治療されている、本来なら王族に危害を加えたとして処罰されるんだが、精霊王様相手ではな・・・貸しを1つ作ったと思えばいいか」


「おい!お前俺は精霊王だ!だが、貸しを作った俺が悪いのか、フン!まぁいい、仮を貸したら倍返しをして返すのは当然だからな」


 ルクバトとワルドは一応和解する。ルクバトはまたフィレムに怒られると思い自らを自重する、

 ワルドは精霊王と対峙すべきでは無いとの考えからきている。


 私とアウラはお互いに顔をみる、困惑する私達の代弁をする様に、ミューは私の顔とアウラの顔を見て必死になってシャムに話す。色々な事もあったけど、


「シィ様トゥカーナは何故必要なのよ。私は50年程アルゲティと旅をしてきたけど、特に変わった事はなかったのよ、」


「ミュー・・・」


 私はミューをギュと抱きしめる、こうして抱きしめると安心してしまう心地の良さ、何故なら今日のミューの服装はなんと言うのかわからないが、前世で着ぐるみバジャマの様にモコモコしていて抱き心地が良い、私がうっとりしている間に話は進む、


「祈りの乙女は本来ならこんな事には使わないわ、でも、メルクが関わっているなら話は別よ、祈りの乙女は特殊な魔法を見るだけで解除ができてしまう、でも特殊な魔法を掛ける事は出来ないの、空の人族には色々と規制が掛かっているのよ、

 そうね・・・ダブエルを例に出すと、ダブエルはあなたに魂と記憶の解除の魔法を掛けられても、ダブエルはそれを解くことは出来ないわ、それが出来るのは私と妻のライラね、私は魔法を理解してるし掛けるのも解くのも両方出来るわ、ライラの場合は婚姻を済ませ家族になっているから可能よ、

 解除について重要な事は2つ、掛けられた魔法を理解している事、ダブエルが解除を望んだ時のみ解除は有効よ、フフ・・・そうね取り引きしない?」


 シャムは私を見ながら口の両端を広げニイっと笑う、悪意は感じないがその笑顔を見て直感で分かってしまう、とても厄介な事を頼まれそうな笑み、と言った方が分かりやすいだろうか?私はシャムを引きつった笑みで見る、

 シャムは交換条件だから良いわよね、と可愛らしく微笑む、可愛い笑顔に騙されてはいけない、私は了承してませんけど?と首を傾げるが、シャムは気にせず話を続ける、


「私にも役割が一応あるの、空の人族を守る、空の人族の中で祈りの乙女は度々誕生していた。けど、あの子(アルゲティ)が空に帰ってから産まれてもいない、地の人族がそうそう空の人族の街を見つけられないけど、隠し続け守り続けるのも限界があるの、祈りの乙女の力で維持をしなければならない、私の言いたい事わかったかしら?」


「えっと・・・つまり?」


 私は理解しようと頭を働かせるが、私の頭はまだ混乱している、つまりシャムの話についていけなかった。困った顔をする私を見たアウラは、シャムの顔を見てスっと手を上げる、シャムは「どうぞ」と許可を出した。


「風の精霊王様、それは手伝ったらカーナの魂と記憶の解除してくれる、と捉えても宜しいのですか?」


 アウラがスっと助け舟を出してくれる、頼りになるなぁ。とギュとミューを抱きアウラの腕に頭を寄せる、シャムはアウラの言葉にそう正解よ、と頷くとアウラをじっと見る、


「あなたの理解が速くて助かるわ、私の事はシャムかシィと呼んで頂戴、名前なんて意味は無いわすぐに忘れられるから、それとダブエルの説得はあなたがやりなさい、後はライラを巻き込む事ね、あなたと離れてもダブエルを説得してくれる人が居るのと居ないとじゃ差があると思うわ、

 まぁ・・・タブエルもあれだけアルゲティが大好きなら、あなたの言う事なら聞くんじゃないかしら?」


「父様にも言いましたが、私はアルゲティではありません。」


「じゃあなぜダブエルの事を父様と呼んでいるの?」


 私はあっ!と思い絶句した。確かにそうだ何故かそう呼ばないといけないと思い込んでいた。娘と呼ばれた時点でなのか、私の中のアルゲティがそう呼んでいたからなのか、私がパチパチと瞬きを繰り返していると、シャムはパチンと指を鳴らした。頭の中のモヤが少し晴れた様な感じはするが、完全ではない、


「どこかでそう思い込ませる魔法を掛けたと思うの、けど、簡単な魔法ならたったこれだけで私は解除も出来てしまう、

 魂と記憶の解除等の特殊な魔法は、無理やり解除しようとすれば、掛けられた人の自我が壊れてしまうわ、だからこそ説得は必要なの、トゥカーナ分かったかしら?

