1章 2話
みてくれるかな?
体が動かない、まるで石になったかのような感じになっていた。隣にいるアスガは私に向けて何かを叫んでいるが全く聞こえない。だが、それとは別·····そうだ、神様の声がする。その声は何かとても怒りを込めて言っているように聞こえた。
{ねえ、何が気にくわないのー}
私がいた場所とは別の風景に変わる。そこは真っ暗だった。此処はどこ?アスガはいないの?
{聞いてるのー?君に言っているんだよー。ヒーナーガーちゃん}
私は声のした方に振り向こうとするが動かない、例え動けたとしても振り向くのが怖い。いや、誰か助けて。
{うん?どうしたのヒナガちゃん。さっきから黙って。あ、そっかそっか僕が怒っていると思って怖くなちゃったんだ。大丈夫だよー、別に怒ってないからさー何がいけないのか教えてくれると嬉しいなー}
「あ·····私は、私は!」
{うんうん、私は何?}
大丈夫、落ち着いて私!私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は神様が!!
{うん、僕が憎いんだよね}
「っ!違います!」
違うとそうは言いきれない何故ならこの神様のせいでお父さんとお母さんが異形になって!だから私がお父さんとお母さんをこの手で。
{じゃあ君はどうするの?僕を殺して見る?別に殺っても良いけどこれからどうやって生きていくの?こんな世界になって食料などがなくて着る服がなく君はどうやって生きていくの?ねえ}
だったら神様の力で世界を元に平和だったあの頃に戻してよ。何で私とアスガをこんな事に巻き込まれなくちゃならないの。
{出来ないよー。だってこれは君達の為でもあるんだからさ}
「どういう意味?」
{そっれっは、いずれ世界は大きく動き出すって事かなー。あははははは}
神様はそれはそれはとても楽しく可笑しくそして満面な笑みを浮かべて笑い私の目の前から姿を消したのだった。
{まあ、これからも君達に損はないようにある程度の事は与えるからさ。頑張って異形達と戦ってねー}
そう言い残しながら。
私は気づくといつもの場所にたっていた。体が動けるみたいだ。
「ヒナガお姉ちゃん」
私は声のする方に向くとアスガが地面にへたり込んで泣いていた。本当に馬鹿だな私は神様を怒らしてはいけないと言った自分が怒らしてしまうなんて······ごめんねアスガと言い抱き締めて泣き止むのをまった。
◈◈◈◈◈
「いい加減機嫌を直しなさいアスガ」
「ふん!絶対許すもんか」
あれから泣き止んだ者の何故か知らないがすこぶる機嫌の悪いアスガは帰り道をずかずかと歩いていた。別にヒナガお姉ちゃんに対してではない。こうも機嫌を悪くしているのは神様に対してだった。
何故?と問われればあの神様がヒナガお姉ちゃんを怖がらせたからだった。そりゃあ、神様に少し怒ったりもしたかも知れないけど普通あそこまで怖がらせてくる?あの時石のように動かなくなったお姉ちゃんを叫ぶも一向に返事もしなくて私はどうしたらいいか分からなくなって気づくと泣いていた。
どれだけ経ったか分からないけどやっとヒナガお姉ちゃんが動いてくれてホッとした。本当に無事で良かった。
「あー!思い出しただけで腹が立つ!」
「ほら、これをあげるから食べて落ち着きなさい」
馬車を引いている馬を止めて箱からバナナを取り出した。それを見た私は喜んで受けとる。そして皮を剥きパクパク食べる。うーん♪やっぱりバナナは最高だね。
「それにしてもさ、モグモグ、神様の姿って、モグモグ、どんな感じだったのモグモグ、見たんでしょ?」
「こら、食べながら喋らないの」
私の頭にチョップを入れるヒナガお姉ちゃん、痛いよ。私は頭を擦りながら話を聞いて見る。
「ごめんね、神様の姿がどんなって言われてもちらほらしか見れてないの。相変わらず男か女か分からない声をしていて見た感じだとノイズのように見えて子供だったり大人になったりと繰り返している感じかな」
「えー、何それ訳が分からない。つまり結局は神様の正体が分からないままって事?」
「そうなるかな」
やっぱり腹が立つ。いつか神様の正体を見破ってこの私の手で地上に引きずり落として地面に叩き落としてやる。ふっふっふ、そう考えると俄然とやる気が出てきたよ。こうなったからにはもう誰にも止められないぞ。私は空に目掛けてビシッと指を突き出す。
「いいか神様!その汚いけつを洗って待ってろよ。この私が必ずこの世から葬ってやる!!」
「馬鹿!先ほど怖い目にあったばかりなのよ!」
私は大丈夫大丈夫と言って歩き出すが突如足が何かを踏みつるんと転ける。
「きゃ!」
「ちょっと大丈夫!」
もう、一体何なのさと私は踏んだ物を見るとバナナの皮だった。どうしてこんなところに皮があるのか分からなかった。取り敢えず立ち上がろうとして異変に気づく。私は体についた物を手で触って見てみるとそれは腐ったバナナがべっちゃりとついていた。その猛烈な臭いに私は思わず悲鳴をあげる。
何処かで神様が息を殺して笑っているのだった。
神様めーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おまけ
「ねえー、君に聞いてるんだよー、さーくーしゃーさーんー」
申し訳ございません!申し訳ございません!ですがこれでも頑張って書いているんです!だから、僕を見捨てないで下さい!
完