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颱(たい)の国の六の姫  作者: やまの あき
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3. 侍女 如月

すみません、2話目はフライングでした。毎週土曜に更新予定です。(あくまで予定で、できない場合もあります…ごめんなさい)


翔生が訪れてしばらくして、六の姫の離れには2人の侍女がやってきた。


「姫様、本日より姫様のお世話をいたします、如月と申します。」

「百花と申します。」


二人はそろってきれいにお辞儀をした。


「侍女? 」


「はい。女官長より申し付かりました。」


今まで、侍女といえば女官長とともに厳めしい顔で廊下を歩いているのを見かける程度で、何をしているのかすら知らない。お世話とは何をしてくれるのか。姫は戸惑うばかりだった。


しかし、如月と百花はすべて心得ているとばかり、離れの中を見て回り、てきぱきと働き始めた。


今まで小さな台所で作っていた食事は、後宮の厨房で作ったものを運んできてくれるし、後片付けもいらない。洗濯も掃除も、姫が動く前にすべて済んでいて、急に何もすることが無くなってしまった。


「如月? 私、何をしたらいいのかしら?」


姫は、思い余って侍女の一人に尋ねた。


「はい、姫様。 来週から、先生がいらっしゃいます。お勉強が始まるのですよ」


姫が目を丸くして如月を見返した。 勉強? それは、いったいどんなものなのか?


「姫様がいままでご存じなかったことをいろいろ教えてくださいますよ」




********************************


如月は、2日前に急に離れの姫にお仕えするように言われて、戸惑った。

離れに姫がいるとは聞かされていなかったからだ。離れの後ろに広がる森があまり整備されていないので、近寄らないようにとの注意を受けてはいた。それも後宮に勤め始めたころだから、すでに3年になる。同じく離れを任されることになった百花と一瞬目を合わせ、そのあと了承の意味で膝を折り頭を下げた。

実際、否やの答えを告げることはできないのだが。


離れの姫とは、どうやら側妃の一人が姫を産んだ後亡くなり、その後放置されていたらしい。


どんな野生児かと恐る恐る離れへ行くと、7歳にしては小さ目な、しかしかわいらしい姫だった。

しかも、乳母に家事を習っていたとかで、何から何までご自分で動こうとする。如月は百花とともに慌ててあらゆる「姫」としての待遇をそろえることとした。


教師の手配もそのうちであった。陛下が姫のことを思い出せば政略の駒と望まれるかもしれない。

そうなってからでは遅い。実際、翔生様が気が付いて、私たちを手配されたと聞いている。陛下の耳に入るのも時間の問題かもしれない。



そうして、急に六の姫の離れは慌ただしくなっていった。






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