 ・・・許可を出した時はこんなに面倒な事になるなんて分からなかったわ、それに・・・ダブエルに魂と記憶の解除の魔法の許可を出したのはこの私だし、」


 シャムは最後に小声で何かを言ったが私には聞こえなかった。口唇術を使えるアウラは大きく目を見開いて眉を寄せ下に俯き拳を作ると自身の太ももに拳を当て怒りを押える、

 アウラはトゥカーナに関する解決方法があるならそれに越したことはないが、トゥカーナの安全の方が余程大事な事でもある、風の精霊王の話を進めたい今は怒りをなんとか鎮めるしかない、

 トゥカーナは隣にいるアウラが怒り狂っているなど知らず、シャムを見て話を続ける、


「と・・・ダブエルさんに話を付けられれば・・・ですか?」


「翼の事まだ謎もあるけど、翼はなくなるかも(・・)しれないわね。もしかしての話しだからね、期待し過ぎる分絶望が大きくなるの、まだ湖での問題もあるし、絶対とは言いきれないけど、やれるだけはやってみたらどう?」


 シャムは私をじっと見る、私もシャムを見て頷くと「分かったわ」と隣にいたアウラをチラリと見る、アウラはシャムの言葉に納得して頷くトゥカーナを見てから、シャムの前に来て頭を下げる、


「カーナの事お願いします。皆さんの無事に帰って来るのをここで待ってます。」


「この子をしばらく借りるわ、不安なココロは祈りの妨げになるから、少しだけ待つから婚約者と話をしていいわ」


「シャムちゃんありがとう。」


 私がやる事は沢山ありそうだけど、私の不安な気持ちに少しだけ光をさした気がする。普通に暮らせるかもしれないというゴールは見えてきた感じがしてきて、私はもう少し頑張らねばと気合いを入れる。


「はい!アウラ様行ってきます。」


「行ってらっしゃいカーナ、ミューも行くのか?」


「もちろんなのよ、契約精霊は契約者と魔力を共有出来るのよ、まぁ色々と制約はあるけど、心配ないかしら」


「カーナを頼む、僕にはその制約は分からないけど、ミューと魔力を共有できるなら心強いな」


 アウラはそっと私の手を取ると手の甲にキスを落とし私の頬を撫でた。

 私が顔を赤くさせていると、アウラはミューの頭をポンポンと撫でる、ミューを見ると居心地悪そうにしながらも、その手を受け入れていた。前迄のミューならアウラの手を払いのけていただろう、私は嬉しくてニマニマしてしまう、


「ミューとアウラ様はとっても仲良しになったんですね!よかった。」


「カーナ僕はミューと契約したんだ、何かあったら無理しないですぐ帰ってきて、僕の隣りに君がいてくれないと寂しくて仕方がない、君のいない人生を送りたくはない、翼があってもカーナはカーナだからね。僕の天使はやっぱり天使だって話だけだからね。」


「アウラ様・・・ありがとうございます。フフフ・・・私達これでお揃いですね」


「お揃い、いい言葉だね。必ず帰って来て絶対に僕のお嫁さんになって」


 甘い言葉を貰ってしまう。アウラが言った言葉を反芻する様に思い出してしまい顔が熱くなる、もしやこれはプロポーズではないだろうか?段々と耳まで熱くなってきた。この甘い雰囲気をパンと手を叩き壊したのはルクバト、アウラはサッとトゥカーナの腰を抱き寄せる、ここ最近甘い雰囲気になると色々な人に最近邪魔されるのだが、アウラはルクバトの気持ち(好きな人が危機的状況)も分からなくはない、間違いなく自分もそうする、そう考えグッと我慢する、


「俺はちゃんと待ったぞ、シィこれで良いんだろ?話終わったんだよな?さっさとフィレムの所に行くぞ」


 ルクバトは待ってましたと立ち上がり、一瞬フィレムを見て思い出した。祈りの乙女しか助け出せない、自分の中で葛藤もあるがワルドが、弱いから助け合う。この言葉は自分には当てはまらない、しかし・・・背に腹はかえられらい、ルクバトは一緒に行ってくれる2人を交互に見て頭を下げた。

 トゥカーナはいきなり頭を下げられた事に驚き、シャムはツンと横を向いているが、横目でルクバトを見ている様だ。


「たのむ!フィレムを助けて欲しい」


「もち・・・」


「トゥカーナあなたは黙っていなさい、先代の事もあるから貴方の事は許せない、でもフィレムの事は放っておけない、」


 私はもちろんです。と言おうとした、しかしシャムに言葉を遮られてしまう、先代の精霊王様と何かあったらしい、けど、詳しく語られる事は無かった。2人の態度で何かがあったとわかる程度、私はシャムとルクバトを交互に見てみるが教えて貰えそうも無い、

