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読む次男と話す末っ子

異世界の人初登場です

 出て来た者が必死に何か話しているようだが、聞きなれない言葉で理解できずにいる二人。


「あ?」

「……」


 身振り手振り動かす目の前の人物に対し、二人が同時に思った事は何踊っているんだ?の一言だった。通じていないことが分かった鎧の者は、どうしたものかと腕を組み、首を傾げていた。


「……おい。こいつがさっきから言っている事分かるか?」

「さぁ?」


 目を合わせただけでもすぐ喧嘩に発展する2人が、長男もなしに静かなのはとても珍しい事だった。目の前の人物は言葉が通じないのならば、文字はどうだと考えたのだろう。周りを見渡し、枝を手に取ると地面に字を書き始めた。


「『あなた……たちは、だれ……ですか?』」

「本当にあってる? てか、何で読めるの」

「俺が知るかよ」


 眉間に皺を寄せ、面倒くさそうに頭をかき、ため息をつく。相手にするのが面倒になったのか弟に丸投げにすることにした。


「おい、こいつの相手お前がしろ。俺は面倒くせぇ。さっきから黙っちゃいるが、こいつの言葉分かってんだろ」

「なんで僕ばっかりしなきゃならないのさ」


 そう言うと地面に座り、木に体をもたれると余所を見始めた。そんな兄に呆れながらも、仕方なく相手することにした末っ子の眉間には皺がさらに刻まれた。


「言葉が通じていないのでどうしようかと思いました! あれ? でも先程……」

「さっきのはすみません。あまりにも行動が怪しかったので、言葉を無視してました」

「ああ、それで……。確かにあの動きは怪しいですよね」

「それで、僕らに話しかけてきた理由は何ですか? なるべく簡潔に教えてください。早くこの森から出たいので」

「それだったら街まで案内します。そのほうが手間が省けますし」

「ならそれで」


 木にもたれ掛かっていた雄は、鉄の鎧を纏った人物の言葉は分からずとも、雰囲気を察したのかのっそりと立ち上がり、先に歩く二人をゆっくりと追いかけた。


「そういえば貴方たちは何者なんですか? あ、申し遅れました。私の名は王国で騎士をしているアリアといいます」

「……何者と言われても。ただの中学生と不良ですとしか」

「ちゅーがくせい……? ふりょう?」


「ちゃんと説明しろや!」という怒鳴り声が後ろから聞こえたが、いちいち構っていては面倒が起きるだけと判断した鷹は無視した。


「それは、職業とかですか?」

「職業……ではない、と思います」

「お前は違うだろうな。まだ金も稼げねぇガキンチョだからな」

「たった二歳差でしょ。来年からバイト出来るし、あんたよりも稼いで兄さんに褒めてもらうから」

「言ってろ、ガキンチョ」


 おちょくりながら二人に追いつき、鷹の隣を歩く。眉をひそめる末っ子に次男は愉快でたまらないといった顔だ。


「あ、あの……喧嘩は」

「気にしないでください。いつものことですし」

「いつもなんですか?」

「はい」

「そ、そうなんですね……」


 喧嘩する様子を心配して声をかけるが、二人にとっては日常茶飯事だった。だが、アリアは初めて見たのだ。不安にはなるだろう。


「そういえばお二人の名前聞いていなかったですね」

「僕は鷹です。いつまでもニヤニヤ笑ってるのは」

「雄だ。お前は後で絞める」


 末っ子の紹介の仕方にイラついた次男は、ニヤニヤ顔から米神に青筋を立て、指を鳴らしていた。


「つか、普通に会話してるけどよ、あんたコスプレしてんのか?」

「彼はなんて……?」

「コスプレしているのかって言ってます。正直僕も気になっていたんですけど、それ本物なんですか?」


 末っ子の言葉で自分が言った言葉も通じていないと分かると、隣でブツブツ文句を言い始めた。


「本物ですよ。……まさかとは思いますけど、騎士を見たことないんですか? 村の子供でもあるというのに」

「生憎一度も」


 アリアは信じられないといった顔で鷹と雄を見つめる。これに関しては仕方ないだろう。現代に生きる二人が騎士を見たことあるのは本の中かテレビでしかないのだから。


「あ、もう少しで街に着きますよ」

「話しているとあっという間ですね」

「そうですね」


 鷹とアリアがほのぼのと会話する隣で、いまだに引きずっているのか「会話出来なきゃ相棒探せねぇじゃねぇか」と、文句を言っている。


「あ、あの、彼に通話できる魔法のアクセサリーがあると伝えてくれませんか?」

「本当はほっといていた方が面白いんですけどね。いつまでも隣でブツブツ言われてもうるさいだけだし、仕方ないか。馬鹿兄貴。会話が出来る魔法のアクセサリーがあるんだってさ」

「そういうのがあるなら早く言えよ!」


 さすがに会話が出来ないのは可哀想だと思ったのか解決策を出すアリア。それとは反対に次男の困っている所を楽しむ鷹だったが、後で叩かれるのが嫌なのかそのまま伝えた。


「街に着いたらアクセサリーだな。そのあと相棒探さねぇと」

「アリアさん。人探しするにはどこでしたらいいですか?」

「人探しとなると、冒険者ギルドで人を探すことが出来る魔術師に頼むか、水晶玉を買うかですね」

「そうなるとお金が必要になるか……。お金はどれくらいかかるか分かりますか?」


 質問されたアリアは金額を思い出そうと顎に手を当てているが、なかなか思い出せずにいた。


「昔はいたみたいなんですけど、最近聞かなくなって分からないのです」

「……そうですか。それなら直接冒険者ギルドに行って聞くしかないですね」

「すみません」


 役に立てなかったと思っているのか、しょんぼりとしている。


「気にしなくていいですよ。むしろ、とても助かってます。右も左もわからない僕たちに親切にいろいろと教えてくれているので」

「そ、そうですか? それなら良かったです」


 ほっと息をつき、微笑みを浮かべた。二人に会ってから初めての笑顔だった。目鼻立ちがはっきりしているアリアの顔は、男を魅了出来るほど美しいものだったが、雄と鷹には効かなかった。


「まぁいい。相棒を探すことが第一だ」

「……碧生兄さんに褒めて貰おっと」


 ひそかに笑う末っ子。その表情に苛立ちを覚えた次男は鷹より一歩下がり、首の付け根を強くつまんだ。そして、いつも通り口喧嘩になった。そんな事を続けながら2人はアリアと共に街へと入っていく。


「痕が残ったらどうするのさ……」

「知るかよ」


 お互いを邪魔する事を忘れずに。


アリアさんちゃんと書けてない気が

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