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颱(たい)の国の六の姫  作者: やまの あき
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4. 帝 泰樹


 颱の国の帝の執務室にその知らせが届いたのは、その年の六の月だった。北の国と接している国境付近で何やらきな臭い動きがあるというのだ。しかもその三日後には東の国との国境付近でも。颱の国の南側に接している中央の国は以前から拡大路線で隙あらば攻め込もうとしてきたが、北と東は比較的良好な関係だったのだが。


「仔細は分かったのか?」

宰相である男は頭を下げながら渋い顔をした。

「はい、と言いますか。どちらも住民同士の小競り合いのように見えます。」

「特に気になる内容ではないと?」

「いえ、そうではありません。 寧ろ、後ろが無いように上手に見せかけているように思われます。」

「しかしそれを示す証が出ないということか?」

「はい、但しわたくしの勘のようなものですので」


「こういう場合は、それが大事だろう?」

「そう思いまして、影の者を派遣いたしました。」

「わかった、早めに詳細を上げるように」

「かしこまりました。 それと…」

「なんだ?」

「翔生様がお見えです。」

「叔父上が? すぐにお通ししろ」


宰相と入れ替わりに翔生が執務室へ入ってきた。


年がほぼ変わらない二人は、まるで双子のように似た相貌をしていた。

整った顔立ちに切れ長の鋭い目。薄い唇までも。

ただ、帝である泰樹たいきの眉間の深いしわが二人の顔を区別させていた。


「叔父上」

帝である泰樹が立ち上がる。

「帝にはご機嫌麗しく…」

「おやめください、叔父上。」

「たまにちゃんと挨拶することもいいだろう?」


「どうぞ、お掛けください」

ため息交じりに椅子をすすめ、二人そろって腰を下ろした。


「何かございましたか?」


この年の近い叔父は、子供のころはいつも一緒に学び遊び悪さをしていた。しかし、10歳になるころには、お互いの立場を理解し、徐々に離れていった。

そうして、たまにふらりとやってきては爆弾を落としたり、苦言を呈したり。

未だに立ち位置が良くわからない。


「おまえ、後宮の離れにいる姫のことは覚えているか?」

「は?離れですか?」

「あれは、おそらく『七の姫』じゃないかい?」

「は!?」


「七の姫が七の年七の月に国が荒れる~忘れているわけではなさそうだね?」


今回は超ド級の爆弾か?





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