 シャムは頭を下げるルクバトを見ることも無く、ペンダントから映し出されたフィレムを気遣う様に見る、


「行くわよ、待たせたわね大丈夫?フィレム」


「えぇ、予想よりも結晶化が速いの、」


 そう言うとフィレムは髪を持ち上げる、話をする前は髪の先程だった結晶化が、今は腰下まで進行していてフィレムも少し焦っている、シャムはじっと見るが何か迄は分からないらしい、焦った様に私を振り返ると、私を真剣な眼差しで見る、


「トゥカーナ、フィレムの所に着いたら結晶化の部分をよく見て、今のあなたなら何か見える筈よ、フィレムの所に案内をして欲しいけど、誰が案内をしてくれるの?」


「はい!私が案内しますも!私はルルよろしくですもルルはフィレム様が閉じ込められている所まで行けますも!・・・ルル達が調べに行った場所にいますも。」


 ルルは元気に手を上げシャムの前に飛び出した。シャムはじゃあ私が魔法陣を作るわと指を鳴らす。

 魔法陣はすーっと現れる、作った本人が先に乗り、次はルクバトが、次はミューと次々に先に乗る、ミューはふわふわ飛んで私を待っている、次は私の番なのだが、私はなかなか乗れない、いや魔法陣を見て固まったと言った方が正しい、黒いモヤが地面から現れ魔法陣に書かれた文字を次々と変えていく、魔法陣には『時はきた空の人族を捕えろ』と書かれている、私は恐怖の余り声を上げる、


「シャムちゃん待って!その魔法陣は!」


「トゥカーナどうしたの?」


「おい!グズグズするな速くしろ!」


 先に乗ったシャム達は怪訝そうに私を見る、唯一そう見ないのはミュー位、私は大慌てで魔法陣に入ったシャム達に説明しようとするが、慌て過ぎて言葉にならない、痺れを切らしたミューはパニックになっている私を気遣い、ミュー自身も慌てない様にゆっくり話す。


「トゥカーナどうしたのよ?ミクロン様が作った魔法陣と変わらないのよ、」


「ミュー違うの!お願いシャムちゃんその魔法陣から逃げて!地面から黒いモヤが文字を変えているの!」


「えっ?!そんな筈は・・・」


 私が喋り終わると同時にシャムは翼を羽ばたかせようとしたが、空に飛ぶ事が出来ないようだ、華奢な足元を見るとシャムの踵まで結晶化されてしまっていて、みるみるうちに膝まで来る、幸いな事に上半身迄の結晶化のチカラが足りないのか定かではないが、そこで結晶化魔法陣は役目を果たしたのか少しづつ消えていく、私は慌てて消える魔法陣をじっと見るが、黒いモヤはスっと消えてしまった。


「おいシィ!何だこれは!?」


「知らないわよ!」


「シィ様!」


 魔法陣が消える際に強いチカラでルクバトとミューは弾き出されてしまう、魔法陣の真ん中に立つシャムは少し髪が揺れる程度だった。

 硬い岩に当たる瞬間、間一髪で近くで見ていたミラが大慌てしながらも大きな水クッションを出し受け止め怪我1つもしてないみたい、助けられた所を見て私はホッとした。

 シャムは自分は固まっているのに、慌てた様子を見せずトゥカーナに向かって叫んだ。


「私の事は後でいい!結晶化は止まったみたいだからけどフィレムを先に!結晶に魔力を吸われてるのが分かるの、今のフィレムの魔力量じゃ多分もたない!行くのなら私の横に落ちてる結晶を使いなさい、黒いモヤの行き先位は教えてくれる筈よ!それと先にフィレムを助けなさい」


「絶対に助け出すから!待っててねシャムちゃん」


「さっきスワロキンの話を聞いていたでしょ?私達空の人族は魔力量が多い、それに私も空の人族だから大丈夫!」


 でも黒いモヤは徐々に薄くなっていって見えずらい、

 お菓子も食べ終わり、ソファで今の状況を見ていたみっちゃんは、ソファから降りると私の側に来て手を繋いだ。


「く・・・黒いモヤ追いかける?で・・・でもミクロンは一緒に行けないミラの所からここに来るのに魔力を使ったから、そ・・・それでもいい?」


「お願いしますみっちゃん、ミュー行こう!」


「ミクロン俺も行く!」


「私も行くですも!」


「う・・・うん分かった。みんな集まってー」


 私はシャムに言われた通り結晶を手に持つ、結晶は手のひらに乗るサイズだけど、綺麗な形をしていて売り物の様にも見える、結晶を見てもルクバトの魔法陣を消した様に解消方法が分からない、多分だけどこの結晶は魔法の類いでも無いと思う、先にフィレムの救出して、次はシャムの救出けど、モヤを何とかしなければまた捕まる気がする。背中に生えた翼と手でミューをギュっと抱きしめ、ミクロンが集めた精霊の黒い渦に埋もれていった。


 

 お読み頂きありがとうございます。

 新しい仕事は大変ですが、夜勤から昼間の生活の切り替えがとても大変だと思い知りました。

 ゴールデンウィークはもう少し頻度は上げたいと思っています。

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